まるでふんわりとしたニットを被せたようなカップ“トレースフェイス”をご存じだろうか。実はこれは、網目のひとつひとつを手彫りした、精巧な石膏の型からつくられた陶器でできている。このカップをはじめ、日本が誇るさまざまな職人の、埋もれつつある技術を掘りおこし、あっと驚く商品に変えてきたプロジェクト『ネクスト・フォーム・ジャパン』。いったい、どんなプロジェクトなのだろうか?
商品とその目的について「セメントプロデュースデザイン」代表であり、プロデューサーの金谷勉さんに話を伺った。『ネクスト・フォーム・ジャパン』プロジェクトを立ち上げた目的と経緯とは?
そんな金谷氏率いる「セメントプロデュースデザイン」が生み出してきた商品の一部を紹介したい。
■ハッピーフェイスクリップ
多くの人に“ハッピーフェイス”になってほしいという思いが込められたキュートなクリップは、会社立ち上げ直後の商品。当初金型の知識もなく3~4回の失敗を重ね、東大阪の工場の協力の元試行錯誤の末に完成した“スマイル”だそう。
■トレースフェイス
コーヒーを入れても、和菓子に合わせてもしっくりくるカップ。ニットやラタンの風合いがまるで本物のよう。愛知県の陶器の原型師とタッグを組んだヒット作。
■シオリボン
ブックマークだけでなく、髪留めに使ったり、ポーチのファスナーにつけたり。福井県のリボンメーカーの協力により実現した商品。繊細な細工はレーザー機を使用しているのだとか。
■サバエミミカキ
福井県鯖江市は、メガネの国内シェア90%を占める。この鯖江市の眼鏡素材加工メーカーと共同開発した耳かきは、鯖江発らしくメガネのフォルムが特徴的。デザインの美しさだけでなく、“かき心地”にもこだわっている。
安さに価値を求めるのではなく、精巧な技術を時代に合った商品に落とし込む開発力、発想力が、唯一無二の商品を生み出している。そんな商品たちは、どの家にもあって暮らしの一部としてなじむものばかり。一度、手にとってみるのはいかがだろうか。