米中首脳、尖閣問題で応酬 中国にTPP情報提供で合意
【パームスプリングズ(米カリフォルニア州)=中山真】米カリフォルニア州で開いた2日間の米中首脳会談でオバマ米大統領は沖縄県・尖閣諸島の問題の対話による解決を求めたが、中国の習近平国家主席は原則論を主張し平行線となった。環太平洋経済連携協定(TPP)については交渉の進展に合わせて中国側に情報提供をしていくことで合意した。
8日までの首脳会談は夕食などを含めて合計8時間超に及んだ。米側の説明によると、尖閣問題を「かなり長時間」議論。オバマ大統領は「争いをエスカレートさせるべきではない。行動ではなく、外交的な対話が必要だ」と強調した。
中国側によると、習主席は南シナ海にも言及して「国家の主権と領土を断固として守る」と指摘。対話の必要性に触れつつも日本などの関係国が挑発行動をやめるべきだと訴えた。
TPPを巡り習主席は交渉の進展に合わせた情報提供を米側に要請。両首脳は情報提供のための公式な協議の枠組みをつくることを申し合わせた。中国側はこれまで自国抜きで自由貿易圏づくりが進むことをけん制する狙いから参加の可能性を示唆してきた。
両首脳は北朝鮮情勢に関し、北朝鮮の非核化の必要性と国連安全保障理事会の制裁決議を完全に履行すべきだとの認識で一致。楊潔●(ち)国務委員は会談後の記者会見で「原則的な立場と全体的な目標で米中は一致している」と述べた。
中国を発信源とする米企業を狙ったサイバー攻撃についてはオバマ大統領は具体例を示して懸念を伝達。習主席は米側の懸念に理解を示した。軍事協力の拡大を巡っては、楊氏が2014年にハワイ沖で米海軍が主催する環太平洋合同演習(リムパック)に中国が参加すると正式に発表した。