津波による死者・不明者が820人を超え、死亡率が全自治体のなかで最も高かった宮城・女川町。全国有数のサンマ水揚げ漁港だったが、港は津波で壊滅的な被害を受けた。その復興支援を中東の国・カタールが行なっている。
2012年10月に約7760平方メートルという大規模な多機能水産加工施設が建設されたが、約20億円の資金を提供したのがカタール政府が設立した「カタールフレンド基金」だった。いまなお港湾周辺には津波被害の爪痕が残るが、白い外壁が輝く真新しい加工場は、町民の約7割が漁業に携わる同町の再出発のシンボルとなっている。
同基金は今年4月には宮城・気仙沼市でも水産物販売拠点を整備する事業を開始し、福島・いわき市では小中学生を対象とした体験型学習施設を現在建設中だ。
「これからも復興のパートナーであり続けたいという思いから、支援は単発的な資金援助ではなく、水産業や教育分野など、被災地の人々の自立のために役立つ内容を掲げました」(同基金の運営事務局担当者)
国際支援というと被災直後の一時的なものと思われがちだが、砂漠の国からの持続的な友情は、日本企業の取り組みと同じく、被災地の希望となっている。
※週刊ポスト2014年3月21日号