ライフ

渋谷若者文化の変遷 96年の埼京線乗り入れ機に地方色強まる

 1980年代の「渋カジ」から「チーマー」、1990年代「コギャル」まで、渋谷の街は常に新しい若者文化の発信地となってきたが、2000年代に入ってからある変化が起こっているという。消費社会とヤンキー文化に詳しい速水健朗氏が振り返る。

 * * *
 2000年頃から、コギャルはギャルと呼ばれるようになり、いくつものギャルサー(ギャルサークル)と呼ばれるグループに分派されていく。

 1999~2001年頃、渋谷駅の埼京線のホーム近辺でパラパラの振り付けを練習するギャルたちの姿が、夕方の風物詩としてよく見られるようになった。1996年の埼京線の渋谷乗り入れ以降の風景である。センター街を占拠するギャルサーのメンバーの多くは、都心の高校の出身者ではなく、近郊からの出張者や地方からの上京者に占められるようになっていた。

 2001年にファッションや美容を学び、高等学校の卒業資格が取得できるBLEA女子高等部が渋谷に開校した。都心近郊の高校をドロップアウトして、再入学を果たす生徒も多い。むしろそれがギャルたちにとってのステイタス。BLEA女子は、ギャル界の最高学府なのだ。

『Popteen』を筆頭に『JELLY』『Ranzuki』『SCawaii!』などのギャル雑誌が台頭し、これらの読者モデルとして益若つばさや小森純、てんちむらが絶大な人気を誇るようになるが、彼女たちはみな首都圏近郊出身者で、中学時代までは田舎のヤンキーだったと自伝の中で述べている。

 こうして歴史を辿ると、渋谷の街は、かつては裕福な都会の若者文化の発祥地だったが、のちに次第に近郊、地方出身者にとっての巡礼のための聖地となるという変遷を遂げていったことがわかる。

●速水健朗/はやみず・けんろう。1973年生まれ。メディア論、都市論など幅広い分野で取材、執筆、編集活動を行なう。主な著書に『ケータイ小説的。──“再ヤンキー化”時代の少女たち』、『都市と消費とディズニーの夢 ショッピングモーライゼーションの時代』。

※週刊ポスト2013年6月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン