三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクは統合から7~12年を経て、統合後入行者が役職に就くなど旧行意識は希薄になってきている。しかし、新たに浮上している人事・組織上の問題が「世代間格差」だ。金融ジャーナリストの森岡英樹とジャーナリストの永井隆の両氏がリポートする。
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メガ行員は概ね50歳までに、役員になる者を除き同期すべてが外部に出向・転籍する。そのため45歳で退職後に備えて将来設計を考える研修を受ける。これは悲哀を込めて「たそがれ研修」とも呼ばれる。しかし、現在はさらに進んで「40歳で“プレたそがれ研修”を受けなければならない」(あるメガバンクの中堅行員)という。
「住宅ローンの返済計画や退職後の身の振り方などを書かされる。自分の銀行員生活もあとわずかかと身につまされる瞬間だ」(同)
どこの企業でもバブル期に入社した40代は人数が多く、それより上の世代に比べて待遇などで格差があるが、銀行はそれに加えて特殊事情がある。合併を繰り返したため、40代の銀行マンはただでさえ多い人数が膨れあがった。
一方で支店の統廃合などでポストは激減している。これまでは銀行OBを経理部などで受け入れてくれた取引先企業でも、出向・転籍を引き受ける余裕がなくなっている。それでも、あと数年で銀行を去らなければならない。「40代はまだ恵まれている」と指摘するのは30代の若手行員だ。
「我々は入行時から債権回収に駆り出されてキツイ仕事をしたのに、公的資金が注入されていたため給料も低かった」
次世代を担う3メガバンクの若手行員にとっては「旧行融和など死語」(同)というのが本音だ。それよりも、上の世代との格差への不満の声が大きい。
※SAPIO2013年3月号