いきなり情報解禁「暦の上ではディセンバー」制作秘話

otomojamjam2013-06-28

「宮藤さんが「潮騒のメモリー」を5分で書いたことに対抗し、3分で作ろうと思いましたが、さすがに無理でした(敗北!)。サビのメロディはわたし、AメロとBメロは「潮騒のメモリー」の作曲者でもあるSachiko M、イントロと間奏のメロディは劇伴の編曲もやっている江藤直子、リズムやバックトラックは劇中のカラオケを作っている高井康生の4人でバンドでもやるように作りました。録音やミックスも本物の2009年のミリオンセラーに負けないよう、全力でつくりました。」
これまだでてないかもですが、公式発表用のわたしのコメントです。
 いよいよ荒巻太一(太巻)がプロデュースした2009年のミリオンセラー、アメ横女学園芸能コースが歌う「暦の上ではディセンバー」が全貌を現しました。といっても、まだ聴き取りにくい部分あると思いますが。
それにしても、今回は宮藤さん、3分で歌詞作ったらしく、あ〜〜悔しい。



 もちろんこの曲、2009年にリアルヒットしたものではなく、ってか、そもそも太巻さんも架空の人なので、これは、あくまでもあまちゃんの生きている架空の世界を作るためにつくられた架空のヒット曲、今回のドラマのために作ったオリジナルソングです。作詞は宮藤官九郎さん。作曲は前述のとおりSachiko M、江藤直子、高井康生、そしてわたくし大友良英の4人。
なんか、潮騒のメモリーのときもそうでしたが、どうもわたし以外の作曲者の名まえ抜け落ちがちなので、今回は4人でつくってるってのを強調しておきます。



 実はこの曲、作曲からデモ録音までほぼ数時間で作ってます。
 作曲したのは2013年冬のある日、この日は「潮騒のメモリー」の最初の録音を終えた日でした。
潮騒のメモリー」に関してはなぜCDに入らないのかという問い合わせが本当に多数あって、中には怒ってる人までいて・・・でも、いじわるしているのでも、じらしているのでもなく、ドラマの筋にもかかわることでもあり、今はまだ全貌を出せないのです。
 それはともかく、撮影の関係もあり、振り付けも作らなければで「暦の上ではディセンバー」を大至急つくってほしい、一日の猶予もないという状態で、この日、宮藤さんから歌詞が送られてきたのがドタバタの始まりです。しかもラップパートまである。オレ、宮藤さんに遊ばれてる? まさにじぇじぇ!って感じでした。
潮騒のメモリー」の録音を終えたのが夜10時くらいだったかな。翌日にはこの曲のデモが必要ということで、歌詞カードを持った凄い形相の音響部若手Sと演出部若手Tに「大至急お願いします」と無茶ブリされ狭いスタジオに閉じ込められて作曲開始。
 最初は「よっしゃ、今度はオレが3分で作曲したるわ」と大風呂敷を広げてみたものの、もう連日の録音で(「潮騒のメモリー」の前には劇伴の作曲や録音が数日間つづいてました)へとへと。這々の体でやっと作曲したのがサビメロです。しかも3分どころか30分もかかってしまい、ただでさえ消耗しきっていたわたしはここで睡魔に勝てず、宮藤さんに敗けた悔しさを噛み締めつつ一旦ギブアップ。
仮眠をとっている間に、Sachiko MがAメロとBメロを作曲、同時に江藤直子がイントロや間奏のあの独特のメロディを作曲、仮眠からさめたわたしがラップの部分をつくって全部のパーツをつなぎあわせ、その日の明け方4時にデモ録音開始。大至急宮藤さんや演出、音響スタッフにデモを送ったのが朝5時すぎ、いや6時に近かったかな。
こんな思いでつくったのに、宮藤さんから来た返事は「爆笑」のひとこと(く〜〜〜もう、涙。


 実はこのデモではSachiko Mが歌い、わたしがラップをやっていて、宮藤さんはわたしのラップに爆笑したのでした。実際、これ誰が聴いてもオレが聴いても爆笑です。だって50過ぎのおっさんが「we are アメ横女学園!」とか歌ってるんですよ。おまけにわたしは打ち込みが出来ないので、手弾きのシンプルなバックトラックのみ。だって深夜すぎて、急すぎて、いるメンツだけで録音するしか手がなかったのです。
 ま、デモの出来映えはともかく、曲そのものの評判は意外なほど、拍子抜けするくらい良くて、これですんなりOKということになり、それをもとに、大至急高井康生にリズムセクションを作ってもらい仮トラックを完成、撮影に間に合わすという、超ドタバタの舞台裏でした。
 ちなみに、一連の作業を終え自宅に戻った途端40度の発熱、インフルエンザで倒れてしまいました。きっとなれないラップをつくったせいです。そてにしても今回なにが辛かったかって、高熱と痛みのなかこの曲のメロディが3日3晩、脳内ループしつづけたことです。
教訓【アイドルソングを作ったあとには発熱するな】


 最終的には、その後じっくり時間をかけて、高井康生の神業的な打ち込みとギターにかわいしのぶのベースを加え、最高のバックトラックを作ってもらい、さらにはアメ横女学園芸能コースのメンバーにヴォーカルトラックを入れてもらい、これをミックスし完成したのが春。
しょせんドラマの中の曲でしょ・・・とは言われたくなかったので、現実の2009年に負けないよう、本当に2009年にヒットしてたよねって錯覚されるくらいのもにすべく、音楽チーム全員、本気で、全力でやらせてもらいました。


余談ですが、あまちゃんのサントラCDに入ってる「奈落」は、この曲のBメロとサビメロをもとに江藤直子さんがアレンジした曲です。


 と、ここまで書いたところで、急遽「暦の上ではディセンバー」の配信決定のメールが飛び込んできました。これ、じぇじぇじぇ!です。いつ出るかわからないと言われてたんで、本当に驚きです。しかもなんと明日29日、着うた、着うたフル、RBT、シングルレコチョクNHKサウンズ、他より配信スタートするそうです。
なんだかすごいな、この勢い。
てか、あれ? これ、オレ、フライングしてない? 書いても大丈夫なのかな? ま、こんな時間だし、いいも悪いも、あとから考えればいいか。

 

それにしても、これから真夏になるってときに、師走の歌を出すのって、ポップス史上初めてでは? 




あ、NHKのホームページにみんなのコメント出ましたね。
http://www1.nhk.or.jp/amachan/rel/0628.html
宮藤さん、いいこと書いてるなあ。