あなたは「ぐるなび」派か「食べログ」派か。2大グルメサイトの仁義なき戦いを食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がレポートする。
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「ぐるなび」と「食べログ」。言わずと知れた、国内2大グルメサイトだ。大きくわけるとぐるなびは飲食店による登録型のサービスで、食べログはユーザーによるクチコミレビューサイトである。
先行したぐるなびがサービスを立ち上げたのは1996年。飲食店の宣伝支援という性格も強かったが、当時は自前のウェブサイトを持たない飲食店も多く、ホームページ作成代行を兼ねたサービスとしても受け入れられた。翌年には全国版を開設するなど、順調に規模を拡大し、2005年には大証ヘラクレス上場、2008年には東証一部に上場を果たした。2012年12月時点で利用者数は3400万人、月間アクセス数は9億3000万ページビュー(PV)にまで膨れ上がった。
食べログは、電気製品の価格比較サイトのカカクコムが2005年に開始したサービス。グルメサイトとしては、後発だったものの、カバーエリアの広さとユーザーのクチコミによる圧倒的な情報量で躍進し、2008~2009年頃にはグルメサイトとしてのポジションを不動のものに。1月に発表されたリリースでは利用者数4095万人、アクセス数は8億7750万PVという数字を獲得している。
そしてどちらもここ最近、新サービスの導入が進んでいる。ぐるなびは4月から顧客がレジでスマートフォンをタッチすると来店ポイントを獲得できる新サービスを開始する。ポイントの獲得額に応じて「レギュラー」「ゴールド」「プラチナ」などの会員ランクが決まり、上位ランクになるほどポイント付与や旅行や食事券が当たるキャンペーン参加権などの特典が増えるというもの。会員のアクティビティを後押しするだけでなく、ぐるなびと契約する飲食店の支援にもつながる。
一方、食べログは1月に会員数15万人を突破した有料のプレミアム会員(月額315円)向けのサービスの拡充に力を入れている。例えばプレミアム会員のみが使用できる「プレミアムクーポン」のなかには「料理代金から90%OFF!!」という大幅割引が受けられる飲食店も。有料会員に対するサービスと、飲食店への集客サイトをチェックした2月13日時点では約180店が50%以上の割引を行なっていた。
クチコミという「ソーシャル」をベースにしながらも、食べログは有料会員へのサービスを手厚くしはじめた。一方ぐるなびは、飲食店との「有料契約」をベースにしながらも、結果として無料会員に対するサービスに注力しはじめ、2011年には位置情報共有サービス「ロケタッチ」との提携も打ち出した。ちなみにロケタッチグルメは、そもそも「東京グルメ」という老舗クチコミレビューサイトを2004年にライブドアが買収し、その後「ライブドアグルメ」→「ロケタッチグルメ」と改名したサービスだ。
各サービスが新たな施策を次々と打ち出したいま、グルメサイトバトルは、新たなステージに突入するのだろうか。果たしてグルメサイトの栄枯盛衰やいかに。