乳首ドレスがワーストに/写真:SPLASH/アフロ

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毎年、世界中から注目を集めているアカデミー賞では、レッドカーペットでのファッションの失敗はその後のキャリアにも致命的なダメージを与えることがあると言われている。またメディアの格好の餌食となるため、セレブやスタイリストが外部の批判や噂を気にするようになり、場数を踏んだ大物セレブが大失敗をするケースは、年々減ってきている。

【写真を見る】アンが、日本のファッションにインスパイアされたというプラダのペールピンクのドレス

今年は、毎年誰かがチャレンジを続けながら、誰ひとりとして高評価を得たことがない大柄プリントのドレスを着ていた有名セレブはおらず、大失敗作がなかったのが印象的だが、毎年恒例の米E!テレビを中心に、ピープル誌、ロサンゼルス・タイムズ紙、デイリー・メール紙などが選んだワーストドレッサーをまとめてみた。

今年、なんとも気の毒にワーストドレッサーの汚名を着せられたのは、こともあろうに『レ・ミゼラブル』(公開中)で助演女優賞を受賞したファッションアイコンのアン・ハサウェイだ。

授賞式の3時間前に決めたというプラダのペールピンクのドレスは、前掛けのような上半身はニプレスで、「バツに大きく背中が開いたウエストに、エプロンのようなリボンが邪魔」「ティファニーのネックレスもうるさくて不要」だというのが大方の意見だ。日本のファッションにインスパイアされたというドレスはアンにとってのチャレンジだったが、過去に、受賞者がワーストに選ばれることはほとんど皆無だったことからもわかるように、決してひどすぎるものではなかった。しかしアンには期待値が高い上に、「長年の友人ヴァレンチノ・カラバーニを裏切ったこと(理由があったようだが)、“乳首ドレス”であること」が、ワーストの決め手になったようだ。

今回、ドレスそのものではなく、アクセサリー(松葉杖)といでたちで悪評を植えつけてしまったのは、クリステン・スチュワートだ。オフホワイトのリーアム・アクラのドレスは賛否が分かれたが、E!テレビの辛口ファッション評論家たちは、「受賞者でもないのに、神聖なレッドカーペットを松葉杖で歩くべきじゃない。ファンタジーの世界に現実を持ち込むのは規則違反で、来るべきではなかった」とオカンムリだ。さらに当日は風がふいていたとはいえ、「寝起きのようなヘアスタイルも最悪。何よりもおどおどした態度や表情からは、自信は感じられず、ドレスに見合っていない」「浮気はありだけど、松葉杖はNG。ハリウッドのルールを勉強するべき」との厳しい審判を下され、今業界内で最も嫌われている女優であることを改めて認識させられる結果となった。

今回意表をついたのが、『The Sessions』で主演女優賞にノミネートされていたヘレン・ハントだ。環境問題に取り組むハントは、なんと環境保護団体グローバル・グリーンと協業しているというコンセプトの一致で、昨年秋からパリでランウェイデビューを果たしたばかりのH&Mのカスタムメイドのネイビーのドレスを着用した。洋服が安い分、ジュエリーは70万ドルだそうだが、「昔GAPを着てきたシャローン・ストーン気取りだけど、あれは彼女だからできたのよ。H&Mでもかまわないけど、安い繊維でできたドレスはレッドカーペットに着てくるべきではない。洋服が静電気で身体にまとわり付いているし、既にシワシワ。長丁場のオスカーでシワになる洋服は論外」として、ワーストドレッサーに選ばれている。

また、『007 スカイフォール』(12)でボンドガールを務めたナオミ・ハリスのマイケル・バドガーの黄土色の深くスリットの入ったドレスは、「色も最悪。胸も出しすぎ、スリットもまるで陰部まで見せたいみたいに深すぎて下品。ボンドガールとは思えない」などと酷評されており、ドレスそのものが悪いわけではなかったアンやクリステン、ヘレンがいなければ、各メディアからもダントツの悪評価を受けている。

他にはケリー・ローランドの上下白黒のダナキャランのアーティスティックなドレスが、「ドレスに着られている。深すぎるスリットが下品」と不評だったほか、自らがデザインを手がけたブランディ・グランヴィレのベージュのドレスは、胸の半分以上が露出し、乳首が見えそうなほどのデザインが下品であるとして大不評だった。これについてはグランディが自己防衛策のためか、父親のコメントとして、「折角のドレスだけど、胸が露出しすぎている」と自らツイートするという異例の措置を取っている。

一般人の間ではボトックス疑惑でツイートが飛び交ったレニー・ゼルウィガーが着ていた、ゴールドのキャロライナ・ヘレナのドレスにも、「ありきたり。それより、目を開けたほうがいいわね。まだ43歳なんだから」とバッサリ。もともとレニーはハリウッドスターには珍しく目が小さいが、ボトックス疑惑が出るほどお肌はつやつやでも、目ジリの垂れ下がりは顕著で、登壇したレニーの黒目がよく見えなかったゆえのコメントだが、ジェニファー・アニストンの赤いヴァレンチノのドレスと共に、普通過ぎたのがよくなかったようだ。

他には、メリッサ・マッカーシーのグレーのデービッド・マイスターのドレス、ワースト常連のヘレナ・ボナム=カーターのヴィヴィアンヌ・ウエストウッドの黒のドレス、ジャッキー・ウィーバーとマーシャ・ゲイ・ハーデンの赤いドレス、そしてオリヴィア・マンのマラケッサの赤いドレスやマーク・ラファロの妻サンライズ・コイグニーのモノクリームのドレスなどが不評だった。

一部メディアからはベストドレッサーに選ばれているものの、全般的に不評だったのはファッション・アイコンのアマンダ・サイフリッドだ。2ヶ月前から決めていたというアレキサンダー・マックイーンのカスタムメイドの薄紫色に刺繍入りのドレスは、「デザインも色も老けて見える。胸が丸く開いたシルエットも中のパットが見えるし、ゴージャスなヘアもアップにしないでおろすべきだった」との評価が下っており、不仲なはずのアンと共に仲良くワーストドレッサー入りを果たした。【NY在住/JUNKO】