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嘉屋 恭子
2015年1月8日 (木)

古家は使える? オトクなの? 古家付き土地のアレコレを聞いてみた

古家は使える? オトクなの? 古家付き土地のアレコレを聞いてみた(写真:123RF)
写真:Daniel DePetro / 123RF

不動産のチラシなどを見ていると、しばしば目にするのが「古家付き土地」。では、単なる「土地」とはどう違うのか。古家が付いていることで、メリットやデメリットはあるのだろうか。素朴なギモンをぶつけてみた。

「古家付土地」は実質「中古一戸建て」と変わらない場合も

今回、古家付き土地について教えてくれるのは、一戸建てはもちろん、土地の取引も多く手がける三井のリハウス石神井公園店の松本到大店長。なんとなく個人的なイメージだと、古家付き土地といえば古~い木造の空き家がついた、広めの土地を思い浮かべるのだが、実際のところはどのようなものなのか。

「古家付き土地とは俗称で、広告上の表記ルールでは、土地か中古一戸建てしかないんですよ」とのっけから解説してくれた松本さん。いわゆる筆者が思っていたような“古家付き土地”はあくまでも思い込みのようで、正しくは「土地※現況 古家あり」が正解のようだ。では、「土地※現況 古家あり」として販売される物件と、「中古一戸建て」になる場合の違いはなんだろうか。

「販売時に土地扱いにするか、中古一戸建てにするといった明確な基準はありません。ただ、傾向からいうと平成に入ってからの建物は『中古一戸建て』、昭和に建築されたものは『土地』扱いになることが多いですね」。というのも平成26年(※取材時)である現時点では、(1)住宅ローンが組みやすい、(2)住宅ローン控除がうけられる、(3)現在の耐震基準を満たしている、といったことから、平成築の建物はまだまだ使用できると判断されて、中古一戸建てとして販売されるようだ。

では、「土地※現況 古家あり」として販売されやすい物件やエリアなどはあるのだろうか。
「例えば、都心や城南地区のように地価の高いエリアでは、建物が使えそうであっても、購入者は建物を解体して自身で建て替えを計画するケースが多いため “土地”のほうが需要があって流通性が高いと考えられますから、土地としてのほうが流通しやすいはずです。いずれにしても、販売上の戦略や売主さんの意向などを考慮して、総合的に判断しています」(松本さん)のだとか。そのほかにも売主が愛着を持って大切に使っている建物は、中古一戸建てとして販売するなど、「土地※現況 古家あり」と「中古一戸建て」の境界は、意外とあいまいなようだ。

古家付き土地を買うメリットは?

では、土地として販売されていたが、残っている“古家”も気に入った場合、住むことはできるのだろうか。
「もちろん可能です。先日も駅徒歩1分の土地を見学された方が、建物も気に入って成約となったケースがありました。ただ、建物の築年数が経過しているため、建物の現況をきちんと理解したうえで、ご判断いただくことが大切です」と松本さん。

別の物件でも、土地を購入したが建て替えるか、建物をリフォームして使うか悩んでいるケースもあったそう。いずれにしても、買い手から見れば、土地の価格で建物がついてくるわけだから、限られた予算で土地と建物を手に入れたい人にとっては、価格メリットはありそうだ。

また、もう一つのメリットとして、「土地として販売されていても、現状に建物があることで、建て替えたあとの暮らしのイメージがつかみやすいのも利点といえるかもしれません」。確かに日当たりや建物の配置など、住み心地につながるような、貴重な情報を得られるのもポイントになりそうだ。

ちなみに、筆者は古家付き土地を「空き家」とばかり考えていたが、「実際は売主がお住まいのケースが多く、みなさんご自宅の売却資金をもとに住み替えられるんです」といい、次いで空き家、相続に関連して売却というケースが多いという。

古家付き土地を買うときの注意点、デメリットは?

では、デメリットはないのだろうか。古家は利用できなければ建物の取り壊し費用などが発生するが、負担するのは売り手? それとも買い手? 家財道具などが残っている場合はどうするのだろうか。

「基本的に土地として販売されていれば、取り壊し費用を負担するのは買い手になります。そのため、解体費用相当分を価格交渉する方も多く、これが成立するケースはよく見聞きします。また動産(家具家財道具など)ですが、こちらは慣例として売り手側が撤去することが多く、家財道具に関しては買い手側の費用は原則として発生しません」(松本さん)

ちなみに、前の所有者が税金などを滞納していた場合でも、「固定資産税は売買契約時に精算しますし、そもそも税金は土地や建物ではなく、人に課税されるので心配は無用です」とのこと。

一方で、古家付き土地の注意点としては、(1)土地の境界についてあいまいになっていることが多く、境界確定図で確認する必要がある、(2)大きな石や木があった場合、解体だけでなく、整地費用が必要になることもある、(3)上下水道の引き込み費用が新たに必要になることがある、があげられる。また、土地として売却されているので、建物の瑕疵担保責任については免責になるケースが多いため、何かあった場合は自己責任になるのが原則だという。

松本さんも、「当社のお客様にも“古家付き土地”を購入するのであれば、こうしたリスクやデメリットについては、しっかり理解した上で決断してください、とお話しています」という。

よく、「不動産に掘り出し物はない」といわれる。古家付土地の場合は、中古一戸建てと比較したときの割安感に目を奪われず、デメリットや注意点も考慮して、総合的に満足できる住まいとなるのか、よく考えてから決断するのが肝心といえそうだ。

●三井のリハウス
HP:http://www.rehouse.co.jp
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