ビジネス

中年の再就職活動 ハローワークに親が同伴も珍しくない光景

 これまで新卒の子供の就活を熱心に支援する親の苦労話が多くのメディアで報じられてきた。それがいまや、中年に近づく子供たちの再就職活動にも、親が付き添う姿が目立つようになっているのだ。

 一昔前なら、求職で子供がハローワークへ行くのに親が同伴することなどありえなかったが、いまは親が子供を連れて訪れることは珍しい光景ではないという。

 正規社員への就職を支援する千葉県の「かしわキャリアアップハローワーク(非正規労働者総合支援センター)」の担当者はいう。

「親同伴でハローワークに来て端末や掲示物を一緒にみているというのはよく見る光景です。ご両親からのお問い合わせの電話もよくあります。若いころに就職活動で挫折してフリーターになったり、そのまま引きこもったりしたお子さんが多いですね。

 そういった状況を心配して、親御さんが電話してこられる。ただ、ハローワークは本人の申し込みが基本なので、ご両親には『本人に来させてください』とお願いしています」

 親が同伴するどころか、子供の仕事探しに親だけでハローワークを訪れる人々もいる。 子ども家庭教育フォーラム代表で、教育・心理カウンセラーの富田富士也氏が実際に相談を受けたケースでは、こんな例があった。

 両親は70代前半、息子は30代後半で未婚のフリーター。両親がいくら定職に就くことを奨めても、息子は意に介さない。

 息子の将来に不安を感じた両親は「息子はコミュニケーションが苦手」という理由で、代わりにハローワークに就労支援相談に行ったが、やはり「ご本人を連れてきてください。適性検査や職業訓練もありますから」と追い返された。さすがにハローワークの担当者も困惑ぎみだったという。

「その息子さんはニートでも引きこもりでもなく、“やる気のないフリーター”でしたが、むしろそのほうが深刻です。正規で働いた経験のない人には、なかなか条件のいい仕事は斡旋されず、まれに正社員の仕事があっても、息子のほうがグチグチと不満をいって決まらないことが多い」(富田氏)

※週刊ポスト2013年7月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン