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中国「シャドーバンキング」問題 日米欧は同じ道通った過去

 通常の銀行を介さずに行う金融仲介業務、シャドーバンキング(影の銀行)が中国で拡大しており、世界を金融不安が覆いつつある。中国でバブル崩壊が起こるのではないかと恐れられているこの事態について、大前研一氏が解説する。

 * * *
 中国が「シャドーバンキング(影の銀行)」問題で、いよいよ土壇場に追い込まれている。シャドーバンキングとは、銀行の融資以外の方法で資金の貸し借りを行なう不透明な金融取引で、中国の地方政府が経済成長を維持するためにインフラ工事などを増やした際に積み上がった債務の“隠れ蓑”になっていると指摘されている。

 2012年末の総額は約233兆円(中国社会科学院調べ)に上り、これが不良債権化すれば中国経済だけでなく世界経済の大きなリスクになるため、7月中旬のG20財務相・中央銀行総裁会議では「シャドーバンキングの国際的な規制・監視強化のさらなる進展を期待する」という文言が共同声明に盛り込まれた。

 また、G20に先立ち、IMF(国際通貨基金)が、中国ではシャドーバンキングなどによる正規の銀行融資以外の貸し出しがGDP(国内総生産)約840兆円の55%に達しているとして「金融システムの安定に脅威となりうる」と警告、アメリカのバイデン副大統領や日本の麻生太郎財務相も懸念を表明した。

 しかし、私に言わせれば、これは“余計なお世話”だ。なぜなら、日本もアメリカもヨーロッパも、同じ道を通ってきたからである。

 日本はバブル経済崩壊に伴う1990年代前半の住専(住宅金融専門会社)問題、アメリカは1980年代のS&L危機と2000年代後半のサブプライム危機、ヨーロッパは1980年代後半に北欧やイギリスで不動産バブル崩壊による金融危機を経験している。中国のシャドーバンキング問題もそれらと構造はほぼ同じで、正規の銀行がリスクを避ける中でノンバンクが暗躍した結果なのである。

「では、中国のバブルはいつはじけるのか?」というのは愚問である。今日かもしれないし、明日かもしれない。来年かもしれない。中国政府がとぼけて引き延ばそうとすれば、もう少し長続きするかもしれない。

 だが、いずれはじけることは間違いないのである。

※週刊ポスト2013年8月16・23日号

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