現在、群馬県の中之条町で開催されている『中之条ビエンナーレ』。温泉街の古民家や、温泉を舞台にした現代アートの祭典で、年々規模を拡大し、今年4回目を数える。10月14日にいよいよフィナーレを迎えるこのアートイベントの見どころを、中之条ビエンナーレ実行委員会の唐澤さんに聞いた。
–『中之条ビエンナーレ』を開催されたきっかけは何でしょうか?
「1996年にさかのぼりますが『眠る男』という映画が製作され、ここ吾妻郡中之条町で撮影されました。その際、映画の中で絵画担当をされていた日本画家の平松礼二さんが中之条町を気に入ってくださり、『吾妻美学校』というゼミを開いたのです。その後、2006年に、美学校5期生の6人から“自分たちの絵を街の人たちに見てもらいたい”という申し出がありました。そこで、6人の絵だけでは足りないので、規模を大きくしてビエンナーレを開こうということになったのです」
–では、中之条ビエンナーレの見どころは?
「農山村や温泉街、空き家になってしまった古民家を舞台に、作品を展示しています。地場の魅力と共にアートを楽しめるのが最大の見どころですね。最終日の10月14日にはクルージングイベントも予定されていますよ」
–ちなみに中之条ビエンナーレは、地域にどのような役割を果たしているのでしょうか?
「中之条は過疎化が進んでいる地域で、また少子高齢化も進んでいます。ビエンナーレによって大勢の人がこの地に訪れることは、街の人たちにとっては、ふるさとに対しての自信や誇りを取り戻すきっかけになっているでしょうし、またイベント運営のボランティアに関わることにより、改めて街のよさを発見したり、みんなに喜んでもらおうとすることが、心を活性化させているように感じます」
わずか6人の提案から始まったビエンナーレは、去年は35万人という大規模なアートイベントに発展した。訪れる人だけでなく、中之条町の住民もふるさとを見直すことができるという、好循環をもたらしているようだ。みなさんもぜひ一度ご覧あれ。