住宅ローンの金利が低下し続けている。年明け早々の1月適用金利では、多くの住宅ローンの金利が軒並み過去最低を更新した。どの程度の低金利になったのか? 金利は今後どうなるのか?
35年などの長期間にわたり金利が固定される「長期固定型」の代表的な住宅ローンが「フラット35」だ。住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する住宅ローンで、取り扱う金融機関によって金利が異なる。
平成27年1月に適用される金利※は、1.47%~2.12%(金融機関の適用金利の最低~最高)の範囲で、最も多い適用金利が、1.47%だ。6カ月連続で過去最低を更新し、ついに1.5%を下回る低金利となった。
※最も基本的な借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下の場合
フラット35の金利の指標となる、市場の長期金利が低下していることが要因だ。アベノミクスにより、日本銀行が追加の金融緩和に踏み切ったことで、長期金利が2014年末に0.3%台にまで下がった。年明けには原油価格下落の影響もあって、一時は0.265%まで下がり、こちらも過去最低の水準を更新している。
長期金利の低下を受けて、銀行の住宅ローンの金利も、1月の適用金利で過去最低を更新した。
とはいっても、民間金融機関の住宅ローンは低金利競争が続き、これ以上金利を下げれば収益を圧迫しかねないほどの低金利となっていた。それでもフラット35の金利の低下に応じて、10年固定といわれる金利タイプで軒並み0.08~0.10%金利を引き下げる事態となった。
10年固定は、当初の一定期間だけ金利を固定する「固定金利選択型」の住宅ローンで、10年間金利が変わらない安心感と低金利で人気がある。1月の適用金利は最も優遇される金利の場合で、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行が0.90%、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行が1.15%、りそな銀行が1.20%になった。
選挙で圧勝した安倍政権にとって、アベノミクスによる景気回復は後に退けない課題だ。デフレ脱却まで金融緩和策は続けられると見込まれるため、今後も引き続き低金利が続くことが予想される。ただし、グローバルな要因で状況が一変する可能性もある。また、景気が回復すれば金利も上がっていくので、長期的な見通しは不透明だ。
さらに住宅ローンの金利は、実際に融資を受ける時点での金利が適用されるのが一般的だ。つまり、過去最低を更新した1月の最低金利が適用されるのは、住宅を購入して1月に引き渡しを受けるプロセスまで達した人が対象。これから購入を検討する場合は、住宅の引き渡し時期に注意し、今後の金利の動向に注目し続けてほしい。
住宅ローンがこれだけ低金利であれば、利息を抑えることができるので、購入には好環境。だからといって、無理な借り入れをしたり、買い急いだりすることのないようにしたいもの。本当に住みたいと思える住宅を買うことが、最も大切なことだ。