>> 過去ログから検索  |TOP|

>>photo-eyesログ内から検索します
[検索方法]

●log no.0002-0100 2001/03/11 08:34 - 2001/05/07 22:57


2 掲示板、開通 深川雅文 2001/03/11 08:34
photo-eyes
さまざまのな視点から写真を見る、考えるというような意味をこめて。
この言葉の起源は、現在と同様、写真の変革・革新がドラティックに進んだ1920年代の最後を飾った、ドイツでの歴史的な展覧会「Film und Foto」(1929)の開催に合わせて出された本、「foto-auge フォト・アウゲ(写真-眼)」にあります。デジタルテクノロジーが私達の生活に深く浸透しつつある現在、写真のありかたが問われています。この「現在」の様相に、ここでいろんな角度からコミットメントしていきたいと思います。


5 自己紹介 深川雅文 2001/03/12 22:35

まず、初めてここでお目にかかる方のために、簡単に自己紹介をさせていただきます。 深川雅文(ふかがわ まさふみ) 1988年より川崎市市民ミュージアム学芸員。「現代写真の動向」展(1995)、「遠・近 ベッヒャーの地平」展(1996)などの写真展、「バウハウス」展(1994、1999)、「グラフィック・デザインのモダニズム」展(1999)などのモダン・デザインの展覧会を手がける。訳書『写真の哲学のために』(ヴィレム・フルッサー著 勁草書房)、共著『世界の写真家101人』(新書館)など。デザイン論的観点から、クルマ、時計、オーディオについての評論も行う。 これから、よろしくお願いします。


6 日本の現代写真に対する高い関心 深川雅文 2001/03/12 22:36

前田氏が本ホームページのPaperyでハッセルブラッド写真賞に杉本博氏が選ばれたことを伝えられていた。これは、日本の写真に対する国際的な関心の高さをあらためて示している。90年代、杉本博や荒木経惟、森村泰昌などを中心に、さらに宮本隆司、柴田敏雄、畠山直哉などの写真家たちが国際的な舞台で活躍を見せ、日本の現代写真に対する国際的な関心が高まった。その流れは、近年も続いている。たとえば、パリの写真雑誌PARIS PHOTO MAGAZINE INTERNATIONALは、新世紀の最初の号(現行の号)を日本特集としている(この雑誌に関心がある方は、Photographers' Galleryに一部コピーを置いておくのでご覧いただきたい)。関連するニュースをもうひとつ。ラトビア共和国の首都リガの写真美術館で03FOTOSの主宰者でもある楢橋朝子氏の展覧会が開催中(3/8より)。この展覧会は、昨年11月、世界写真キューレーター会議がフィンランドで行われた際、ラトビア写真美術館の館長から日本の現代写真を紹介したいという相談が出席した私にあり、情報を提供するなかで具体化したもの。作家本人も近々、現地に赴くとのこと。どのような展示でどのような反応が見られたか、楢橋氏が帰国後に話しをうかがうのが楽しみだ。


7 ロシア・アヴァンギャルド展(庭園美術館) 深川雅文 2001/03/13 22:39

「ロシアン・アヴァンギャルド」という言葉は今もとても魅力的で、多くの人に訴える力を持ち続けている。しかし、この展覧会のタイトルとしてふさわしいかどうかは、前田さんがPaperyでご指摘のように議論すべき点だろう。ステンベルク兄弟の作品を中心にして、このタイトルをメインに置くことには、正直なところ、僕としてはためらいを感じる。ロシアン・アヴァンギャルドのひとつのアプリケーションとしてステンベルクの仕事は重要であるからだ。僕は、この時期のソヴィエト・ロシアの視覚芸術を扱った展覧会「信念、希望、順応」展(1995-1996 ドイツ)を思い出す。この展覧会では、ロシア・アヴァンギャルドの光の部分だけでなく影の部分も見事に提示されていた。とりわけ、リシツキーの仕事の展開と堕落へといたるプロセスが展示され、痛々しくも、ロシア・アヴァンギャルドの問題の場を指し示していたからだ。目黒の展覧会では、USSR in Construction が大きな影響を与えた日本のFRONTとともに展示されていたが、その影響関係の指摘にとどまらず、その本質に迫ることがそろそろ求められているのではないか。新世紀とは、おそらくそういうことが検証されるべき時代なのであろう。優れたコレクションであるが、そんなことを思わされた展覧会であった。


8 photo-eyes 拡張予告 深川雅文 2001/03/13 22:47

photo-eyesは、現在、たまたま僕(深川)のみが書き込んでいますが、近々、複数のメンバーでの書き込みが始まる予定です。さまざまな情報あり、コメントあり、そしてセッションありのコーナーになります。乞、ご期待!


9 物語と反物語 深川雅文 2001/03/15 00:50

鈴木理策氏の展覧会「M.SUGAWARA 天神御霊信仰伝」(エプサイト 4/1まで)である。鈴木氏は、「熊野」や「恐山」といった日本人の信仰に根ざす物語に写真でもってコミットメントを見せ、独自の世界を切り開いてきた。今度は「菅原道真」に照準を定めた新たな展開を見せている。「菅原道真」を巡る画像による物語の構成とそこからの逸脱というふたつのベクトルに貫かれた展示は、信仰の歴史的時間と現代の生の時間の接触面と切断面を渾然として立ち上げる。しかも、スピード感を伴って。写真表現として見た場合、画像間の意味論的な位置づけと(曖昧な意味も含めて)、構文的な位置づけが、自由と必然の両法則にしたがって行われているところが絶妙である。こうした構成の実現に、デジタルプリントによるシームレスな展示法は大きく寄与しているように見えた。額を使わない必然性がこの展示にはある。


10 第32回アルル国際写真フェスティバル 2001 深川雅文 2001/03/15 22:38

今年も、フランスで「アルル国際写真の出会い」が開催される。フェスティバルは6月3日〜6月8日、展覧会は6月4日〜8月19日の会期で開催される。ディレクターは、今年で3年目になるジル・モラ。僕は彼とは三回会っている。最初は川崎での「フランス現代写真展」(90)、二回目はヒューストンのフォトフェスト。そして三回目は、一昨年のアルルのフェスティバルで(昨年、川崎で開催した『陰翳礼讃』展のプレミアはアルルだった。)昨年は、14万人の参加者を見たとのこと。今年は、写真における「匿名性」をテーマにする。詳細については、次のページをご覧いただきたい。 http://www.rip-arles.org


11 「デジタルプリントでよみがえる笠倉家の乾板写真」 深川雅文 2001/03/15 22:39

川崎市市民ミュージアムの展示の紹介をさせていただきます。川崎市で発見された大正・昭和初期のアマチュア写真家、笠倉知栄が残したガラス乾板が開館直後に寄贈されていました。コンピュータの環境が整ってきたので、スキャニングして内容を確認したところ、とても面白く、価値あるイメージが多く含まれていたのでギャラリーの展示として企画しました。デジタルプリントにして約100点展示しています。内容は、川崎の「ラルティーグ」とでも形容すべきもので、笠倉氏の身の回りの裕福な人々の遊びや家族の風景が、新鮮なまなざしで捉えられています。インターネット上でも画像が見られるようにしていますので一度のぞいてみてください。 古い写真資料をデジタル技術でどのように保存し活用していくかというひとつの提案でもあります。(川崎市市民ミュージアム 〜5月13日まで) http://home.catv.ne.jp/hh/kcm/


12 関西情報 深川雅文 2001/03/15 22:52

東京にいると関西のことが見えにくいと感じるのは僕だけではないだろう。 関西の方にとってはどうなのか。インターネットは相互のコミュニケーションを促進してくれるはずだと信じたい。 さて、関西情報のソースとして、ひとつ紹介したい媒体がある。 VAL News である。大阪国際写真センターのニュースレターである。 関心がおありの方は、次のURLに飛んでみていただきたい。 http://www3.osk.3web.ne.jp/~oicp/ 写真家たちは動いている。東でも西でも。たとえ、政治・経済がどん底の様相を呈しているように思われても。心強いことだ。


14 熊野百景 北島敬三    2001/03/18 17:57

前田さん、深川さん、いつもPGを元気づけてくれて、ありがとうございます。 で、初登場が、いきなりお願いになってしまい恐縮なのですがー。 実は先日ぼくの友人の編集者(熊野市出身)から、明治時代の久保昌雄という写真家の話を聞きました。お二人ともご存知ですか?ぼくは全く知りませんでした。 久保昌雄は田本研造の弟子で、和歌山県新宮市に写真館を建て、1900年に熊野百景というアルバムを作ったということです。久保写真館は現在も四代目が経営し、アルバムもガラス版も現存しているとのことでした。 さっそく、その編集者に頼んで、アルバム(複写)を見れるように手配してもらい、それが昨日届きました。第一印象ではいわゆるオリエンタリズムの視点が目につきましたが、じっくり見ていると宗教的なものも感じられました。ただ、僕自身明治の写真にはまったくの不案内で、見方がどうしても抽象的になってしまいます。ひじょうに情けない話ですが、この機会に少しでも理解を深めようとは思っています。それらの写真は、いずれ、PGで大勢の人に見てもらおうと思っていますが、ひとまず、お二人に見ていただきご感想などお聞かせいただけたらと思い、お願いするしだいです。借用期間が今週いっぱいと短いのですが、もし興味があって時間がありましたら、ぜひ見てください。PGに置いておきます。


15 「熊野百景」について 深川雅文 2001/03/19 23:41

職業がら、古い写真を拝見する機会は少なくない。古い写真を見るのは、現代の写真を見るのと同じくらいに僕にとっては面白い。たとえ、その作者がよく知られていなくても。とくに、ものの見方が鮮明に見えてくる写真であれば。いや、ものの見方を見つけるのは、見る自分なのだ。作者についての予見なしに、画像に対峙することになる。その画像を見ることは、自分自身のなかに読み解くコードを探る作業となる。もちろん、作者の来歴がわかればそこからさらに読み解くコードは広がっていくが。この態度は、実は、現代の写真を見るときも基本的には同じであると僕は考えている。前ふりが長くなったが、北島さんが言及された写真家の作品を観るのを楽しみにしている。田本研三の弟子というと、日本の写真のパイオニア、上野彦馬を第1世代とすると、第3世代の写真家に属する写真家になると思われる。20世紀前後の日本の写真状況の調査は、これからの領域である。「熊野」を撮った写真家の作品であれば、現代の「KUMANO」を撮った鈴木理策氏にも拝見していただければ面白いかも。打診してみましょう。


16 吉村朗展、韓国で開催中 深川雅文 2001/03/19 23:42

吉村朗氏が、現在、韓国で個展を開催中である。ソウルのGALLERY LUXで、すでに3月21日にオープンしており、4月3日まで開催している。タイトルは、GENO GRAM。これは、家系図のような意味である。ここ五年ほど、自らのルーツに写真の物語性の機軸をおいてきた吉村氏のテーマの新たな展開と見ることができるだろう。実際の作品はまだ見ていないのでコメントは、いずれ作品を観てからにしたい。フットワークの素晴らしいpaperyの前田さん、なにかの用事で近々、韓国に行かれることがあればぜひとも見てきていただきたいものだ。


17 フランクの言葉 深川雅文 2001/03/19 23:44

現在、スイスの雑誌『ドゥ』(1941年創刊)に関わった写真家たちの作品によって20世紀を振り返る展覧会の日本展の監修の仕事をさせていただいているが、そのカタログ化の作業のなかで、次のようなロバート・フランクの言葉を見つけた。「写真は、これだけは含んでいなければならない。それは、その時代の人間らしさである」(1962年)。たとえばアナログ/ デジタルといった見かけの対立は、この言葉においては解消するだろう。現代の写真に関わる写真家たちは、「写真」に関わるのは勿論だが、「現代」ということに関わらざるをえない。現代写真とは、たんに、〈現代「の」写真〉という意味というよりも、僕は、「現代」×「写真」と捉えたい。フランクの言葉でそんなことを考えさせられた。


18 杉浦邦恵作品展 ツァイト・フォト・サロン 3/31まで 深川雅文 2001/03/22 00:07

97年にニューヨークMOMAのNew Photography13展にも選ばれ、2000年から大規模な個展「Dark Matters/Light Affairs」がアメリカを巡回中と近年、国際的な活躍が目立つニューヨーク在住の杉浦邦恵氏の展覧会である。杉浦氏は、フォトグラムの技法を積極的に用いてきた作家として知られるが、今回は、去年末に制作したという新作がフォトグラム作品のなかに混ぜられている。新作は、フォトグラムではなく、大判(20×24インチ)のポラロイドによるストレートなカラーの作品。花や植物をセットして撮影している。一見すると、たしかに花の写真なのであるが、それだけに終わらないなにかが僕を引きつけた。セットされた花とその背景の白地との関係が、逆転するように見えるポイントがあるのだ。地と図の逆転、これはまさにフォトグラムの価値転換に通じている。フォトグラム作品ではないが、「フォトグラム」的な価値変換をはらんだ作品なのである。杉浦氏ならではの作品である。 幸い、杉浦氏と久々にお話することができ、帰国前の忙しさのなかだったが、二時間ほどニューヨークのこと、作品のこと、他の作家の仕事などについていろいろと意見を交わすことができた。おかげで、僕は、なにかパワーをいただいたような気がする。杉浦さん、ありがとうございました。会話の内容については、あらためてご紹介したい。


19 鈴木理策氏、『熊野百景』を見る(予定) 深川雅文 2001/03/22 00:13

今日、展覧会「シャッフル」(ポラロイドギャラリー)のオープニングで鈴木理策氏にお会いしました。北島さんがコピーを持ってこられた『熊野百景』について話したところ、鈴木氏もぜひ拝見したいということでした。報告まで。


20 楢橋朝子氏、ラトヴィアより帰国 深川雅文 2001/03/22 00:17

以前、楢橋朝子氏のラトヴィアでの展覧会をご紹介したが、楢橋氏が3/20に帰国された。元気なメールをいただいた。今週末、楢橋氏から現地での様子などお話を聞く予定。近々ここでご紹介したいと思っています。


21 熊野百景見ました 前田恭二 2001/03/22 12:19

こんにちは。きのうpgに立ち寄って、「熊野百景」見ました。北島さんの「明治のコンポラ」という評言が言い得て妙、という感じ。捕鯨の場面とか、特徴的なカットを挟むものの、こちらが熊野らしいなと思うような観光イメージにあまり寄り添うことなく、たんたんと続く。ただ撮影意図からすれば、熊野の景観美を広めようというわけだから、これがよさなんだと思っていたわけですよね。そういう今日の目と、撮影した彼、久保昌男(1864−1938年、田辺の南方熊楠とほぼ同時代人ですね)の目とのギャップについて考えさせられる写真。しろうと目に、横浜写真などと違うのは、いかにも日本的なものを強調する意図が乏しいこと。また、浮世絵など名所絵の文法にも乗っていない。ここでの俯瞰視の多用を見て、ぱっと思い浮かべるのは、むしろ中世いらいの真景図。私見では、真景図とは地図的な要素が強いしろものだと思いますが、写真という技術を手にした時、久保の念頭に、一方で地勢を正確に記述すべきだという責任感のようなものが宿っていたということはないのかな、と感じました。


24 熊野百景、その後 北島敬三 2001/03/23 01:02

飯沢耕太郎氏がpgに来られたので(氏は今年pg皆勤賞を狙うとおっしゃっていてくださいます、ありがとうございます)、さっそく熊野百景を見ていただきました。熊野百景のpgでの展示が実現したら、そのおりなんらかのテキストをお願いできることになりました。氏の感想は後日ということにして、ここではそのことだけ報告しておきます。 前田さんの、「写真という技術を手にした時、久保の念頭に、一方で地勢を正確に記述すべきだという責任感のようなものが宿っていたということはないのかな、と感じました。」という感想にはハッとさせられました。ぼくには、想像できなかった文脈でした。 それから、久保昌雄のもうすこし詳しい経歴が入手できたので、UPしておきます。 久保昌雄 くぼまさお 元治元年(1864)、和歌山県東牟婁群新宮町(現新宮市)の対岸、三重県南牟婁郡鮒田村(現紀宝町鮒田)で生まれた。高岡尋常高等小学校、十津川文武館中学(現十津川高校)に学び卒業。その後大志を抱いて北海道に渡り開拓事業に従事したが、やがて北海道を離れ東京、大阪、九州など各地を歴偏。それを通じて故郷・熊野の景観は全国稀に見る素晴らしいものであることを認識、写真撮影によって故郷の風景を広く紹介することを使命とせんと志し、和歌山市の義兄・柴田素雄のもとで写真術を修得。明治25年(1892年)ごろ、帰郷して新宮町の下本町に写真館を開き、暇をみては近隣各域の景勝地を探訪、ガラス写しのPOPで撮り続けた。明治33年(1900年)5月10日には、およそ1年かけて熊野一帯を撮影、完成した「熊野百景写真帳」(上下2巻)を時の皇太子(大正天皇)のご成婚記念に献上。その中の十数葉の写真は「太陽」の懸賞にも入選、当時の大家、京都の黒川翠山などの作品にも肉薄するほどだったという。また明治36年(1903年)、大阪天王寺で開催された第五回内国博覧会に「雨中の瀞峡」を作品、特等となって展示され、これまで一部の文人墨客が遊ぶに過ぎなかった瀞峡を広く天下の人々に知らしめた功績もある。昭和13年(1938年)、75歳で死去。 [久保昌雄が始めた「熊野百景」の写真帳製作や観光絵葉書製作は、その後息子の久保嘉弘に引き継がれ、発展させられた。ただ、下本町にあった久保写真館は昭和21年12月の南海大地震の際の新宮大火で焼失、現在は新宮市新町に移って営業している。] [なお、久保昌雄は小学校時代から成績優秀であったらしく、在学中助教員として下級生を教えたといわれる。当時、近隣にはまだ新宮中学も大本中学もなく、進学するとすれば文武館中学しかなかったと見られる。]


25 白岡順氏、東京造形大学教授に 深川雅文 2001/03/24 00:39

すでにご存知の方も多いかもしれないが、長年パリを拠点に活動し昨年日本に戻ってきた写真家、白岡順氏が、東京造形大学教授に就任した。白岡氏には、昨年、帰国を機に川崎市市民ミュージアムの写真ギャラリーで個展をやっていただいた。また、同時期に『陰翳礼讃』展関連イベントのワークショップや合評会をやっていただいた。そのとき、氏の言葉の重さと、指導への情熱を身近で感じていたので、この就任は、氏自身の今後の活動にとってはもちろんのこと、これから写真を学び、作品をつくろうとする若い世代の皆さんにとっても朗報だと思う。とりあえず、ご報告まで。


27 朝岡あかね展 commandN 3/31まで  深川雅文 2001/03/24 00:47

昨年、注目された企画のひとつ、akihabara-TVを企画したcommandN (http://webs.to/command-N)で朝岡あかね(バルセロナ在住)展 Eternity in my living room が開催されている。今回は、会場をリビングに仕立てて来訪者をもてなす。あなたは、そこに置かれたクッションに座ればいい。室内から見た外の風景が本当の居間のようにプロジェクションされている部屋に、懐かしい歌が流されている。現実だけど仮想の空間と高をくくってみても、次第に「リアル」さの感覚が心の中に浮上してくる。おそらく、それが朝岡氏のしかけた罠なのだろう。外界には、パソコン・ガジェット・シティと化した秋葉原の喧噪があり、そのなかにエアポケットのような仮想のリビングが実在するという風景が生まれている。他にもビデオ作品などが小さい展示ながら小気味よく配置されている。額風にしつらえられた小型液晶テレビで見られるビデオの作品に、Yesterday Once More がある。これも、絵空事じゃないかと高をくくってヘッドホンを耳にして見ると、ちょっと泣きたくなった。はまった僕を、横で作家が見ていて笑っていた。感情や記憶の行方と起源といったことがらを巡って、朝岡氏は画像と空間を有機的に結びつける試みを行っている。帰宅して、テレビのニュースでミールが大平洋上で流星のように輝きながら落下する映像を見た。鮮明な画像ではなかったが、何か心にひっかかるものを感じた。哀しみ、懐かしさ、憧れ…「何に」という対象が曖昧なままに生まれる感情の流れ。そこに、朝岡氏の作品に連なる映像の質を感じた。


28 「TIDE」誌 Vol.4 2001 (窓社)について 深川雅文 2001/03/26 22:22

 2000年夏より季刊として復活したTIDE誌の第四号(春号)について述べてみたい。写真の雑誌としては、日本カメラ、アサヒカメラ、CAPAなどがあるわけだが、TIDE誌は、これらの既存の雑誌とは趣を異にし、独自路線を貫いてきた。基本的には写真の本質をドキュメンタリーとして見る視点に立ちつつも、だからといって芸術的アプローチを排除するでもなく、どちらかに大きく肩入れするわけでもない。むしろ、多様な写真、多様な視点を通して写真の向こう(あるいは受け手の内面)に投射される世界のありかた、人間のありかたのようなものに向かっているようなところがある。時代の息吹というものを写真を通して探るという態度(TIDE)が特徴的だと言えるかもしれない。たとえば、今回の特集、ヒューマン・ボディには、INRI, Lynn Bianchi,大西純樹、岸本健、辰巳卓也の作品が取り上げられている。巨体の女性のヌードを撮って国際的にも注目されているLynn Bianchiとスポーツの現場での肉体のありよう(体操選手の潰れた肉刺など)を撮った岸本健の写真がならびたつことは、TIDE以外ではないだろう。一見、異質に見えるかもしれないが、こうした組み合わせで肉体を見せられることで、それらの作品の間にある種の共鳴現象が生まれ、肉体を見る目に新たな回路が発芽する。こうしたTIDEの独自な視点は、オーソドックスな写真雑誌を見慣れた目にとっては奇異に映るかも知れないが、今述べた「回路の切り開き」の可能性という点で、TIDE は新しい方向性を示していると思う。  ところで、この号では、西井一夫氏へのインタビューも掲載されている。そのなかで、写真の「記録」ではなく「記憶」という言葉の使い方について論じられている部分がある。僕なりに解すると、「記録」は絶対的な(あるいは、客観的な)存在として措定されている意味が強い。「記憶」は、いわばそれを契機として世界を立ち上げることができるもの、あるいは、先ほどの言葉を使えば「回路」を切り開くもの、ということができるかもしれない。ここに、僕は、TIDE誌の写真への態度を直観する気がした。このインタビューは、編集長の淺野氏の視点をうかがう上でも興味深いものだった。TIDE誌は、まだ、発展の途上にある媒体だ。この雑誌をサポートする読者の方々は、おそらく、既成の写真概念とは異なる写真のビジョンを内に醸成しつつあるのかもしれない。そう思うと、今後が楽しみだ。


29 楢橋朝子氏、ラトヴィアでの展覧会について 深川雅文 2001/03/26 22:31

先週末の土曜日、楢橋朝子氏から、ラトヴィアの写真美術館の展覧会の模様を撮ったアルバムを見せていただいた。展示場の状況など、心配していたこともあったが、結果としては、楢橋氏のNUEの展示にマッチした場所だったようだ。よかったと思った。ギャラリーは歴史のある美術館の建物の一室で、時間の滞留のしかたが、楢橋氏の写真世界に現出する時間の質に溶け合っているような感じがした。オープニングの質疑応答に集まった人々の表情からは、静かだが熱い関心を感じさせた。その後の反響について、写真美術館のアウジンス館長にもお尋ねしてみたいと思う。アウジンス氏の言葉については、追ってご紹介したい。


31 展覧会情報 深川雅文 2001/03/28 00:46

海外情報 Die Lager 強制収容所 1933-1999 Fotomuseum Winterthur スイス、ヴィンタートゥア 4/7/-6/3/2001  www.fotomuseum.ch ユダヤ人強制収容所をテーマにした展覧会。送ってきた案内状に使われている図版がずしりと心に響く。ホームページで拝見していただきたい。 Behind Colsed Doors: The Art of Hans Bellmer ICP アメリカ、ニューヨーク市 www.icp.org ドイツ生まれでフランスで活動したハンス・ベルメールの1930年代の人形のシリーズを、ナチス・ドイツ下のジェンダーと性の問題という文脈で捉えるというもの。 ベルメールときたら、倉石さんにコメントをいただきたいところ。 Joan Jonas 3/31-5/6/2001 NGBK, ベルリン www.berlinc.de ビデオとパフォーマンスのアーティスト、ヨアン・ヨナスの展覧会。NGBKの1992年の企画「大都市」展では、北島敬三氏も参加した。NGBKは、興味深い団体なので、一度、ページを覗いてみることをお薦めしたい。 国内情報 第7回NICAF(国際コンテンポラリーアートフォーラム)が3/27より4/1まで、有楽町駅に近い東京国際フォーラムで開催される。www.nicaf.com 写真を用いた作家の作品も多数出品されるので要チェック。


32 鈴木清氏を顕彰する「gugan project vol.3」開催 4/1 深川雅文 2001/03/28 01:00

急逝された写真家、鈴木清氏を顕彰するプロジェクトgugan project が三回目を迎え、一年間続けられたプロジェクトのフィナーレを迎える。一回目の講師は金村修氏、二回目は鈴木一誌氏、そして最終回の今回は倉石信乃氏が務める。「世界の水盤-鈴木清さんの記憶に」という標題で倉石氏が講演を行う。4/1(日) 18.00-20.00 港北公会堂(最寄り駅 東横線 大倉山駅より徒歩10分 電話045-540-2400)。参加費用無料、参加希望の方は、会場へ直接行くことができる。17.40より整理券を配布。定員40名。問い合わせは、溝部秀二氏まで。mizoshuu@f3.dion.ne.jp (倉石さんから、前田さんのコーナーとこのページを見ているというメールをいただいた。このページは、これからいろんなしかたでリンクし、拡がっていくのかもしれない。)


33 東京芸術大学と写真 深川雅文 2001/03/28 23:06

今日は、今義典氏に会いに東京芸術大学の写真センターに行った。初めて、写真センターの暗室に伺った。古い施設ではあるが、基本的な設備は揃っており、学生の皆さんが写真制作の技術を学ぶとともに、実際に制作を行う場だ。芸大というと、絵画や彫刻、版画などの分野が伝統的に強いところという印象が今も残っているかもしれない。しかし、芸大でも、今日の現代美術における写真や画像・映像表現の隆盛という状況は拡がりつつある。とりわけ、本校とは離れた取手高ではその傾向は顕著な感じがした。一昨年、芸大の取手高に講義で行った際、ちょうど取手祭かなにかで全学科の学生達の展覧会があっていた。そこでは、日本画専攻の学生の作品にも映像の利用が見られたし、油絵専攻の学生の作品の大半は、写真とビデオを用いたインスタレーションであった。先端芸術研究科の存在も大きいのかもしれない。変わりつつある芸大の一側面を目の当たりにして、新鮮な感じを受けたことを思い出した。ちなみに、上野の桜は満開だった。


34 2000年度木村伊兵衛賞について 深川雅文 2001/03/28 23:09

すでに新聞報道でご存知かと思うが、2000年の木村伊兵衛賞は、長島有里枝氏、蜷川実花氏、HIROMIX氏の三人の女性作家が同時受賞となった。このことについてはおそらくいろんな意見があると思うが、面白い批評があったので紹介しておきたい。 なんと新潮社が出している自動車の雑誌ENGINE No.5(2001.5) のコラムENGINE Beat02(23ページ)でこの受賞が取り上げられている。それほど今回の受賞は話題になったということだろうか。賛成論として佐藤朗氏という方、否とする立場として大竹昭子氏が執筆されている。詳しくは、同誌をお読みいただきたい。受賞式には僕も行くつもりだが、大竹氏が指摘されている審査会での議論の経緯について、どのような説明があるのかを楽しみにしている。 (ところで、同じ雑誌のENGINE Beat01のコラム[21ページ]でマーク・二ユーソンがデザインした時計について書いているのは小生です。笑いとばしてください。)


35 Re:2000年度木村伊兵衛賞について 前田恭二 2001/03/29 23:36

確かに話題を呼んでいるようですね。ぼくが見たのは、文芸春秋のTitle誌で、対談形式の記事が出ていて、都築響一さんが疑問に答える、という形で語っていました。なお、SPA!誌巻頭では、やはり選考委員の篠山紀信さん撮影による受賞者3人そろいぶみもありました。ただそれだけなんですけど。


36 NICAF展短信 深川雅文 2001/03/29 23:51

 一昨日ここでもご紹介したNICAF展を訪問した。横浜で開催されていた頃より、スペース的に縮小されてはいるが、現代美術のギャラリーのブースが所狭しと並んでいるのを見るのはやはり楽しい。経済状況はたしかに良くないのだろうが、作家の活動はやむことがない。写真もしくは写真を用いた作品を扱うギャラリーの数は明らかに増加していた。外国の作家の紹介は、以前より減っているように見える。外国作家では、韓国の作家、中国系の作家の数が増えているようだ。  個々の写真作品についてここでの詳しいコメントは控えるが、ざっとあげておく。ツァイトでは、柴田敏雄氏の2000年の作品、ハヤカワマサタカでは、前沢知子氏による糸を自然の中に埋め込むプロジェクトの写真作品、ギャラリー・コヤナギの複数の写真作家の作品(杉本博司氏を含む)、双での多田正美氏のインスタレーション、成山画廊での奇形の身体の記録写真などいろいろと面白い展示があった。東京都現代美術館のブースもあって、宮島の液晶の作品なども飾られている。  会場を歩いていると、いろんな人に出会うのも面白い。BASE Galleryの前を通りかかったら、韓国の写真作家KOO BOHNCHANGが僕を見つけて声をかけてきた。久しぶりの再会だ(Base Galleryに氏の作品は展示されている)。双では、ちょうど多田氏がいらして、いろいろオランダ滞在中のときの話しを伺うこともできた。レントゲン・クンストラウムでヤノベケンジのクルマに乗り込んで遊んでいたら、堀広哉氏から声をかけられたり。ドイツ人作家で神出鬼没のスキンヘッドの夫婦にも再会。近々、フランクフルトのシルン美術館で展覧会があると言っていた。関係者と話していたら、Photographers' Galleryのメンバーの蔵 真墨さんが僕を見つけて声をかけていただいた。ここでの一昨日前の書き込みを見て、今日、来てみたということだった。会場には、女子高校生の姿や女性の学生の姿も結構目立っていた。  来年の開催はどうなるのだろうという噂もないではないが、祭り好きの僕としては、来年も開催していただきたいと願っている。4/1(日)まで。東京国際フォーラム(JR有楽町駅より徒歩1分)


37 メイプルソープ 北島敬三 2001/04/01 23:44

突然本の話ですが、パトリシア・モリズローの「メイプルソープ」(新潮社)を読みました。以前「KULA」という小さな写真誌をやっていたときに、評論家の四方田犬彦氏と一緒にニューヨークまで行って、メイプルソープにインタビューを試みたことがあって(結局それは失敗したのですが)、この本には少なからぬ関心がありました。いかにしてメープルソープが立身出世したかということが克明な調査をもとに書かれているだけなのですが、結論から言うと、非常におもしろかったです。僕はつねづね、作品の内容についてのみ言及しようとする文章あるいは本には多少不満を感じています。アトリエ内の問題は美術あるいは写真の問題の一部に過ぎません。この本は、アトリエの側からではなく、市場の側から書かれた数少ない本です。他には、ローラ・ディ・コペット、アラン・ジョーンズ「アートディーラー」(パルコ出版)=レオ・カステリ、ホーリーソロモンなどアメリカの有名アートディーラーへのインタビュー集、トーマス・ホーヴィング「ミイラにダンスを踊らせて」(白水社)=もとメトロポリタン美術館館長の自伝本、を足しておきます。


39 東京都写真美術館、秋の現代写真展の概要 深川雅文 2001/04/02 10:10

先日、東京都写真美術館の学芸員、笠原美智子さんとご一緒する機会があり、そこで秋の企画展についてご紹介したいとお話ししたところ、メールをいただきましたので、その内容をご案内します。笠原さん、ありがとうございました。 (ちなみに、川崎市市民ミュージアムの現代写真の動向・2001展は11月に開催します。 2001年の秋は、東京、川崎と現代写真の企画が続くわけです。川崎展の内容については、近々お知らせします。)

東京都写真美術館13年度展覧会 手探りのキッス 日本の現代写真 (仮題) Kiss In The Dark, Contemporary Japanese Photography 2001年9月11日(火)〜11月25日(日) (社)企業メセナ協議会認定事業 主催:「日本の現代写真」展実行委員会 東京都写真美術館 朝日新聞社 会場:東京都写真美術館2階展示室  後援:助成団体(申請中) 協賛:資生堂 富士写真フイルム ニコン アサヒビール 第一生命 東レ   松下電器 他 協力:日本油脂(予定)全日空(予定)東武鉄道(予定)写真弘社 フェニックス他   (内容)90年代において今までにない表現を試みる優秀な日本の現代写真家たちが 多く輩出した。20代後半から30代の気鋭の作家たちの試みは、今までにないヴィ ジョンを開き、若い世代の観客の絶大な支持も受けている。  優れた芸術作品とは、社会における感覚器官であると思う。価値観の急激な変動を 経験している現代において、そうした変化を敏感に捉えて未来を指向することは、ま るで暗闇を手探りしていく楽しみに似ている。「身体性」「他者性」「マルチカル チャリズム」「引きこもり」「ジェンダー」等のキー・ワードでしばしば語られる彼 らの作品は、結局、私たちが未だ経験したことのない未来への予感を示すものであ る。そうした作家たちの作品を展覧することにより、新たな美術館の姿を試行する。 【出品予定作家】約12作家130点程度 やなぎみわ 楢橋朝子 米田知子 鷹野隆大 鈴木凉子 鯉江真紀子 渡辺剛 市川 美幸小林伸一郎 他                              図録制作:淡交社(一般書として制作)

講演会:日時 会期中の一日 テーマ「日本の現代写真」 講師 図録執筆者
候補:斉藤美奈子(評論家) 会場 東京都写真美術館1階ホール (無料・先着200名様) 巡回:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 2002年2月10日〜4月7日 問い合わせ:東京都写真美術館学芸員 笠原美智子 神保京子
手探りのキッス 日本の現代写真 (仮題) Kiss In The Dark, Contemporary Japanese Photography September 11(Tue.)〜November 25(Sun.),2001                                          Organized by Tokyo Metropolitan Museum of Photography, The Asahi Shimbun Sponsored by Shiseido, Nikon, Asahi Breweries, Fuji Film, Toray The Dai-ichi Mutual Life Insurance Company, Panasonic Cooperated with All Nippon Airways, Tobu Railway Co., Ltd (tentative) Aims: To explore the trends and meaning of the work of up-and-coming contemporary Japanese photographers. Contents: The nineties saw the appearance of a large number of talented Japanese contemporary photographers who experimented in new forms of expression. These works, by up-and-coming artists in their twenties and thirties, created new visions that received an overwhelming response from younger audiences.Great works of art are said to represent the sensory organs of society and with the rapid changes we are experiencing in social values, the joy of being able to be able to use these senses to catch the trends as they occur and thereby guess at the future is akin to that of feeling our way in the dark. The works of these artists are often referred to through the use of such keywords as; "Bodily", "Otherness", "Multiculturalism", "Seclusive Withdrawal", "Gender", etc. but in actual fact, they are simply attempts to predict a future that all of us have yet to experience. By exhibiting their works in this way, it could be said that we are anticipating the form of the art museum of the future. curated by Michiko Kasahara, curator, Tokyo Metropolitan Museum of Photography with association of Yuka Uematsu, curator, Marugame Genichiro Inokuma Museum of Contemporary Art Artists (tentative): Miwa Yanagi, Tomoko Yoneda, Rudai Takano, Ryoko Suzuki, Makiko Koie, Go Watanabe, Miyuki Ichikawa, Sinichiro Kobayashi and so on Travelling Venues: Marugame Genichiro Inokuma Museum of Contemporary Art Museum February 10〜 April 7, 2002     For Further Information: KASAHARA Michiko, curator, Tokyo Metropolitan Museum of Photography JIMBO Kyoko, curator, Tokyo Metropolitan Museum of Photography address: 1-13-3 Mita, Meguro-ku, Tokyo 153-0062, Japan 7 minutes walk from the East Exit of JR Ebisu Station, Yamanote Line parking is not available phone: (03) 3280-0031 NTT hellow dial (03) 5245-7078 fax: (03) 3280-0033 e-mail: photoinfo@tokyo-photo-museum.or.jp internet: http://www.tokyo-photo-museum.or.jp


41 季刊 雑誌 『A 』2001 vol.10 写真特集「世界は存在しているのだろうか」 深川雅文 2001/04/02 22:49

季刊 雑誌 『A』 2001 vol.10 collaboration works for a 3rd field 写真特集「世界は存在しているのだろうか」 (平成13年1月25日号 発行:株式会社 文芸社 950円) 季刊 雑誌『A』が、写真特集を組んでいる。この雑誌としては初の写真特集だということだ。企画は、編集長の馬場正尊氏、写真家の近藤ヒデノリ氏、写真家の三橋純氏の三氏が共同で行われている(ようだ)。この雑誌の存在は、近藤ヒデノリ氏が、僕にニューヨークからこの雑誌をお送りいただいたことで知った(不勉強で申し訳ない)。近藤さん、ありがとうございました。  内容は、おおまかにいって、現代写真の側面を示す誌上グループショー「On Concept: 10 photo-based artists from NY」(キューレーション:近藤ヒデノリ氏)と現代の写真状況を巡る上記の3方の鼎談「往復書簡」プラス写真史ないしは写真論に関するコラムからなる。鼎談のテクスト量はかなりのボリュームにのぼるが、鼎談形式なので、初心者でも読み進めることができるだろう。全体の流れは、今日の状況下で「写真 のあり方を問いかける」というトーンが貫かれている。今日、写真にどのような問題の場があるのかということを、読者自身の写真への考え方と照らし合わせながら一緒に考えていくための手引きとしてのテクストになるのではないだろうか。意志あるひとは、そこから、さらに入っていけばいい。次の号は、4月25日発行なので、まだ書店にあるが、もうすぐなくなるかもしれないので関心のある方は早めに書店に行かれたし。ちなみに、次号のタイトルはeroticである。


43 付記:メイプルソープ 深川雅文 2001/04/03 23:52

北島さんが紹介されたメイプルソープの評伝について、コメントさせてください。 書名:メイプルソープ パトリシア・モリズロー著(田中樹里訳 新潮社 3200円 3/5/2001)  写真家に関する優れた伝記は、作品の辿ってきた道を照らすサーチライトのようなもので、作家の創造の軌跡と土壌を照らし出してくれる。そのような伝記として、バーク=ホワイト、アーバス、リーフェンシュタールなどについての優れた評伝があるが、この本は、こうした系譜に連なる重要な評伝となるだろう。  帯にあるコピーが、その内容を簡潔に要約してくれているので紹介しておこう。 「完全なる瞬間を写し取る天才的感性とタブーなき同性愛美学を融合し、写真の域を超えたアート界の寵児となりながら、エイズにより早世した写真家ロバート・メイプルソープ(1946-1989)。その苛烈な生涯を彼自身の声と綿密な取材で空かす。悪魔的なまでの成功願望、ドラッグや同性愛SMへの凄まじい耽溺、魂の恋人パティ・スミスとの交流等、美と欲望に憑かれた男のポートレート。」  僕は、死の直後の1990年に、パリで彼の大回顧展を見ることができた。幸運だった。というのは、日本でも彼の展覧会が90年代の後半に何度かあったが、重要な作品が問題作でもあり展示が不可能だったからである。もちろん、パリの展示では、そのような「あぶない」作品もすべて見ることができた。であるから、なおさら、この評伝は作品のリアリティを深めてくれる。輸入書の作品集で「あぶない」作品も含めて今一度見ながら読むことをお薦めしたい。評伝に収められた写真図版とその解説もとても興味深い。  ちなみに、この大部の評伝を翻訳された訳者の田中樹里さんとは、つい最近、仕事で偶然お会いすることがあった(ENGINE誌の編集の仕事もされており、僕の担当をされているという関係)。北島さんには、10年ほど前にお会いしたことがあるということをお聞きした。メイプルソープを巡って、なにか、不思議な縁を感じた次第。



46 写真展「くつがえされた鏡匣」 蓑田貴子+北爪満喜 深川雅文 2001/04/04 23:24

展覧会のご案内である。 写真展「くつがえされた鏡匣」 蓑田貴子+北爪満喜 4/10-4/24  会場 CASA 台東区谷中7-18-17 斎藤ビル1階 文字テキストと画像の関係は、先日ご紹介した、朝岡あかね氏の作品にも見られるように、今日、写真表現のなかでさまざまな試みがなされている領域である。本展は、そういう表現の可能性に深く関わっている展覧会である。写真家、蓑田氏が写真とともに詩作し、詩人、北爪氏がデジカメで画像を作るとともに言葉を生み出す。「くつがえされた」とは、各人の役割の転換の意味を含んでいるのだろう。双方から、相手の得意とする表現法を用いて互いの触手を伸ばしていくことで、コラボレーションとしての新たな形が見られるかもしれない。来週の火曜日にスタートする。 詳しくは、下記のページをご覧いただきたい。 www1.nisiq.net/~kz-maki/event/ev1.html ところで、文字テキストと画像の関係に深く関わった作品というと、僕は、昨年、写真新世紀展で入賞を果たした山田大輔氏が、一昨年に制作したビデオ作品「獰猛なる言葉の世界」を思い出す。まだあまり知られていない作品だと思うが、この作品には見るべきものがある。いずれ、場をあらためて、ご紹介したいと思う。



47 「日本発見 岡本太郎と戦後写真」開催 川崎市岡本太郎美術館 深川雅文 2001/04/04 23:28

「日本発見 岡本太郎と戦後写真」展が、4/28-7/22 川崎市岡本太郎美術館で開催されるのでご案内しよう。  岡本太郎の写真の仕事については、近年、脚光をあびてきた領域である。本展は、「日本」を独自の視点で追求した写真家としての太郎の実像と、戦後日本写真のなかで展開された「日本」論的な写真作品を生みだしてきた作家6人を対置して見せようというものだ。6人の作家は、土門拳、濱谷浩、東松照明、内藤正敏、土田ヒロミ、藤原新也、都築響一である。詳しくは、下記のホームページをご覧いただきたい。 www.city.kawasaki.jp/mus/TARO/index.htm  僕は川崎市市民ミュージアムの学芸員であるが、姉妹館の関係にある川崎市岡本太郎美術館で写真をテーマにした本格的な展覧会が開催されることを喜んでいる。岡本太郎という芸術家の視座を通して、写真という概念そのものに新たな視点が開かれる可能性があるからだ。この展覧会は、昨年、ブレッソン論で重森弘庵賞を受賞した同館学芸員の楠本亜紀さんの写真展デビューでもある。どのような展覧会になるのか、楽しみにしている。



49 マリリン・モンロー写真展の展覧会カタログ 深川雅文 2001/04/05 22:41

 マリリン・モンロー写真展が、4/9まで、東京の伊勢丹美術館で開催中である。その展覧会カタログは一見の価値がある。約170ページにわたり、ところどころにマリリンの言葉がインサートされながら、だいたい一点ずつくらいマリリンの写真が掲載されている。これらの写真イメージの下に、モンローについての著書もある亀井俊介氏の書き下ろしの評伝がテクストとして最初から最後まで流れる。たとえば、「生い立ち」、「モンローの映画」、「ケネディへの思い」等々全23章にわたってモンローの一生を追うという形だ。図版は、もちろん章立ての内容にしたがって、概ね時系列で展開される。  という具合で、これはカタログというより、図版に満ちた一冊の本なのである。帯には、「新しいスタイルの図録 ブックログ誕生!」とあり、企画者の狙いどおりの仕上がりになっている。装丁も本格的なハードカバーのバインディングになっている。この本をてがけたデザイナーの広瀬郁氏にお会いすることがあり、話しをうかがった。「とにかく、普通の型録というのにはしたくなかった」とのことだった。この言葉に、僕は大いに共感した。実際、僕が担当させていただいた展覧会でも、本あるいはマガジン的なデザインを何度か試みたことがあった。やはり、図録は面白くあってほしいではないか。  経済的に困難な時代とはいえ、年間、数え切れないほどの図録が日本では作られている。もっともっと、編集/デザイン/レイアウト的に意欲的な「カタログ」が出てきていいと思う(とはいえ、本当にやろうとしたら、予算的な裏付けが必要となるので、その点もクリアーしなければならない)。モンロー展のカタログは2500円。ちょっとした本を買うつもりをすれば、内容的に見てもリーズナブルな価格だと思う。写真の版権処理の大変さを考えると、よくこれで押さえたなと喝采したくなるくらい。読み物としても、楽しめる内容だ。写真展を見る前に、このブックログをまず読んで見ると、倍楽しめるかもしれない。4/9まで。その後、広島三越に巡回する。


50 ユニクロと写真 深川雅文 2001/04/05 22:44

 僕の住む町(横浜市青葉区)の近辺には、車で15分圏内にユニクロがなんと4つもある。すごい勢いだ。熱心なユーザーというわけではないが、ときどき店を覗いてみる。ディスプレイの写真が気になるからだ。  春の新しいディスプレイもはっとさせられる。ユニクロのウエアを身につけた颯爽とした人像が、さりげなく、しかし魅力的にディスプレイされている。その写真には、被写体の名前は記載されないが、場合によっては、職業名がキャプションとしてつけられている。今回は、「ピッチングコーチャー」、「ブロードキャスター」、「フリーター」などなど。これらの職名がつけられている人のすべてが有名なわけではないが、何人かはわかる人にはすぐわかるという人々だ。今あげた三つの職名のうち、最初のひととして小林繁氏、二番目の職業のひととしてはピーター・バラカン氏が写されている。この写真の使い方を考えたクリエイターの方は、かなり、写真の歴史にも通じたひとではないかと思う。  そのルーツは、今世紀の肖像写真の巨人、ドイツのアウグスト・ザンダーであることは間違いないからだ。ザンダーは、1929年に『時代の顔』という写真集を出版。60点の肖像写真が、農民、職人、労働者、芸術家などの職名の元に編集されている。それぞれの個人名は記されていない。なかには、当時の著名な文化人や芸術家が含まれているが、その固有名は出されていない(たとえば、作曲家のヒンデミット、指揮者のフルト・ヴェングラーなど)。「写真家」というタイトルで顔を出すのは、実はザンダー自身であったりする。  ザンダーの写真集が、近年、ファッション業界でもてはやされたことがあるが、たしかに、見方によっては、時代のファッションカタログのようにも見える。しかし、ザンダーが目指したものは、人像の社会的な分類をとおして20世紀のドイツの時代精神のありかを浮き上がらせようとするものであった。手法的には通じるところがあるが、ユニクロ写真に見られるような、商品の礼讃に写真を従属させることは目的の次元が決定的に異なっている。  このことから何が見えてくるだろうか。写真のオリジナルな形式は、内容と密接に結びついてたとしても、それがいったん形式として流通すると、別の意図の下に利用されることも可能なのだ。写真を見るときに心の中で働かせなければならないのは、その意図を読み解く力なのである。  ユニクロの写真、あらためて見てみてください。


52 アクセス1000カウント突破です! 笹岡啓子 2001/04/06 14:50

こんにちは。pgメンバーの笹岡です。 この[photo-eyes]を始めて一月余りであっという間にアクセス1000カウントを突破しました!このwebサイトオープン当初はリアクションを受ける場がなく、実際、どういう人たちに、どのくらい見られているのか全く掴めていませんでしたが、このページを開始してからというもの、皆さんの、(pgを含め)写真や美術に対する関心の強さをリアルタイムでひしひしと感じられるようになりました。  深川さん、前田さん、三嶋さん、いつも本当にありがとうございます。この場を借りて御礼を申し上げます。そしてこれからもよろしくお願いします。  まだ、[off the gallery]が前田さんの[papery]だけだった頃、(ちなみに本日アップ分で[papery]も10更新を数えました!)その中で紹介された膨大な展示をワンワンッと後追いで見に行っては、その前田さんの熱心さと鋭さに(実際はその圧倒的な量に・・)参っていた私ですが、ここへきて二人の強者の登場で、私犬はすっかりキュィ−ンと畏縮しておりました。が、そんな息などつかせぬ勢いと熱意にこれからも私はウゥ−ワンワンと就いていく次第です。皆さんとこうして関わることができて本当に幸運に思っています。それもこれも北島さん、本当にありがとうございます。  このサイトを愛読してくださっている皆様、御意見、御感想等ぜひメールにてお待ちしています。またこのページに参加して一言物申したいっ!という方もぜひ御連絡下さい。



53 ユニクロ 武藤誠 2001/04/06 19:25

以前、PGでお会いした、朝日出版社の武藤です。 深川さんの文章を楽しみに拝見しています。 早速ですが、ユニクロの、ここ2年余りの広告展開を全て クリエイティヴ・ディレクションしているのは グラフィック・アーティストのタナカノリユキさんです。 タナカさんの経歴等々は、ボクなんかより、 きっと深川さんの方がお詳しいでしょう。 最近は、ナイキの広告なんかもやっておられ、 POPを地で行く方ですが・・・。 先日、まさに深川さんのご指摘のテーマを巡って、 タナカさんと、しばし、雑談しました。 お話の内容は、企画に関連しているので、今は 口にしづらいのですが、「確信犯」なんだなあ・・と タナカさんのお話を聞いて、思いました。


56 Re:instant city 北島敬三 2001/04/06 19:44

イタリアのフィレンツェ郊外のプラトーにあるベッチ美術館で企画されているグループ展に僕も出品しています。キュレターは去年荒木経惟展を企画したFilippo Maggiaです。タイトルは"instant city"です。作家は僕のほかに、Thomas Struth,Gabriele Basilico,Philip Lorca diCorcia,Hanna Starkyなど13人です。期間は2001.2.24-4.30です(やや遅きに失したが)。で、今日、その展覧会のカタログが送られてきました。一番最初がThomas Struthの写真でその後にGabriele Basilico、Keizo Kitajima,Philip Lorca diCorciaとつづきます。なんだか、イタリア/理想都市派にドイツ/タイポロジーと日本/ポストヒストリーがからんで、なにかヤバくはないのか? > 興味のあるかたはベッチ美術館のサイトにアクセスしてみて下さい。 > http://www.comune.prato.it/pecci/home.htm


57 photo-eyesの行方 1000件突破に寄せて 深川雅文 2001/04/06 23:15

 photo-eyesは、3/10に始まったので、実際には一ヶ月を前にして1000件アクセス到達となりました。僕や北島さんが必死になって「再読み込み」のクリックを繰りかえしていたという噂も・・・ないわけで、多くのオーディエンスの方々にアクセスいただいたという紛れもない現実に、元気と勇気をいただいています。ありがとうございました。  僕にとっては、たんに評論や情報を書かせていただく場ということにとどまらず、ウェブ上での写真を巡る情報や言説の流通の仕方そのものに関する実験的な試みの場でもあります。それによって、どのような社会的現実が生じてくるのかということも含めて。仮想的にも見えたWebネットワークが、新たな現実を生み出す契機になるとしたら、インターネットも棄てたものではない。トピックの選び方、書く際の文体のありかた、論述の深さ(あるいは、浅さ)、論述の角度、情報のスコープの広さ(あるいは、絞り込み)・・・といった点であえて種類の異なる言説をアップしてきました。しばらくは、最適なやり方を求めたり、言説を一方向に絞り込むのではく、多様な情報と言説をいわば「自動記述」的にフローさせてみたいと思っています(これは、通常の紙の媒体では不可能なことです)。とすると、僕は、写真を巡るLOVEマシーンと化するのかもしれませんね。WowWowWowWow、と・・・。 このコーナー、まだまだいろんな可能性が待っていると思います。どのように展開するのか、僕自身も楽しみにしています。オーディエンスの皆さん、今後とも見守ってください。そして、どこかでお会いしたり、つながったりすることを夢見ています。あるいは、オフ会でもやりますか、北島さん。


58 関西情報:アーガス展/The Third Gallery Aya 深川雅文 2001/04/08 19:46

大阪のThe Third Gallery Aya で1999年から連続して開催されている現代写真家のシリーズ展覧会「アーガス」について、ギャラリーのディレクター、綾さんから紹介のメールをいただきました。このギャラリーは、大阪で写真に力を入れているギャラリーのひとつです。ご案内します。以下、綾さんの文章です。

------------------------------------------------------------------------------ 3年目に入ったアーガス 1999年から「アーガス」が活動を始めている。何回かのグループ展や個展の体験が あり、長く作品を作り続けたいメンバーが5人でスタートした。現在は6人、年に1回 の展覧会、月に1度の合評、ポートフォリオという形で印刷物を残すことなどがの活 動の柱だ。グループワークとしての利点を活用し、それぞれのメンバーは自分の作品 を作り続けていくシステムだ。 天野憲一は「memorize」というタイトルで、自分の現在から未来への混沌とした意識 を繋ぎあわせる作業として、シャッターを切っている。HOLGAというおもちゃのよう なカメラが紡ぎ出す映像は目に飛び込んできた忘れえない衝撃を思い起こさせる。 鍛治谷直記の「路上景」はここ5年間撮影してきた作品の集大成としてまとめられた。 一番人の多い繁華街。ランドスケープとして人を撮る、その方法は既にあるものだ。 ごみごみした都市のランドスケープは無意識の人の顔を捉えることで生き返る。それ を思い起こさせる数と迫力がまとまった。 橋本和子の「indoors」には室内の動物達が写し出される。こんなぽつんとした静か な様子を見たのは始めてではないか?かわいいや安らぐという形容詞はここにはない。 静かな静かな亀、ワニ、オランウータン、こうもり、蛇、ペンギンである。 今年から参加の田中伸治の「アムネジア」は日本語で健忘症という意味である。逢間 が刻という言葉をご存じだろうか?昼と夜が出会う時間。人は光が消えていくその時 間に身を隠すという。体が光とともに消えてゆくのだ。全てが忘れ去られてしまう時 間である。その時間に起こることは全てが本当で全てが本当でない。そういう写真で ある。 辰巳卓也は「We tnink why the world is so FUCKED UP!! vol,7―文身―」。人間の 体に彫られて始めて刺青は生きる。その生々しさと美しさは「死」との対極にあるか らこそなのだろうか。現在、被写体は刺青そのものから、からだにある刺青の姿に変 化している。そこを見て頂きたい。 サードギャラリーAya 綾 ○ The Third Gallery Aya ○ 大阪市北区西天満2-8-1大江ビル1F ○ TEL/FAX:06-6366-8226 ○ 休館日:日曜 ○ 開館時間:月〜金/12:00〜19:00 土/12:00〜17:00



59 「第3回Work Shop gu gan 」報告(溝部秀二氏) 深川雅文 2001/04/08 19:53

photo-eyesでもご紹介した、鈴木清氏を顕彰するgugan project、最終回についてのご報告を事務局メンバーの溝部秀二さんよりいただきました。最終回は、定員を上回る盛況で、このページを見て参加された方もいらっしゃったということでした。以下、溝部さんの文章です。 溝部さんありがとうございました。鈴木さんのご家族をはじめ関係者の皆様にも御礼申し上げます。 ****************************************************************************** 「第3回Work Shop gu gan :『世界の水盤―鈴木清さんの記憶に』…倉石信乃氏」 報告 (文責:溝部秀二氏)  去る4月1日(日)横浜市港北公会堂において第3回Work Shop gu ganが、横浜美 術館学芸員の倉石信乃氏を講師に迎え開かれました。写真集『流れの歌』『天地戯場』『修羅の圏』『デュラスの領土』より選ばれた約70点のスライドを軸に、氏の視点から捉えられた写真家、故鈴木清先生の独自な創作活動をめぐってレクチャーが行われました。先生の写真が喚起する特異な世界へと分け入る一時間半だったという気がします。また、当日は生前先生がアトリエとして使われていました「愚々庵(グガン=gu gan)」も開放され、多くの方々にお越し頂きました。なお、昨年の4月より活動を続けてきました「gu gan project」は今回のワークショップを持ちまして活動を終えました。一年間のご支援ありがとうございました。 gu gan project :昨年3月に急逝された写真家、写真教育者であった鈴木清先生の 理想と足跡を顕彰し、次代へ伝導することを目的に、先生のご家族と生前交流のあった教え子たちによって作られた、一年間期間限定のプロジェクトです。活動として、鈴木清写真展「千の来歴」(コニカプラザ、2000.9/21〜10/2)の開催サポート、ワークショップの開催(第1回:金村修氏、第2回:鈴木一誌氏、第3回:倉石信乃氏)とそれに併せたインフォメーションペーパー(全3号)の発行、先生が残された、ネガやプリントの整理を行ってきました。 


61 写真/建築/都市 深川雅文 2001/04/11 07:04

最近、写真と建築、都市論に関するプログラムが、同時的にいくつか見られる。面白いと思ったのでご案内したい。 1. 「特集 建築写真」INAX出版 10+1 23号  田中純氏、倉石信乃氏などの多彩な執筆陣によるテクスト、ホンマタカシ氏、宮本隆司氏などの写真家の作品なども掲載されている。 2. 展覧会 「sur/FACE 14 Contemporary Japanese Architects」 with photos by Roland Hagenberg, 4/14-4/20,2001 会場 BMWスクエア 港区北青山2-12-16 最寄駅:地下鉄 外苑前 オーストリア人、ローランド・ハーゲンバーグ氏が、青木淳、安藤忠雄、磯崎新、伊藤豊雄、隈研吾、黒川紀章など14人の日本の建築家たちに出会い、建築の旅を行ったルポルタージュで、氏が撮影をしている。その写真作品と一緒に、14人の建築家たちの建築のオリジナル模型、インタビュー・ビデオ、スケッチなどが展示される。(問い合わせ 03-5410-1277 クレーインク) 3. TNプローブ リ・オープン特別企画 連続レクチャー「New Urban Conditions: 都市を変える力」 21世紀を迎えて、今日の新しい都市の状況、都市を変える力などを、海外の先端的な研究者の連続レクチャーによって明らかにするという企画。レクチャーは、全7回。すでに4回目までは開催済み。5回目は、4/17(火) 19時〜21時 都市-「地形がしめすもの」と「空間と化した力」 (サスキア・サッセン、都市計画学 シカゴ大学社会学部教授) モデレーターは、磯崎新氏、浅田彰氏。詳しくは、www.tnprobe.com 東京都港区北青山3-6-1 ハナエモリビル5階



62 関西情報:写真研究会について(文:小林美香氏) 深川雅文 2001/04/11 07:06

 写真を多様な観点から研究・調査をしているグループが関西に存在する。その名も「写真研究会」。メンバーのおひとりである小林美香さんから、紹介のメールをいただいたので、ご案内したい。ちなみに、このグループのメンバーが中心となって、現在、ジル・モラ著の『フォトグラフィー・スピーク』の和文翻訳が完成間近である。これが出版されると、世界の写真史、写真家論に関する素晴らしい手引き書を私たちは日本語で読むことができる。乞、ご期待。翻訳者のおひとりでもある小林さん、ありがとうございました。 ****************************************************************************** 写真研究会は、美術、思想、社会など、様々な角度から「写真を考える」ことを目指して、関西の若手の研究者,大学院生を中心に1999年の春にスタートしました。研究会は年4回開催され、文献紹介や研究発表を中心に情報交換を行っています。また、定期的に開催される研究会以外にも、主な活動として、翻訳出版(『写真のキーワード』(昭和堂出版)、『ヴィジュアル・カルチャー入門』(晃洋書房)、『明るい部屋の謎』(人文書院))、展覧会(『サテリコン』)、レクチャーの企画(The Third Gallery Ayaにて5〜10月に開催)など、さまざまな活動を展開しています。  研究会のウェブ版である「THINK-PHOTO.NET」は、研究会と併行して「写真を考える」 ためのさまざまな議論のきっかけを生み出していくことを目標に、研究会の活動の紹介、参加メンバーの研究成果の発表、文献や展覧会の情報提供、各種の企画のための場としても構想されています。  また、ウェブの利点として、研究会に直接参加できない方々も――BBSなどを通じて――ウェブ上の参加が可能です。展評や文献紹介、写真史や写真論についての情報提供も歓迎いたします。出版企画、レクチャーの依頼、出張研究会の依頼なども随時受け付けています。  「写真を考える」ための方法を模索しつつ、活動を繰り広げていきます。 是非,研究会,think-photo.netにご参加下さい.
写真研究会サイト-think-photo.net- http://www.think-photo.net
写真研究会BBS-Thinking Photogr@phy-
http://www64.tcup.com/6421/photography.html

画像掲示板 http://www.think-photo.net/cgi-bin/imgboard.cgi *****************************************************************************



63 オランダより日本の現代写真の調査進行中 深川雅文 2001/04/11 22:51

 オランダ国立写真研究所学芸員、フリーツ・ヒールストベルフが先週より来日し、日本の現代写真に関する調査を行っている(今週まで)。今年の11月頃に日本の現代写真の展覧会を計画しており、そのための調査である。フリーツは、昨年、京都国立近代美術館で開催された「境界上のイメージ 現代オランダの写真、フィルム、ヴィデオ」展(2000.8/8-9/24)の企画協力者のひとりである。オランダ国立写真研究所は、ロッテルダムにある。1992年、ロッテルダムからひとりのキューレターが来日、日本の現代写真の調査を行った。バース・ブルッヘ氏である。その時、彼は金村修氏を発見し、国際的舞台で初めて紹介した。その後の金村氏の展開にとって重要な出会いがあった。今回は、どのような展開を見せるのか。楽しみである。


64 The Third Gallery AyaのHPアドレス 深川雅文 2001/04/11 22:53

先日、ご紹介したThe Third Gallery AyaのHPアドレスをお知らせします。 http://www.threeweb.ad.jp/~ayay 以上



65 大宅賞 前田恭二 2001/04/13 13:15

きのうよる発表されたことですが、ノンフィクション作家の登竜門、大宅壮一ノンフィクション賞に昨年、「ホンコンフラワー」(平凡社)を出した写真家・作家の星野博美さんが決まった。受賞作はむろん写真集でなく、「転がる香港に苔は生えない」(情報センター出版局)。同時受賞は安藤忠雄の建築「光の教会」のドキュメントを書いた方だった。ちなみに、候補作には、もはやベテランと呼ぶべきノンフィクション作家が複数含まれており、そのあたりに賞が行くのかな、と想像していたので、不明を恥じました。つまり、そうした”有力候補”を押しのけての受賞、というわけで、今回の大宅賞はすこし話題を呼ぶのではないだろうか。



67 青森県立美術館から 北島敬三 2001/04/13 16:35

今日pgに青森県立美術館(仮称)の立木祥一郎氏、工藤健志氏、坂倉容子氏が訪ねてきてくれた。同美術館は2005年に会館の予定。三内丸山縄文遺跡に隣接した総合芸術パーク(仮称)の中核となる。現在、建築コンペ(史上最大規模で審査委員長は伊東豊雄氏)が終わり、最優秀賞の青木淳氏が基本設計に入ったとのこと。 立木祥一郎氏はかつて川崎市民ミュージアムの映画部門の学芸員をされていたことがあり、深川雅文氏とも懇意。photo-eyesにもたいへん興味を示されて、青森からさまざまな情報を発信してくださるとのこと。



70 兼子裕代写真展開催 4/14-4/30 深川雅文 2001/04/13 23:55

4月になり、photo-eyesにも、前田さん、三島さんをはじめさらなる執筆者の方々が参入される予定です。そのおひとり、兼子裕代さんが、4/14より、初めての写真展を開きます。兼子さんは、アサヒカメラに執筆されたり、現在は日本カメラに谷口雅氏と一緒に展評を書かれたりしています。ご自身の作品にも精力的に取り組んでこられ、今回、これまでの成果を発表されることになりました。写真展が落ち着いたら、きっとphoto-eyesへ書き込みをされることでしょう。  オープニング・パーティーは初日、4/14 18時より。僕も行く予定です。会場で見つけたら、気軽に声をかけてください。目印は髭男です。 展覧会:兼子裕代写真展 bushes and palace 4/14-4/30 場所:LACAMERA 155-0032 世田谷区代沢 4-44-12 茶沢通り沿いビル2階 交通:下北沢駅南口より徒歩10分 時間:14時〜21時(最終日は19時まで) 入場無料 電話:03-3413-9422 ---------- 71 sur/FACE展 短信 深川雅文 2001/04/14 00:06 E-MAIL : HomePage:  ここでご紹介したsur/FACE展(BMWスクエア)のオープニングに行ってきました。 北島さんと前田さんの青森県立美術館の話題のなかで、名前が出てきました、青木淳氏、伊東豊雄氏もこの展覧会で取り上げられています。14人の現代建築家たちの仕事を簡潔に見通すことができる展示になっていました。BMWスクエアは、地下鉄・外苑前よりベルコモンズの方向に横断歩道を渡るとすぐ前にあります。 4/14-4/30 入場無料



73 青森ですか。 前田恭二 2001/04/14 01:50

青森に新しい県立美術館ができるよていで、しかも、青木淳さんが建築を手がけるというのは、とても楽しみ(なかなか行くのは大変そうだけど)。青木さんは磯崎事務所で水戸芸術館に携わったあと、独立。いまやもっとも注目すべき建築家のひとりと言ってよいのでは。せんじつ深川さんが触れられていた、建築と映像という文脈でも目がはなせない人。そのことは別に書いてみたい気もしますが、さしあたりお勧めしたいのは、雑誌「10+1」のHPで、青木さんをホストとする、美術館について語り合う対談コーナーが設けられていること。初回のゲストは、磯崎さん。新しい回のゲストは、青森の黒沢さんです。アドレスは、以下のとおり。 http://tenplusone.inax.co.jp/



74 ハイナー・シリング、近々、来日 深川雅文 2001/04/15 23:11

ベッヒャー・シューレの卒業生で、96年の川崎市市民ミュージアムでの展覧会「遠近」をスタートに、その後日本での制作を続け、雑誌SDでの連載、横浜美術館ギャラリーでの展覧会などで注目されたハイナー・シリングが、近々、来日するらしい。というか、土曜日にデュッセルドルフから僕に電話があった。今週末には姿を見せるかもしれない。一ヶ月ほど前に、モスクワから絵ハガキをもらっていたので、最近の仕事が気になっていた。来日時には、最近の仕事もたくさんもってくるとのことだった。ハイナー・シリングの日本での仕事は、去年、一冊の本『エントロピーの森』でまとめられた。山形浩生氏の文章とシリングの写真から構成されている。(ハイナー・シリング展実行委員会発行)ご覧になりたい方もいらっしゃると思うので、入手方法については、少し調べてみてお知らせしたい。



75 「エントロピーの森」 森田伸子 2001/04/17 12:28

「エントロピーの森」を置いている書店は下記の通りです。 青山ブックセンター 本店 tel03-5485-5511 同         六本木店 tel 03-3479-0479 同         新宿ルミネ2店 tel03-3340-2420 同         新宿店 tel 03-3344-0881 同         広尾店 progetto tel 03-5459-3901 shelf tel 03-3405-7889 Nadif tel 03-3403-8852 鹿六/メディアショップ tel 075-255-0783 問合せ先 Qualia 160-0022 新宿区新宿2-1-3-301 tel03-5366-8648,fax 03-5366-8648 担当:堤あや子 詳細については上記の問合せ先か私の上記の連絡先にご連絡下さい。 ---------- 76 雑誌紹介『国際交流 91 2001』 深川雅文 2001/04/17 22:46 E-MAIL : HomePage: 標記の雑誌が、現代美術の特集をしている。写真やメディアを巡る議論も多いので、紹介しておきたい。 ************************************** 『国際交流 91 2001』 4/1/2001 国際交流基金発行 800円  特集 現代アートの潮流 監修 建畠哲 ・巻頭座談会 現代アート、バージョンアップ 村上隆×八谷和彦×島袋道浩 ・対談 可能性としての「絵画」 福田美蘭×小林康夫 ・テクスト:四方幸子/港千尋/正木基/木下直之/長谷川祐子/など ------------------------------------------ アートと社会、20世紀のプロフィール 鷲田清一×建畠哲/草間弥生/南條史生



78 第4回ヴェルナー・マンツ賞(オランダ マーストリヒト)  深川雅文 2001/04/18 00:11

ヴェルナー・マンツは、20年代から30年代のモダニズム写真運動の中で、新即物主義の写真の代表的作家のひとりとして活躍したケルン生まれの写真家(1901-1983)。ナチ政権下で、スパイの嫌疑をかけられ、オランダのマーストリヒトに逃れ、そこにスタジオを開いた。彼を顕彰した賞で、1991年よりだいたい3年ごとに開催されている。1991年にはシュトルート、94年にはリネケ・ダイカストラ、97年にはキム・ズワルトが受賞している。今年は、マンツ生誕100年の記念年である。 この賞で面白いのは、あるテーマの下に、複数の作家がノミネートされ、各作家が出した作品を審査して最終的に受賞者を決定するというやり方だ。今年のテーマは、「都市性と写真の戦略」。ノミネートされている写真家は、ゴスベルト・アドラー(独)、ジャン・クリストフ・バロ(仏)、ヤン・ケンペナース(ベルギー)、フランク・ファン・デル・サルム(蘭)、ポール・シーライト(英)の5人。発表は4/28に行われる。 賞金10000ユーロが与えられる。アドラー(独)は、個人的にもよく知っている作家だ。 もし彼が受賞したら、日本に来るかもしれない。というのは、彼は、日本で制作をしたいと常々言っていたからだ。などと、考えてしまった。賞といえば、来週早々、「写真の会」賞の選考会がある。経過と結果については、決まり次第お知らせしたい。



79 アンドレアス・グルスキー展 ニューヨーク近代美術館 深川雅文 2001/04/19 00:07

 

現在、ニューヨーク近代美術館でアンドレアス・グルスキーの大個展が開催中である。(キュレーターはピーター・ガラシ)期間は3/4/2001-5/15/2001まで。連休中にでもニューヨークに行かれる方は一見の価値があるだろう。カタログは、すでに本として出されており、たとえば渋谷パルコ下のロゴスの店頭に積まれていた。なお、同僚のシュトルートは、現在、日本での展覧会も一段落して休養中とのことだがすでに2年後、アメリカでの大個展の計画が決定したという。メトロポリタン美術館、シカゴ現代美術館などで開催される予定。ところで、杉浦邦恵さんと先月お会いしたときに、グルスキーの展覧会の話題が出た。面白かったのは、グルスキーの展覧会について、先生のベッヒャーが新聞で酷評していたということだ。このことは、ベッヒャーとその弟子たちの仕事の関係をどう評価するかという根本的な問題に深く関わっていると僕は思っている。そのうち、場所を見つけて書くつもりだ。



80 オークション・シーズン 深川雅文 2001/04/19 23:33

 春は花見の季節も過ぎたが、美術界では、オークションのシーズンだ。フランスのオークションカタログが一冊手元にある。LIEBRT & CASTOR の PHOTOGRAPHIES(2001年5月3日)のオークションだ。最近の写真のオークションの傾向としては、歴史上有名で重要な作家の作品は、収まるべきところに収まったという感触が強い。このオークションのカタログを見ていてもそう感じた。とはいえ、魅力的な作品も少なくない。いまやオークションもインターネットの時代、いちど覗いてみてはいかがだろう(www.liebert-castor.auction.fr)。 僕は、知り合いにアジェにぞっこんのひとがいるので、たとえば、アジェをチェックしてみたりする。このオークションでは、ビンテージプリントが三点出ている(図版番号80.81.82)。入札の目安となる価格は、7000フランから10000フランと記されているから、約20万円くらい。必ずゲットするためには、余裕があれば1.5倍から2倍くらいで入札したいところ。とすると、落札価格は約30万円〜40万円くらいになるかもしれない(取り扱い料金がさらに約10パーセントかかる)。個人的には、この三点のなかでは82番の初期の中庭風景がいいと思っている。エヴァンス(156)やバークホワイト(104)のいい作品も出ているが、これらは日本円で100万円近くいく可能性がある。  このオークションでの、目玉中の目玉は、シャルコ博物館旧蔵の奇形写真のコレクションだろう。医学的目的で記録されたさまざまな奇形症状の人々を撮った写真である(図版番号28-45)。日本では、成山画廊が日本で撮られた奇形写真のコレクションを持っているが(NICAFのブースでご覧になった方も多いだろう)、ほぼ同じ目的で撮られ保管されていたところを見ると、海外のこの種の写真への知識が日本の医学者の中にもあったと推測できるかもしれない。成山さんは、このコレクションについてすでにご存知なのかもしれない。  日本のゴールデンウイークにあたる頃まで、欧米では大小のコレクションが花開く季節でもあるのだ。


 

81 折本立身 明日(4/21)パフォーマンス・イベント 開催  深川 雅文 2001/04/20 11:26

 昨年の6月から8月にかけて、品川の原美術館で、個展「折本立身 ART MAMA+BREAD MAN」が開催された折本立身氏が、4/21に川崎でART MAMAのパフォーマンスを行う。  折本氏は、1946年生まれで、70年代アメリカでナムジュン パイクの助手をしたり、フルクサスの活動に参加後、1977年に帰国。その後、日本でよりも、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどで精力的にパフォーマンスや写真による作品発表を行ってきた作家。日本では大きな個展は開催していなかったので、原美術館での展覧会は、彼の存在を日本ではっきりと示した重要な展覧会となった。今年は、第49回ヴェネチア・ビエンナーレ(6/9-11/4)にも招待されるなど、さらなる飛躍を見せている。ヴェネチアではART MAMA 1966-2000を出品する。折本氏は、川崎市で、今回のパフォーマンスは自宅の近くの行きつけの蕎麦屋の塀の横で行われる。ヴェネチアに行く直前のイベントとなる。  日時は、明日(4/21)、午後1時から1時30分まで。場所は、川崎市川崎区渡田山王町23-10。蕎麦屋の息子さん(飯島良一氏)のご自宅の塀の脇に、折本氏と母上が、かつおぶしの木箱に座っているはずだ。



83 [重要訂正] 折本立身イベント場所について 深川 雅文 2001/04/20 12:33

81番の記載にわかりにくいところがありましたので訂正いたします。 参加希望の方は、午後1時少し前くらいに下記の場所の前においで下さい。 川崎市川崎区渡田山王町23−10 折本さんの自宅前です。 1時頃から、ART MAMAと折本さんと一緒に蕎麦屋さんまで歩きます。蕎麦屋で食事もします。 その後、鰹節の箱で休むという流れです。 ご本人に確認しました。天候とART MAMAの体調によっては変更もありますので、ご了解ください。



84 オークション情報訂正 深川雅文 2001/04/20 22:41

80でご紹介したオークション名の綴りと、ホームページアドレスに誤りがありましたので訂正させていただきます。 LIBERT & CASTOR の PHOTOGRAPHIES(2001年5月3日) www.libert-castor.auction.fr



85 展覧会:ゲルハルト・リヒター ATLAS 深川雅文 2001/04/20 22:44

展覧会:ゲルハルト・リヒター ATLAS 3/31〜5/27 川村記念美術館 千葉県佐倉市坂戸631   今年前半の現代美術の展覧会のなかで、最も重要なもののひとつになること間違いなしの展覧会。昨日(4/19)の朝日新聞夕刊の美術欄「絵画と写真の無限往還問答」で大きく取り上げられている。現代における写真と絵画の関係を考える上でも見逃せない。展覧会概要は、ウェブでご覧いただきたい。  www.dic.co.jp/museum/ 電話 043-498-2131   関連イベントとして、5/19に、作曲家の鈴木治行氏、批評家の杉田 敦氏の二人による演奏会と講演会が開催される。17時30分開場〜20時終了。杉田氏は、ユリイカ01/2001号で「フォトジェニックの憂鬱 ヴォルフガング・ティルマンス」という論文を執筆するなど、写真に関しても鋭い批評を行っている。リヒターに関しては『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房)を著すなど造詣が深い。イベントは有料で2500円。要予約。



87 兼子裕代写真展 笹岡啓子 2001/04/22 18:27

今日、兼子裕代さんの写真展「bushes and palace」に行って来ました。写真雑誌での展評を拝読したり、幾度か実際御会いしている方が、一体どういう写真を撮るのだろうと楽しみにしていました。展示はとても感じよく、しかし思わず会場を二度三度とぐるぐる回ってしまう不思議な写真でした。また兼子さんは御自身で、今回の展示の小冊子、またこれまでにも薄手ではありますが、きちんとした写真集を作っておられます。その写真に対する真摯な姿勢、言い換えれば、「ハマってしまった」感に非常に好感を持ちました。兼子さんはこれからもできるだけ作品を発表していきたいとのこと。そこでpgでの企画展を提案したところ、快諾していただき、今後私の担当で進めていきたいと思っています。実現の暁にはぜひお越し下さい。



88 第13回 写真の会賞 選考結果 深川雅文 2001/04/23 21:35

第13回「写真の会賞の選考会」が、4/23日、都内某所で行われ、次の二名の方が、2000年度の「写真の会」賞受賞者として選出されました。ご報告させていただきます(順不同)。 平野正樹氏(1952年東京生まれ)  受賞対象作品 写真集『人間のゆくえ』Down the Road of Life  (marino Cettina Gallery, Umag, Croatia)2000年発行 野口里佳氏(1971年埼玉県生まれ)  受賞対象作品 写真集『鳥を見る』(河出書房新社) 2001年1月発行 詳細については、追ってご報告させていただきます。



89 ゲルハルト・リヒターの『ATLAS』について(文:杉田 敦氏) 深川雅文 2001/04/24 07:15

85でご紹介したリヒターの展覧会について、5/19のイベントで講演をされる杉田 敦さんよりコメントをいただきました。以下、杉田さんの文章です。 ************************************************************************** ゲルハルト・リヒターの『ATLAS』について(文:杉田 敦氏)  ゲルハルト・リヒターのATLASは、彼の作品の主軸を成す油彩のモチーフのために収 集された雑誌や新聞の切抜きや、彼自身の手で撮影されたスナップなどを集積したも ので、40年近くにわたって日々増殖し続けてきたものです。発表当初こそ、ペイン ターの舞台裏的な要素が強かったものの、その量の増大に歩をあわせるように、やが て独立したひとつの作品とみなされるようになってきました。20世紀最後のドクメン タで、カトリーヌ・ダヴィッドが彼にメイン会場の最も大きなスペースを割り振った のも、それを裏付けているでしょう。しかし、幼子に嬉々としてレンズを向けたサー ビス版のプリントのどこにそのような意味があるというのでしょうか。おそらくそこ では、実践としての写真の意味が問われていると思われます。 レクチャーは、そのような疑問を探っていくことになるでしょう。グールド、ブラン カ、シェーンベルクなど、リヒターがタイトルに召還した音楽家の音楽を辿りなが ら、ウンベルト・エーコの作品の「開かれ」も経由することになるでしょう。最後に は、ボイスやブライヤーズの姿も仄見えてくることになるはずです。そして何よりも そこでは、テクニック修養から解き放たれ、世界中で何十億という人々が日々生み出 し続けている、普通の写真と対峙させられることになるはずです。またそれは、写真 集『Visible World』でフィッシェリ&ヴァイスが目指そうとしていた場所を解くた めのカギも与えてくれるはずです。



90 木村伊兵衛賞受賞式 4/24/01 深川雅文 2001/04/24 23:21

木村伊兵衛賞受賞式が、有楽町マリオン、朝日ホールで24日夕刻より開催された。HIROMIX氏、蜷川実花氏、長島有里枝氏女性作家三人同時受賞ということもあってか、関係者の方々が普段より多いように感じられた。また、例年より、華やかな雰囲気に感じられた。受賞者は一様に嬉しさに顔をほころばせていた。  一方で、審査員のひとりの挨拶のなかで、「知能を捨て去った写真」という言葉が作品の形容として語られるなど、僕自身、「おや」と首をひねるような発言もあった。とはいえ、受賞者とお祝いに来た方々は、気にする様子もなく、喜びに包まれていた。途中で荒木経惟氏も登場、NHKのテレビ取材も入って、盛り上がりを見せていた。  会場では、このホームページに参加されている、paperyの前田さん、outside the frameの三島さん、そして大阪から上京されていたThe Third Gallery Ayaの綾さんにお会いすることができ、歓談することができたのは楽しかった。



91 東京カメラ倶楽部・第10回写真文化・勲章 深川雅文 2001/04/25 00:27

東京カメラ倶楽部は、写真・カメラの愛好者の集まりで、アマ、プロが集うカメラ倶楽部である。田村彰英氏、飯田鉄氏、田中長徳氏、平カズオ氏などの写真家であるとともにカメラに造詣の深い方々も参加されているユニークなクラブである。今年、創立10周年を迎える。同クラブは、ハードウエアとソフトウエアの両面で写真文化に功労のあった方々を顕彰する写真文化・勲章を設けている。  今年は、写真文化・勲章として、キャノン株式会社(キャノンオーボーイSEの開発に対して)と株式会社リコー(GRシリーズの開発に対して)、特別賞として田中和男氏(フジゼロックスのPR誌「グラフィケーション」の編集者。同誌における写真文化への貢献に対して)に賞が贈られる。



92 伊東豊雄の初めての舞台空間 北島敬三 2001/04/25 15:01

ここで何回か名前の上がった伊東豊雄氏に関する情報が森田伸子さんから寄せられましたのでアップしておきます。興味のある方はぜひご覧になって下さい。 建築家・伊東豊雄が初めて舞台空間を手掛ける、山崎広太・rosy CO.,の新作ダンス CHOLON 2001/5/18-20  Bunkamura シアターコクーン [振付・構成]山崎広太 [美術]伊東豊雄 白光するアルミの空間。ダンサーにとって非常に過酷な舞台に、身体だけで挑む。21世紀の「身体のリアル」を追求する、調和を拒否するラディカルな作品。 公演の詳細とチケット予約は。★http://go.to/cholon ★カッシュTEL;03-3408-7656 MAIL;kash@gol.com


93 ハッセルブラッド国際写真賞 深川雅文 2001/04/25 22:12

 2001年のハッセルブラッド国際写真賞tが杉本博司氏に決定したことは、paperyの前田さんのコーナーでもすでに報じられたとおりである。賞が決定したばかりだが、すでに、ハッセルブラッド財団から2002年の受賞者のノミネートを依頼する文書が僕のところにも届いている。6月15日までに、ノミネートをお願いしたいとのことだ。賞金50000ドルの大きな賞なので、慎重に選考していくのだろう。さて、ハッセルブラッド財団と賞についてさらに知りたい人もいらっしゃるだろう。 下記のURLで、見ることができる。 www.hasselbladfoundation.org


 

95 展覧会「ミニマル マキシマル」 千葉市美術館 〜6/3/2001 深川雅文 2001/04/25 23:31

千葉がいま、現代美術で盛り上がっている。川村記念美術館のリヒター展だけではない。千葉市美術館では現在、「ミニマル マキシマル」展が開催中。モダニズム芸術のひとつの到達点であるミニマルアートとその展開について欧米日の30人の作家で展望する。作品は、ドイツ、ブレーメンにあるヴェザーブルク美術館のコレクションである。写真作品はほとんどないが、写真作品でも知られるフランスのジャン・マルク・ビュスタモンの作品も見られる。蛍光灯を用いた作家ダン・フレイヴィンも含まれるが、彼の作品は、*79で紹介したグルスキーの仕事の文脈でもしばしば引き合いに出される。実際、グルスキーの作品には、ミニマリズムへの批判的なコミットメントが感じられる。というわけで、写真作品がなくとも、写真とも深くつながった展覧会でもある。日本人作家は竹岡雄二氏が入っている。 川村美術館と千葉市美術館をまとめて見たいという人には朗報がある。バスでツアーする「アートバスツアー in 千葉」というプログラムもある。詳しくは、下記URLでチェックしていただきたい。 www.city.chiba.jp/art



96 はじめまして 兼子裕代 2001/04/26 01:39

初めての参加です。 深川さんと笹岡さんに書いていただきましたように(どうもありがとうございます)、今、下北沢のラ・カメラで写真展を行っています。30日までやっていますので、ぜひいらしてください。 先週、リヒター、ルース、ティルマンズなどの展覧会に行って来ました。どれも興味深く、見応えもあり、面白かったのですが、リヒターに関する杉田さんの文章のなかの「しかし、幼子に嬉々としてレンズを向けたサー ビス版のプリントのどこにそのような意味があるというのでしょうか。」といった素朴な疑問がやはり浮かんできたものです。イベントに行ってお話をお聞きしたいけれど、何しろ遠いんです。 ワコウ・ワークス・オブ・アートでのティルマンズ展では、カラーのフォトグラムのようなあたらしい作品がいくつかあり、乗り物の中の人物の部分や電話や植物の写真と混ざって展示されていました。フォトグラムのような作品も一種類だけでなく、笹の葉のような長いラインで構成されたものと無数の点が滲んだような構成のものなどがあり、なんとも統一感はないのですが、かといってばらばらというわけではなく、どちらにせよ作品をまとめるといったような作業からはかなり自由度の高い、見ていて気持ちの良い展示でした。 ティルマンズのそれらの新しい作品について、ぜひ杉田さんに解説していただきたいと思うのですが、そういった願いは叶うでしょうか? それから深川さん、グルスキーに対するベッヒャーの批判というのはどういうものなのでしょうか?興味があるので、ぜひ教えてください。 何か要望ばかりになってしまいましたが、今後とも宜しくお願いします。



98 オークション余聞 三嶋靖 2001/04/27 02:44

 6月6日、ロンドンのサザビーズ・オークションに、ルイス・キャロルの撮影したアリス・リデル(『不思議の国のアリス』のモデルとなった実在の女の子)の写真が出品されます。  英オックスフォードの優秀な数学者チャールズ・ラトウィッジ・ドジスン(1832〜1898)=ルイス・キャロルが、熱心に少女たちの写真を撮り集めるアマチュア写真家であったことは知られています。  その趣味を見つかり、女の子たちを撮るのを禁じられ、キャロルは写真をやめてしまうに至ります。禁じられるからには、禁じられるべき何かが存在している写真なわけですよね。  写真を手放すのはアリス・リデルの孫で、写真コレクションを受け継いできた英国在住のメアリージーン・セントクレアさん(69)。自身の三人の子どもに分割するのはむずかしいのでとのことだそうです。  オークションに出るのはキャロルが撮影したアリスと姉妹たちの写真、『不思議の国のアリス』の初版本、アリスの結婚指輪などで、注目されているのは写真58枚が入っているアルバム。予想落札価格は10万ドル(約1200万円)。手彩色のアリスのポートレートは2万ドルと予想されているそうです。



99 黄金週間? 深川雅文 2001/05/01 16:42

いろいろと書き込むべきことが手元にあるのですが、たまった原稿の執筆などで身動きがとれない状況です。ごめんなさい。今週の皆さんの日々が黄金に輝きますように!



100 そろそろ再開 深川雅文 2001/05/07 22:57 E-MAIL : HomePage: 皆さん、黄金週間いかがでしたか。僕のほうも、一段落しましたので、そろそろ再びエンジンスタートさせます。よろしく。