少子化対策として安倍政権が育休社員への手厚い金銭的支援を打ち出すなど、育児に積極的に参加する男性「イクメン」へは、表向きは称賛の声ばかりだ。だが、育休を取得するイクメン男性社員の増加は社内の対立要因になりかねない、と懸念する声もある。
ある大手商社の部長(57)が話す。
「部内で1人の男性社員が育休を取る程度なら、『意義のあることだ』みたいな建前もいえますが、もしも複数の男性社員が同時期に育休を取得したらどうなるか。実際、私の部署には奥さんが妊娠中という社員が3人いますから。彼らがみな育休を取ったら仕事は回りません。中堅、ベテランを中心に育休を取らない社員から不満の声が上がるのは目に見えています」
懸念されるのは世代間対立だけではない。育休の取得にも、育児休業給付金の受給にもいくつかの条件があり、実態として非正規雇用者がそれらを満たすことは難しい。
「これでは正規と非正規の格差は大きくなるばかり。社内がぎすぎすしないか心配です」(メーカー幹部)
※週刊ポスト2013年11月22日号