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2011年9月10日土曜日

僕が僕であるために頭脳警察を粉砕せよ!フロイト精神分析発大衆操作プロパガンダの歴史ドキュメント「自我の世紀(3)」



2002年BBC放映の名作ドキュメンタリー「自我の世紀」第3部
日本語翻訳版をつくりました (第1部&第2部) (ダウンロード) (YouTubeで見る) 
監督アダム・カーティス 原題は 「Century Of Self3-
There is a Policeman Inside All Our Heads: He Must Be Destroyed(頭脳警察を粉砕せよ)」


フロイトの無意識理論がいかに大衆操作に利用されたかを辿るドキュメンタリー
今回第3部は米60年代の「自我の解放」「自分探し」ブームが
企業社会や政界にとりこまれていく過程を追います シリーズ白眉はこの回と思われる
これだけ見ても最高に面白い 御用のない方60分つくって上の動画を是非ご覧あれ

以下は解説を兼ねた訳者の自分語り 



*友達と縁を切ったことがある 
「もう来ないで欲しい」と部屋から追い出したことがある 
20年も前の話だ



わたしたちはアマチュアのロックバンドをやっていて
河原や公民館で週に何度か練習をする仲だった 
以前は車で夜の首都高をぐるぐる回ったり
闇に紛れプールに忍んで泳いだり
もっと前は学校帰り誰かの家に集まって
ファミコンで遊んだりする4人組だった



4人で付き合った期間は5年くらいだろうか 
5年のあいだに2人が童貞を捨て、2人が職を得、2人が車を買った 
1人暮らしをはじめたのは俺が最初だった

車やゲームに特に興味を持てなかった自分はしかし、
作詞作曲には夢中になった
今こうしてインターネットに書き込んでるのと変わらない
「何もかもうんざり」「あんな女殺してやる」とかいう唄を闇雲に叫び
己の憂さを表せる、その遊びにシビれ取り憑かれた



病高じてかれら3人ともう1人、当時付き合っていた女に
わたしは声をかけ
90年代はじめのバンドブームが終わりかけていた頃に
ロックバンドを結成したというわけだ
「ドラムなんてやったことないよ」大丈夫、なんとかなるよ
「100万ボルト」という名を付けた 巧くなったらライブをしよう
俺達は有名になるだろう

男4人は低偏差値の高校出身で、進学した者はいない
軽音楽部なんてなものと無縁なため、
他の素人バンドをまるで知らなかった 



はじめてのライブ 
舞台で俺のギターの調律がずれて20分ほど立ち往生し、
年上の対バンに哂われた 「チューニングも出来ねえのかよ」
今なら笑い話だが、18の俺は深刻に落ち込んだ 

熱の冷めた練習に集まるのは自分と(人のいい)彼女だけ、という日々 



彼らはバンドがやりたいんじゃなく、
ただ寂しいから何となく集まっている
スノーボードでもツーリングでも下町食べあるきでも 
楽しいイベントなら何でもかまわないのではないか?
最近聴いたCDや本や映画を夢中になって説く俺に、
彼らの興味は仲間内の噂話ばかりに思えた

何故こんな狭い場所で満足できるんだろう?



押し付けがましい己に気づかぬまま
手前勝手な依存心に不満は募るばかり
「こーんなことも知らないの」と女にあたり
「つまんねぇ」「馬鹿ばっかり」と独りごちる 

そんな折、彼ら4人が久しぶりに訪ねてきた
「バンドはもう楽しくない それだけなんだ」
「でも、お前とは友達でいたい」
きみたち陰でお互い悪口を言い合ってるじゃないか
何でわざわざ見下してる奴と付き合うんだ?云々
別れ話めいたやりとりのうちに一人がこう言った
「でも、お前はお前だろ」「俺は俺だし」
「自分は自分だから」



????そうか?本当に「俺は俺」なんだろうか?
俺は俺じゃないんじゃないか?
少なくとも誰かに「自分は自分」と宣言できるような、
宣言せざるを得ないような何かが、俺にあるだろうか?
何もない



*高校中退自称物知り 
理屈は一人前だが歌は下手 ギターの調律も満足にできない
世間が怖くてバイトが続かず親の仕送りを当てにしていた俺は
そろそろ19歳になろうとしていた

「サブカル青年」というライフスタイル勃興寸前にウヨウヨいた
典型的なバブル期「個性の時代」の若者だ



自分で自分が嫌でしょうがなかった俺は、
彼らが嫌でしょうがなくなった  馬鹿な自分を見ているように思えた
何も出来ないのに一人前の顔をして
本心では見下している他人の顔色ばかり伺って
尊敬されたくて、愛されたくて、目立ちたくてたまんないくせに
仲間からの逸脱を極度に恐れている



だがその上で
「自分は自分」?世間知らずのガキが何言ってやがる阿呆、
とはやはり思わなかったね 嗚呼バブルの時代
ボクも確固たる「自分」てのが欲しかったのです 喉から手が出るほど欲しかった
ひとりぼっちでも平気な強い「個」が欲しかった





*というわけで彼らと縁を切った後、俺の自分探しが始まる 
つっても貧乏だし本を読むだけだ 
まず頭が良くなりたいとヒッピーの宗教本を読み漁った 
ジェリー・ガルシア「自分の生き方をさがしている人のために
ラジニーシグルジェフカスタネダアラン・ワッツニーチェ鈴木大拙
コリン・ウィルソン岸田秀橋本治に辿り着いたあたりで大学進学を決めた



上の映像「自我の世紀3」に出てくる
ジェリー・ルービン「Do It!」も ライヒ「きけ小人物よ!」も
当時は好きで読んでいた
だからこの「個性の時代」の愚を描いたドキュメンタリーには耳が痛い
自分のことを言われているようだから



*大学を出てのち バンドやってるんです、と職場で言った折、
先輩から忠告を受けた

「ライブも機材も金かかるでしょー
成功できるのは一握り でもバンド、流行ってる 
やってる奴たくさんいるよね
ヒサミチくん今のうちに宗旨替えして
楽器屋やスタジオ、プロモーターやったらどうよ?」

「『砂金が出る!』と西海岸にゴールドラッシュが起こった時、
貧乏人達がおおぜい一攫千金の夢追って西部に押し寄せた
大ブームの過ぎたあと、一番儲けたのは誰だと思う?」

「砂金採掘機材製造会社 砂金採りを迎えた売春サービス業、
インフラ担う鉄道会社と建設会社 新しい町を治め税金吸い取るヤクザと政治家だよ 
川に砂金を探して儲かった奴なんてひとりもいない」


この映像「自我の世紀」第3部が伝えるのは、基本的にはこういう構図だ



だが、砂金探しの欲ぼけアメリカ人に比べ
100年後の我々「自分探し」世代が更にずっと幼稚に見えるのは
扱う商品「万能感」ゆえだろう この映像の「自我」とはこれを飾った物言いに過ぎない

何しろこの商品「自我」の魅力をアピールするのに根拠はいらない
ただ自分を信じればいい あなたに眠っている個性を信じればいい
信じれば夢は叶うのだ 無限にひろがる未来の可能性を信じればいい

こうしてコンサルタントやセミナー業者、自己啓発本の煽る万能感に頭をヤられ 
さんざ幼児退行を起こした末に夢から醒めて
騙された!金返せ!ト文句をつける者がいるだろうか 
「自己確立」はいまや懐かし「自己責任」と表裏一体なのだからして





*ところで
このドキュメンタリー「自我の世紀」シリーズ全般にわたって
でもそれの、大衆操作の何が悪いの?て疑問も、ある読者にはあると思う

ゴールドラッシュの喩えで言おう
荒地にインフラ敷いて雇用を産み出し豊かな社会が作れるならば
火種が幻想だろうと何だろうとかまわないではないか?  
繁栄を招く原動力はいつだって若く向こう見ずな欲望だ
売り手と買い手、詐欺師とカモ、両者揃って資本主義の基本じゃないか?



しかし待て
採れた砂金を町に持ち帰れば女が買えた酒が飲めた人を雇えた更なる投資に回すこともできた 
翻って 自我の万能感は何になる?
「自分は自分」の念仏じみた流行思想は、
けっきょく我々をバラバラに分断しただけではないか 

神や伝統の軛(たとえば純潔修道院)から解放され、
出自のもたらす視野狭窄(たとえば過激な反差別闘争)から自由になって
次は家族制度の破壊に向かうだろうこの「自我の世紀」のニヒリズムを支えるのは、宿命なき時代の不信感だ

「自分を信じて」「夢を信じて」「その気持を信じて」J-POPが繰り返すのは
移ろいやすい己の心の外側に 信じられるものがもはや何もないからだろう



いや信頼どころか考えてみりゃ
旧社会から「自由に」「解放された」我々にはもう、愛も憎しみもいらない 
だって「自分らしく生きる」ためには究極のところ、
己を制限し影響を及ぼしてくるカンケーねー他人などタダ煩いだけじゃないですか 

ひとりひとりが自己創造のアーティスト、相互プロパガンダの御時世に望まれる他者は
ファン、信者、取り巻きパトロン「操作の対象」のみでありましょう

そんなことないって?オヤオヤ読者よ 
そりゃーアンタの見方でしょ アンタはアンタ、俺は俺でしょ




*ひとりぼっちでも平気な強い「個」になりたかった私は、
こうして「個」の寂しさ、情けなさに思い至る

かけがえのない、特別な、たった一つのもの、最後には信じるしかないもの、
「自分」という楽園に辿り着いた、または檻に立て篭もった結果が
われわれ自己顕示欲、承認欲求をつのらせるばかり

バンドで売れたいネットで名を挙げたいインタビュー受けてチヤホヤされたい
「歌ってみた」「踊ってみた」「描いてみた」「モノマネに挑戦」
IT革命に背を押され、銭の入るあてもない素人芸がこれほど興隆をきたすのは
見物を笑わせたい泣かせたいふりむかせたい大衆感情を操作したい、と
大衆個々が考えるようになった証にみえる



*以上 悪態を並べたが

もし筆者がもう一度、生まれ変わって人生をやりなおせるとしたら
しかしやっぱりバンドを組むだろう 長文ブログを書くだろう 「自分探し」の旅に出るだろう 
芸事なくして生きる理由はない 誰かに思いを届けたい 阿呆だらけの世間に我慢出来ない
賞賛されたい目立ちたい 君の心を操作したい 心の底から愛されたい
生涯会うこともないだろう人にまで自分を知ってもらいたい

200年前の社会なら俺は一種の狂人だろう 
でも今こんな人 どこにでもいるよね



*「自分探し」ブームに湧いた好景気はとっくに過ぎた
今は 百万人単位のニートひきこもりが
「社会適応成功者」月給取りを妬み羨むような、自信のない時代だ

ひきこもりには用事がない そもそも気をつかう相手がいない
カンケーねぇー他人やうるせぇ上司や教師から
社会の圧力から もっとも「自由に」「解放された」層が、自分で自分を閉じ込めて
もっとも後ろめたさを感じているような時代が いつまで続くのかはわからない



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シンデレラボーイシンデレラガールDo it!―革命のシナリオフォー・ビギナーズ・シリーズ 52 ライヒ(翻訳版)
頭脳警察 1Freak Out


好きになった:誰もがスター

2011年3月2日水曜日

「社会に適応するため自分を操ろう」精神分析発大衆操作の歴史ドキュメント「自我の世紀(2)合意の捏造」

脳がポジティブに

空高く羽ばたく鳥のように 野に咲く一輪の薔薇のように
自由な精神を持ち続けたい



たとえばそう思いつつ日々を生きる いち自由人に対し
読者諸君も御存知のとおり、
現代日本は実に冷たい社会である

寒い朝など布団を出るのが億劫だ
ついつい朝寝の自由を行使 
遅刻が重なり留年に

理不尽きわまるパワハラ上司の圧制にNO
自由の精神で対抗だ
ついつい小突いて懲戒免職 

マリファナ吸っても電車で女の尻を撫でても
コンビニ内で封を破った菓子パンむしゃむしゃ食べても
この社会では許されない 「ちょっとアンタ!何してるの!」


哀れお縄となった元自由人はその非を諄諄と諭される
「自由には責任が伴う」と

責任つまり後払い 駐車場にポスターありますね 
「無断駐車は罰金10万円申し受けます」 同様に
上司を殴ったら×万円、電車の痴漢は×万円と
いちいち書いてある本がある いちいち決める人がいるわけだ

人間社会はお互い様 逆にこちらが無料で殴られてはたまらない
「俺の自由」と居直られても困る 
個人の自由を制限せずには個人の集団が、
つまり社会が成り立たないのです


「社会?関係ねぇだろ」みたいな自由人は恐ろしい いつ殴られるかわからない 
必要なのは教育だ 社会のルールを叩き込まなきゃ
「バチがあたるよ」「地獄に堕ちる」「生き倒れて死ぬぞ」「刑務所に入りたいの」 
いくら説いてもダメな人、イコール頭がアレな人 
要治療、トどっかに閉じ込めちゃうのが通例ですね 
お巡りさんに連れてってもらわなきゃ 社会の管理下に置かなくちゃ 

生まれ変わらせる


だが上の如き豪傑譚 最近はあまり聞かないね 
無差別殺人達成後、諭されちゃんと反省する人までいる
知らん人刺す前に諭されとけや、と思うけど
ひとはひと自分は自分の、これも御時世也 

「その気はあるのに社会に適応できない」
むしろ近年よく聞くのはこっちのほうだ 
せっかく生まれた管理社会で管理されない自分が悲しい 一体どこがマズいのか、と


にしても、適応の激ムズいその「社会」って具体的にどんな社会?と
問うても答は千差万別で
要するに、親だの教師だの上役だの新聞TVだのの
「期待される人間像」通り振る舞えない、て話だったりもする
だから狐の落ちるが如く、一人暮らしや転職で解決することもしばしばだ

ハナからあやふやな「社会の望む理想像」を当て推量に熱演し
その甲斐の無さに疲れ街行く人をフト見上げて溜息ばかり
「何でこんな社会に耐えられるの…」「みんな苦しくないの…」
「変な狐にでも憑かれてるのでは?」「狐が日本を支配してるのでは?」

マァ狐は諸君の心の中に つまりどこにでもいるしな


*先に日本語翻訳したBBCドキュメント映像の傑作シリーズ 今回は狐狩りの話 

精神分析がいかに大衆操作に用いられたか、の検証ドキュメント
「自我の世紀 Century Of Self」パート2「合意の捏造」を見てください
2から見てもだいじょうぶ面白いです (パート1パート3)(YouTube)



今回は精神分析学の祖ジークモント・フロイトの娘、アンナ・フロイトの内面操作術が
戦後アメリカ消費社会に広まり衰える過程&
フロイトの甥エドワード・バーネイズの演出したグァテマラの政変劇(PBSUCCESS作戦)が中心

喧伝される「無意識の恐怖」に怯えたインテリ官僚財界人が
精神分析理論をテコに 
いかに戦後アメリカ大衆を操ったか&どうして操りきれなかったのか、が見所だ


個人的にはこの何気ない一言が強烈だった
「民主主義の価値を内面化する」

民主主義内面化

「共産主義の内面化が足りない」と同志殺しを繰り返したのが連合赤軍リンチ事件

ソ連で政治犯は精神病院行きなら、
アメリカじゃ原爆投下の罪悪感を拭えなかった将校が「精神を病」み
もっと昔は黒人逃亡奴隷が「精神病」とみなされた 今は小児猥褻犯=精神病者 
次は「差別主義者」の番だろう 


「内面化」の完了した社会の優等生が、規範に外れた者を狩りだせば
魔女狩りと同じで歯止めがきかない 何しろテキは「内面」の、目には見えない心の病
異議を口にするだけで、「お前もか!」こっちが狩られちゃいそうだ 


病院送りは御免こうむる、と日々社会適応にきりきり舞いの我々も、
ひとたびそのおっかない「社会」を規定すると
何か普遍のもの、変わらない不動の存在を頭に描きがちであります

だが読者よ10年20年前の自分を思い出して欲しい 
欲望、悩み、人間関係、
現在ただ今コレ読んでる君と昔の君は、ある意味ほとんど別の人なはず 

変わったのか変わらされたのか、イヤ実際は何も変わっていないのか
もしも歴史に学ばなければ
それ測る基準は他人の眼という「社会」だけだわね 堂々巡り


「なら考えたところで何になる?乗り遅れないことが肝心なのだ」と
自己操作を説く新書の類が
ベストセラーに挙がっては忘れられていく

人権民主主義の御時世に
電気ショックやLSDで頭を書き換えるのはもう古い
悟られずソフトに誘導するのがウィンウィンへの王道です、
くらいの説はそんな新書にだって書いてある 

大衆操作が身近にソフトに暮らしの中に入り込んでいる現在
その霊験ますますあらたか、かどうかは知らないが

気づかせずall


ところで「社会適応」の1ランク上
ままならぬ世間の誰彼を、思うまま操れたら楽しかろう
銭も名誉も権力もアッチの方も満たされる 

自己操作や自己変革のすすめには、
この万能感への希求を誘う香りが強い


そもそもわれわれ皆が一方的に操られ、
適応を即される「被害者」なわけがない 
人間社会はお互い様 けっきょくのところ、
他人や社会を操りたいからこそ「新しい自分に生まれ変わりたい」のだ 

「敵を騙すにはまず己から」のつもりの自己操作の果て
狐に憑かれた狩人が束になって「狐は、狐はどこじゃ?!」と
右往左往してるのが モノノケ大衆社会の実態じゃないの?
やっぱり狐が日本を動かしてるんじゃないの?
ト世相を斬ったところでこの項終わる


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心理学化する社会封建主義私には夢がある―M・L・キング説教・講演集カッコーの巣の上で

「好きになった」: フロイト精神分析発「電通の陰謀」行 大衆操作プロパガンダの歴史ドキュメント「自我の世紀(1)」を見てください

「好きになった」: ペドフィリア収容所 ―小児性虐待者は治せるか 米精神病院レポート

2011年1月24日月曜日

フロイト精神分析発「電通の陰謀」行 大衆操作プロパガンダの歴史ドキュメント「自我の世紀(1)」を見てください



聴くだけで乳が膨らむ彼女が出来るハゲにふさふさ毛が生える、奇跡の着うたあったでしょう
1週間で1万回ダウンロードされたという
アレつくったひと、「営業は『洗脳』「洗脳護身術」「夢をかなえる洗脳力」の著者は
自ら脱洗脳したオウム・シスターズの一人と結婚したってきいた 

まじめなはなし、奥さん不安にならないのかね 嫌だアタシまた洗脳されてるんじゃないかしら 
気づかず洗われるよりマシか



窓のないオウム真理教団施設では飲み物にLSDだのシャブだのまぜて
信者のハートを掴んでいたと聞くがそれだとずいぶん費用がかさむ 普通の御家庭では試せません 
その御家庭での神信心、しつけもこのごろ洗脳と呼ばれたりしてる ソフトなやつがマインドコントロール 
つまりは知らせず朱に交わらせる、無意識理に同意を即す、との意味らしい 
具体的にどうなの?と調べても効果の程がよくわからない ノリのいい人ってどこにでもいるしな

我々しょせんが寂しい獣で放っておいても同意を求める ね?
同意できないなら出て行け帰れ、と新参に発破をかけたあげく
じっさい帰られた上司が思わず漏らす「ゆとり世代は理解不能」 洗脳失敗の巻である 


どうしてそんなに洗脳したいか、といえばそれはもう話が早いから、に尽きますね 
いいから黙ってついてこい、世間をナメるなそういうもんだ、で押し切れる 

以心伝心言葉のいらない世界に住みたい これが我々の究極の欲望で、
それは無理だからなるたけコミュニケーションを削りたい?みたいな?
四の五の言わずと熱燗だのもつ焼きだのパッと出てくればいいじゃないですか 
馴染みの店なら「いつもの」一言で出てきて欲しいじゃないですか いますぐに!一秒で!一瞬で! 


ただの呑み屋と常客ならそう害ないところ
対手が部下だと途端にややこしくなる 「人心操作」のニュアンスを帯びる 
これでスケール広がってテキが群衆、消費者国民ならなおさらであります 

舌先三寸のマニフェストに踊り操られたのが愚民なら
支持率低下に焦り人気取りに励む大臣だってポピュリズムに操られてる 
馬鹿はお互い様、とはしかし、マジメな人は思わない


「人の心を動かすコツ」みたいな新書にグイグイ蛍光線を引っ張る我々善良な大衆も
すでに知らず遠くの誰かをささやかに操っていたりする 
2chでツイッターでデマ拡散したり 「また電通の陰謀か」論説に「イイネ!」クリックで一票いれたり

情報支配一極集中が不能の21世紀に「プロパガンダ」は空気の如くありふれたものとなった


そんなら「洗脳」のいまだおどろおどろしい響きはどこからやってくるんだろう 
「知らず騙されるのは嫌だけど、わかってて選んでる、大丈夫だ」 
その「大丈夫」ホントに大丈夫?との鏡地獄から逃れられない そういうことではないだろうか 

「洗脳」「マインドコントロール」の前提にある発想、「無意識」の浸け込む余地がここにある 
あなたの知らないもう一人のあなたが鏡の向こうで笑う 
景気のよかった頃の「自分探し」は今サイコホラーの題材だ 
言えなかったこと言いそびれたこと言い残したことが
マスクを被って暗いクローゼットのなか包丁片手に息を潜めている あなたの帰りを待っている 
やにわに組み敷かれ首を締められて抗ったあげくマスクを剥げばその顔は、まごうかたなきあなたの顔
「こんなはずじゃなかったのに!」「こんなはずじゃなかったのに!」

なんぞという


前置き少々長くなった

今日紹介したいのはホラーじゃない、が、ある意味もっとヤな映像

ここ数年で一番面白かったドキュメンタリー
BBC2002年放映「自我の世紀 Century Of Self」第一部
「ハピネス・マシーン」の日本語字幕版を作りました



監督アダム・カーティスAdam Curtisは20年を超すキャリアの持ち主で、
この四部映像「Century Of Self」はかれの代表作




自我の世紀 Century Of Self」は
無意識」を発見したフロイトの精神分析理論が、いかに大衆操作に使われてきたか、を検証する歴史ドキュメント
第一部はフロイトの甥、天才PRマン、エドワード・バーネイズの話が中心となる
戦時プロパガンダを大量生産品の宣伝に応用し、「PR(パブリック・リレーションズ)」という言葉を世界に広めた男



宣伝の魔術師が財界の大物に成り上がり、ニューディール政策下のアメリカ政府と対立するまでの60分です
そもそもヒステリー強迫観念に悩まされていた弱者を救うための精神分析理論が、
「愚かな大衆」をカモり大人しくさせておくための操作法として利用される歴史の皮肉が見所だ




シリーズ「自我の世紀」を貫くテーマ「民主主義は可能か?」は「我々は信じあえるのか?」と言い換えられる 
政府と国民は、大企業と消費者は、マスコミと読者視聴者は、 
精神分析医と患者は、ドキュメンタリーとそれ見てる君とは、
結局のところ、信じあえるのか?


信じられない、情報が足りない、隠された真実を追求すべし、と
陰謀論にハマっていく人もいる
「全てプロパガンダに過ぎない」「裏に黒幕がいる筈だ」と
唱える我々はつまり、誰かに騙されたくないのだ 
知らないことで損ばかりしてきたから   
どうして今までみんな教えてくれなかったんだ、と、世の理不尽に憤ってきたからだ


だが、このドキュメンタリー、真の主役のその「誰か」はフロイト一家ではない
大統領でも財界の大物でもない 歴史を動かすのは「大衆社会」という風潮だ

この世からプロパガンダが消えることはない」とバーネイズは書いている
「女性も教師も学校も、プロパガンダを行うべきだ」と

「自我の世紀Century Of Self(2002)パート1」をダウンロード
パート2パート3)(YouTube)

(この日本語版映像はDenver Open Mediaのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに則って作成されています) (たぶん)

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長谷川三千子ものぐさ精神分析大衆の反逆バーネイズ
フロイト先生のウソ精神分析

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