買う   |   リフォーム・内装
連載都心に住む by SUUMO
都心に住む
都心に住む by SUUMO
2013年4月16日 (火)

リノベーションという住まい方について

写真撮影:染谷正弘
写真撮影:染谷正弘

伝従来のリフォームとは一味違う改装のかたちが登場し、それをリノベーションと呼ぶようになったのは、ここ5年くらいのことではないだろうか。
建築躯体だけを残し、間取りも設備もすべて刷新し、新たなデザインコンセプトで新しい住まいへと大変身させる、それがリノベーションである。

インテリア雑誌を開くと、素敵なデザインの居住空間に蘇った中古マンション事例が誌面を飾り、リノベーションへの関心の高さがよく分かる。実際、リノベーションされた都心の中古マンションは人気上昇中だという。

リノベーションという住まい方について

15.6畳の開放感のあるリビング・ダイニング・キッチン。造作家具や色を自由にセレクトした例

■都心の新しい住まい、リノベーションマンション

そこで、中古マンションを一棟まるごとリノベーションして分譲している「リヴィラ等々力」を訪れてみた。
まず驚かされたのは、そのモデルルームのデザインの斬新さである。それは、ここまで自由にデザインできることを来場者に実感してもらうためだという。内装や設備機器の標準仕様は決められているが、部屋の色調や間取りは基本的に住み手の自由、いわゆる自由設計なのである。

自分の価値観やライフスタイルに合わせた住まいを実現するために、中古マンションを購入し、建築家に設計依頼し改装するというケースはよくある。ここでは、それがすべて販売価格にパッケージ化されていると考えていい。

リノベーションという住まい方について

「リヴィラ等々力」の約63㎡1LDK+DENのFタイプ。「nLDK」にとらわれないプラン(資料提供/小山光+KEY OPERATION INC.ARCHITECTS)

そこで気になるのは、その販売価格。販売担当者によれば、このエリアの新築マンションより約25%安く、簡単にリフォームした中古マンションより約25%高い、それがおおよその値ごろ感だという。ただ、それは都心立地に限られるようではある。
リノベーションマンションは都心の新しい住まいのかたちになる、モデルルームはそんな予感に満ちていた。

リノベーションという住まい方について

内装の前にスケルトン状態にし、構造・躯体の調査なども合わせて実施する

■新築とリノベーション、それぞれの魅力

新築の家に住みたい、そう想う日本人は多い。それは、清々しい白木に神聖さを感じる日本人特有の精神風土から生まれた新築信仰が、いまも私たちの心の奥底にあるからだろう。
新築の清々しさは、確かに何にも替えがたい。その想いが、日本人の美意識や住文化を育んできた。戦後日本の住宅は、新築が新築であるために進化し続けてきたといっていい。

実際、住まいの安全と快適性を求めて建設技術やデザインは日々革新し続け、その最先端技術は常に新築の商品化住宅、特に分譲マンションに搭載されてきた。それが、現代における新築の魅力ともなっている。
でも、新築は住み始めた瞬間から中古になる。サスティナブルな環境形成が求められる現代、増え続ける中古マンションを素敵な住まいへと再生させるリノベーションの意義は大きい。

そして、新築や中古という概念を超えるべく都心に登場したのが、リノベーションマンションである。自由設計で安価をその魅力とするこの住まいのかたちは、住まい選びの選択肢を広げ、多様化する現代日本人のライフスタイルに応えてくれることだろう。

リノベーションという住まい方について

左/本棚と壁面の鏡に挟まれた廊下 右/空間をお洒落に有効利用する巨大家具。上はベッドルーム

建築家 染谷正弘

建築家 染谷正弘

■著者
建築家 染谷正弘
DSA住環境研究室代表。日本大学大学院理工学研究科非常勤講師。マンションや一戸建てなどの設計を多数手がける。住民同士の交流も含めたコミュニティデザインの考え方を提唱し、住まいづくりや街づくりに参画する

都心に住む-東京都心の住まい選び- 毎月26日発売 300円(送料無料)

https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2015/05/d7af10b76993f5d948453a702af49cd8.jpg
連載 都心に住む by SUUMO 都心で暮らすライフスタイルを提案する住宅情報誌『都心に住む by SUUMO』から記事を抜粋して紹介しています。
12
前の記事 低炭素住宅と長期優良住宅の違いとは?
次の記事 中古購入+リノベーションの達人になる! 「リノベ塾」体験レポート編
SUUMOで住まいを探してみよう