紙メディアの凋落が語られて久しいなか、今年に入ってネットの有料コンテンツが花盛りだ。毎週ペットボトル一本ぐらいの価格で、ネットの有名筆者たちが筆を競う。だが本当にそれは読まれているのか、売れているのか。自らも有料メルマガを発信する作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が疑問を投げかける。
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突然ですが皆さん、ネットにどれだけお金を払っていますか? プロバイダなどの使用料ではありません。コンテンツ代です。ネットの有料コンテンツがどこまで受け入れられるか、気になっています。
今年に入ってから一気にネットの有料コンテンツが増えました。9月から「クリエイターと読者をつなぐサイト」cakes(ケイクス)がスタートし、話題になっています。私も覗いてみましたが、いやはや、なかなかシャレオツじゃないですか。読んでいること自体がかっこ良く見えそうですね。
1週間150円、ペットボトル1本分の値段でコンテンツが読み放題になります。ケトル、週刊アスキー、モーニングなどがコンテンツ提供しています。読みたいコンテンツがてんこ盛りです。お得感がありますね。
有料コンテンツと言えば、昨年くらいからメルマガが話題ですよね。以前からホリエモンのメルマガは人気。月額840円で毎週送信。購読者数は1万人を超えていると言われています。同じく、人気メルマガと言えば、通称津田マガこと『津田大介の「メディアの現場」』ですね。月額630円で週に1回配信。津田さんが日々の取材で得た情報や、変化するメディアの現場についてレポートしています。1回あたりなんと4万字という読み切れないくらいの文字量、何より濃い内容が人気です。
この1年くらいで、人気ブロガーのやまもといちろう氏も参戦。最近では、このNEWSポストセブン関連のメルマガを中川淳一郎氏が始めましたよね。ニコニコが立ち上げた、メルマガだけでなく限定生放送、限定記事なども楽しめるブロマガも話題となっております。
ネットと課金は長年、悩ましい問題とされてきましたが、こんなに一気に立ち上がるということは、儲かるということなんでしょうか? まあ、当たれば大きいですよね。発行する人の人気と、コンテンツの濃さにかかっているのではないでしょうか。どれも1通あたり百数十円。まさにペットボトルの飲み物どころか、喫茶店のコーヒーよりも安いわけですよ。
でも・・・。皆さん、買ってますか? ここで買う気になるかどうかの踏ん切り、大きな壁があるように思うのですよね。
実は私も有料メルマガをやっているのですが、日々悩んでいるのですよ。私、連載をいくつか持っているのですけど、それとどう書き分けるか、悩ましいのですね。読者にとっては無料でも原稿料はもらっているわけで。その原稿料以上の仕事をしなくちゃと思うわけですよ。でも、有料メルマガの読者はさらにお金を払っているわけで。それ以上のものを書かなくてはということで、プレッシャーが半端ないです。
そのプレッシャーに耐えきれず、運営会社さんに今まで月に2通で525円だった購読料を、リニューアルを機会に315円に下げてもらったのですけどね。読者は少しずつ増えていますが、劇的には増えてません。皆さん、どうやっているんだろうと考えてしまうわけですよ。まあ、ホリエモンさんや津田さん、やまもとさんや中川さんほど私が人気ないからなんですけど。
そう考えると、旧来のメディアは厳しい時代だと言われつつも、全部は読まないのに買ってしまう新聞や雑誌は実は凄いんじゃないかと思った次第です。
さて、有料コンテンツでブレイクするのはどこなのか? 激しく傍観したいと思います。