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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2013年1月16日 (水)

2013年の新築マンションは、供給は増える?買い時と言える?

2013年の新築マンションは、供給は増える?買い時と言える?
Photo: iStockphoto / thinkstock
【今週の住活トピック】
2013年のマンション供給数は首都圏5万戸、近畿圏2.5万戸/
不動産経済研究所が予測

不動産経済研究所は、首都圏と近畿圏における2013年の新築マンション供給予測を発表した。首都圏・近畿圏ともに対前年比で1割強の増加が見込まれているが、はたして今年の新築マンション市場はどうなっていくのだろうか。

2013年は前年より1割強の供給増加が予測される

不動産経済研究所は2013年の新築マンションの供給予測を、首都圏と近畿圏についてまとめた。首都圏では11.1%増の5.0万戸、近畿圏では12.1%増の2.5万戸の供給を予測し、いずれも対前年比で1割強の増加が予測されている。ただし、首都圏と近畿圏では状況が少し違うようだ。

首都圏では、東日本大震災で落ち込んだ反動を見込んで、11年末時点で12年の供給を5万戸以上と予測していたが、12年秋口に回復の勢いが失速したため、12年の供給は11年並みの4.5万戸になると見ている。13年の供給は、新政権による景気回復期待や12年後半からの販売ずれこみ物件の販売開始により、11.1%の増加を予測している。供給エリアについては、引き続き東京都区部を中心とした供給が続くが、対前年比では横ばいの神奈川県を除き、東京都と埼玉県では約1割の増加、大震災後の供給が少なかった千葉県では4割を超える増加が見込まれている。

近畿圏では、大震災の影響が少なかったことや大規模マンションの供給が続いたことなどから、12年の供給は、11年末時点の予測を超えて10.3%の増加の2万2295戸となる見通し。13年はさらに消費税アップによる需要を見込んだ前倒し供給が、今年の半ばから始まることも見込んで、12.1%の増加を予測している。供給エリアについては、引き続き大阪市を中心とした大規模マンションの供給が続くものの、対前年比では神戸市部や兵庫県下で4割前後の増加が見込まれている。

新築マンションの住宅価格については、震災復興事業の本格化により建築コストがアップするため、価格アップの要因になる可能性が高い。また、首都圏では、マンション用地も上昇傾向にあり、住宅価格を抑制するために専有面積を縮小する傾向が強くなると考えられている。

■首都圏の13年供給予測
首都圏の13年供給予測
■近畿圏の13年供給予測
近畿圏の13年供給予測※不動産経済研究所「2013年首都圏・近畿圏マンション供給市場予測」より抜粋

2013年は景気回復と消費増税対応策がカギになる

2012年の新築マンション市場は、一部の共用設備などを充実させた大規模マンションで人気を集めたものの、期待されたほどに活況とはならなかった。住宅購入を後押しする優遇税制の充実や史上最低レベルの低金利、住宅価格の底打ちと、振り返れば購入環境は良好な状況だったのにかかわらず。景気の先行き懸念などで、肝心の消費者の購入マインドが上がらなかったからだろう。

では、新政権の誕生で幕を開けた13年は、どうなるのだろう?
購入環境は引き続き、良好な状況が続くと見られる。10年間にわたり、年末の住宅ローン残高の1%相当額が所得税などから戻る「住宅ローン減税」は、13年入居の場合は対象となるローン限度額が12年の場合より引き下げられることになっているが、最大で200万円(長期優良住宅と低炭素住宅の場合は300万円)が所得税から控除される。一方、親などからの「住宅資金援助に対する贈与税の非課税枠」は、12年より300万円縮小される予定だが、一般住宅で700万円、耐震・省エネ住宅で1200万円の非課税枠が利用できる。その他の期限切れの優遇制度も恐らく延長されるだろう。
また、フラット35のローン金利が1月に入って4カ月ぶりに上昇したことなどに表れるように、金利は経済状況によって左右される。しかし、急激に上昇することはないと考えられる。

住宅の供給状況については、前年より増加すると予測されている。供給が増えれば希望エリアでマンションが探しやすい環境が整う。住宅価格は上昇する余地があるが、景気が本格的に回復するまでは上げることが難しいため、面積を狭くしたり、標準設備を抑えたり、販売の効率化を図るなどの対応が取られるだろう。また、プランについては「安心・安全」や「エネルギー対策」が引き続きカギとなる。防災対策を施したマンション、免震・制震マンション、創エネ・畜エネ機能を備えたマンションなどの供給が見られるだろう。

最も肝心な購入マインドについては、景気の回復基調が感じられるかどうかによるだろう。ただし、景気回復傾向になれば、予定通り消費税率が上がることになる。前回の消費税率アップの際には駆け込み需要が生じ、その後市況が冷え込んだ経緯があることから、住宅ローン減税の拡充のほかに、給付なども検討されている。消費税増税に伴う手厚い優遇制度が行われるかどうかによっては、駆け込み需要が生じたり、購入への慎重姿勢が強まったりすることもあるだろう。1月24日にまとまるとされている「税制大綱」に注目したい。

こうした市況が予測されるなか、住宅は買い時といえるのだろうか? 実はその判断は難しい。供給が増えるこの時期の消費税増税前に購入したほうが得するケースもあれば、消費税増税後の優遇制度を利用したほうが得するケースもある。一方で、景気が回復するのを待っていると、金利が上がってしまう可能性もある。購入環境は生ものなので、いつが買い時と言い切るのは難しいのだ。
しかし、供給が増えることで、希望エリアでマンションを探しやすくなる。不動産との出会いは一期一会でもあるので、買いたいと思える物件が見つかるかどうかが、買い時の最大のカギになる。欲しい物件を無理なく買えるかどうかを、最大の判断材料にするのがよいだろう。

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