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やまくみさん正方形
山本 久美子
2011年9月22日 (木)

宅建業法改正で10月から悪質勧誘の規制が強化。もし悪質勧誘にあったら?

■増加するマンションの悪質な勧誘
消費者保護が強化されるなか、マンションの悪質な勧誘は増加している。国民生活センターの資料(図参照)によると、相談件数は年々増加し、なかでも「投資用マンションの購入を強く迫られ、断ると脅された」といった相談が増え続けているという。代表的な事例としては、勤務先に非通知で電話をしつこくかける、執拗な勧誘に根負けして会う約束をさせられるなどで、業者名も名乗らないケースが多いようだ。

図)マンションの勧誘に関する相談件数の推移

■宅建業法の一部改正が10月1日から施行
政府の行政刷新による「規制仕分け」でも、マンション投資の悪質な勧誘が検討され、宅建業法では、「一度勧誘を断った消費者への再勧誘を禁止する規定が存在しない」「電話による長時間の勧誘は禁止されているが、深夜の勧誘については禁止規定が存在しない」といった意見が出された。そこで、これらを踏まえ、国土交通省では宅地建物取引業法(以下、宅建業法)の施行規則の一部改正を行い、8月31日に公布、10月1日に施行となった。

一部改正のポイントは、以下の禁止事項を明文化したこと。
・勧誘に先立って宅地建物取引業者の商号または名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うことを禁止
・相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続することを禁止
・迷惑を覚えさせるような時間の電話または訪問による勧誘を禁止

なお、国土交通省では9月16日付で、運用に当たって留意する点について通知している。それによると、「契約を締結しない旨の意思」とは、口頭で「結構です」「お断りします」などと意思を示した場合でも該当すること。「迷惑を覚えさせるような時間」とは、相手方等の承諾を得ている場合を除き、特段の理由が無ければ、一般的には午後9時から午前8時までの時間帯の勧誘が該当すること。などの具体的な例示がなされている。

■悪質な勧誘に対してどう対応する?
こうした禁止事項に違反する勧誘については、各都道府県の宅建業法の所管課や国土交通省、国土交通省の地方整備局に相談すれば、行政上の指導・処分を行うことができる。迷惑な勧誘があった場合は、相手方の社名や氏名を確認したり、「御社からの勧誘は結構です」「マンションは必要ありません」などと意思表示をしておくことが大切だ。
このほか、契約してしまったら、早めに最寄りの消費者生活センターに相談する、暴力的な行為で身の危険を感じた場合は、警察に連絡をするなどが考えられる。

消費生活センターでは、こうした悪質な業者に対しては、「買う気がなければ絶対に会わないこと」「電話の勧誘には、毅然と断り電話を切ること」などを助言しているほか、会話を録音したり、電話がつながらない着信拒否設定のサービスを利用したり、会ってしまった場合は、契約したくない意思を態度で示すことなどを勧めている。

国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部改正について」
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000060.html
国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令」の運用について
http://www.mlit.go.jp/common/000166507.pdf

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