Tiny robot flies like a fly

軍事の分野では無人航空機、いわゆる「ドローン」の是非が注目されている。一般的な航空機と同程度からラジコン機サイズまで、ドローンの大きさは様々だが、ハーバード大学 Kevin Ma博士らの研究チームが開発したハエロボットは群を抜いている。翼長は3cm、重さ80mgと、まさに昆虫並みのサイズなのだ。

このハエロボットの羽はカーボンファイバーの骨格で補強されたポリエステルの膜でできており、電圧をかけると変形する圧電素子によって、毎秒120回羽を羽ばたくことができる。この羽はあまりにも小さくて薄いため、普通の製造方法で作ることは不可能だ。研究チームは、重ねたシートを飛び出す絵本のように折りたたむことで、3次元的な形状を作ることに成功した。

コンピュータ制御システムがハエロボットの動きをモニターしており、左右の羽を別々に制御して飛行のバランスを取る。本物の昆虫のように滞空する「ホバリング」も可能だ。

ただし、現在のところ、ハエロボットはバッテリーを内蔵しておらず、外部から電線を通じて電力を供給している。これはロボットを駆動できる最小のバッテリーでも500mgの重量になってしまうためだ。また、姿勢制御を行うにも外部のコンピュータが必要になる。Ma博士は、バッテリーの問題は5年から10年程度で解決すると予想している。
では、バッテリーや制御システムを内蔵した自律型のロボットが完成したら、どのような応用が可能になるのだろう? 冒頭に挙げたように、軍事目的にも使われるかもしれないが、研究チームは崩落した建物での捜索作業や、農作物の受粉などへの応用を検討しているという。



(文/山路達也)

記事提供:テレスコープマガジン