年末年始を控え、何かとお酒との付き合いが多くなる機会が増える。そこで「酒飲みの科学」を専門家の分析と共に紹介しよう。
冬でも1杯目のビールは美味しく感じるもの。医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶氏が解説する。
「アルコールは通常、胃からの吸収が2割、小腸からの吸収が8割です。ところが、空腹時にアルコールを飲むと、より多くが胃から吸収されます。胃から吸収したほうが吸収の速度が上がる。一気に血中アルコール濃度が上昇してすぐに酔えるから、美味しいと感じるのです。
さらに炭酸の影響があります。一杯目として炭酸が胃に入ると、胃の粘膜から炭酸の泡になっている二酸化炭素が少し吸収されます。これが血液中に入ると血液は酸欠状態になり、あわてて酸素を届けようと血管が拡張する。血液がたくさん届いて胃の働きはよくなる。食前酒にシャンパンなど炭酸のお酒が多いのは合理的な理由があるのです」
※SAPIO2104年1月号