技術力だけじゃない伝統工芸。
世界的デザイナー、マーク・ニューソン。昨年からAppleに加わり、Apple Watchのデザインも手がけたと噂の彼が、今度は日本のある伝統工芸品とコラボレーションをしました。
それがこの「aikuchi」。そう日本刀です。でも、なぜ日本刀を彼がデザインすることになったんでしょうか。このプロジェクトは日本のデザインスタジオWOW inc.がマーク・ニューソン氏に声をかけて実現したもの。そのWOW inc.の代表、高橋氏の生家は、なんと宮城県指定無形文化財の刀匠(とうしょう)「法華家」なのです。高橋氏のバックグラウンドと今のキャリアが交わることで、マーク・ニューソンデザインの日本刀が生まれたわけなんですね。
マーク・ニューソン氏が好んで使うボロノイ図のパターンを敷き詰めた鞘(さや)のデザインがとても印象的なこの刀。伝統工芸品の刀にモダンなデザインを上手く調和させていて素晴らしいですね。
実は、このマーク・ニューソン氏のような有名デザイナーと、伝統工芸のコラボレーションがここ数年ちょっとしたブームになっています。有名デザイナーのデザイン力・集客力によって、日本の技術力や伝統的な美を再考してもらうというのが狙い。実際に、今年イタリアで行われる世界的なデザイン見本市ミラノサローネでは日本の伝統工芸品を「DENSAN」と呼びかえ、NEW DENSAN 100として展示、紹介するそうですよ。
このマーク・ニューソンデザインの日本刀も、存亡が危ぶまれる日本、特に東北の伝統工芸の価値、美しさを世界に訴えるために作られたという側面を有しています。もっともこの日本刀は3,500万円。限定10組の販売なので手にすることは難しいですが、これが他の伝統工芸品を見てみるきっかけになるといいですね。
image by aikuchi
source: aikuchi, WOW via my news desk
(小山和之)