ライフ

スマホのクラウドサービス すぐできる個人情報流失対策4つ

「便利」「楽しい」ばかりが強調されがちな“スマホ”だが、そこには思わぬ落とし穴もある。ネット関連のセキュリティ問題に精通する、セキュリティ大手企業のラック最高技術責任者の西本逸郎氏が警告する。 

* * *
 スマートフォンならではの注意すべきことがあります。いわゆる「クラウド」サービスを利用することで懸念される被害の拡大です。

 クラウドとは、データの作成や保存を、端末上ではなく、インターネット上で行なうサービスのこと。最も一般的なのは『Gメール』や『Yahoo!メール』のような、ウェブメールです。

 また、グーグルでも多くのファイル保存・共有サービスを提供しているほか、『Evernote』などのサービスは、あらゆる形態のメモをどこからでも保管・参照できるのでスマートフォンでも広く使われています。

 これらの利点は、インターネットにさえアクセスできれば、どこでも、どんな端末からでも閲覧や作成、更新が可能なことです。同じ部署のメンバー全員でカレンダーを共有してスケジュール管理したり、社内文書を共同作成・共有することができます。

 ということは、仮にスマートフォンが乗っ取られた場合、携帯端末の情報だけではなく、クラウドで保存している情報にまでアクセスされてしまう危険性があるのです。こうなると、もはや単なる個人情報の流出にとどまらず、部署の共有ファイルを丸ごと奪われて暴露されてしまう恐れも出てきます。

 アップルは、この秋からクラウドサービスに本格参入すると発表しました。

『iCloud』というサービスで、iPhoneなどを使ったクラウド環境がさらに拡充すると考えられますが、アップル専用のサービスでもあり、利用者は同社が行なうセキュリティ対策に委ねていれば良いと思います。

 一方、アンドロイドは、アプリを誰でも配布できるなど、オープンに展開しています。セキュリティという観点から言えば、アンドロイドのほうが「自己責任」の部分が大きいことになります。ただ、それがコンテンツの自由さを担保し、それがゆえの魅力が大きいことも見逃せません。

 一番有効な対策は、信頼できる製作者のアプリを信頼できる方法でインストールすることです。それを含めてすぐにできるスマートフォンのセキュリティ対策は、「アプリは信頼できる場所からのみダウンロードする」「アプリインストール時の<アクセス許可>表示に注意」「OSは常に最新版を」「セキュリティ対策ソフトを導入する」の4つです。また、

●急にスマートフォンの電池の減りが早くなった
●何もしていないのに、勝手にインターネットと通信したり、GPS情報取得のマークが頻繁に出る

 といった場合には、何らかの不正プログラムが侵入してしまった可能性もあるので、最近のインストール状況を振り返り、場合によってはセキュリティソフトでチェックしてみると良いでしょう。

 また、セキュリティソフトを入れたから万全というわけではありません。セキュリティソフトは、そのソフトにとって未知の不正プログラムには無効だからです。

 スマートフォンは、悪用を企む側からすれば、多くの情報が詰まっているのに、セキュリティはユルいという、“宝箱”です。一度、情報が漏れれば、消去することはできません。正しい知識を身につけ、スマートフォンを使いこなし、賢い(スマートな)人生を送っていただきたいと思います。

※SAPIO 2011年7月20日号

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン