東京・多摩ニュータウンで、移動販売が地域住民の支持を集めているらしい。1971年に第1次入居が始まった多摩ニュータウンは、現在人口が減少傾向にあり、かつ高齢化が進んでいる。
「多摩ニュータウンは、居住エリアが勾配の急な坂等に囲まれているという地域特性や、近隣商店の減少などを背景に、住んでいる地域で日常の買い物をする上で不便に感じている方が増加してきています」
と語ってくださったのは、京王電鉄・広報部。今回はその移動販売を行う京王電鉄に、移動販売が支持される理由を伺った。
まずは、移動販売をスタートしたきっかけを教えていただいた。
「今までは駅前に『京王ほっとネットワーク』という店舗を構え、お客様をお待ちしておりましたが、“お客様宅までこちらから出向いていく”という発想から今回の移動販売実施に至りました」
京王電鉄では、“住んでもらえる、選んでもらえる沿線づくり”をテーマとして、2007年3月から生活サポートサービスを提供する店舗『京王ほっとネットワーク』を開業している。
「移動販売を実施することで地域の皆様の利便性を高め、多世代にとって暮らしやすい街となるとともに、地域コミュニティの活性化に繋がればよいという思いから始めました」
スタートから1年。そんな思いも届き、着実に地域で支持を集めているのかもしれない。移動販売の詳しいサービスについて伺った。
「肉野菜、魚などの生鮮品を中心に約400アイテムあります。移動販売専用車両は月~金曜日まで、1日で午前と午後に2カ所をまわっています。団地内広場、公園、福祉施設、大学など重複している箇所もありますが、1週間で19カ所を回ります。また、商品をご自宅までお持ちする『当日無料お届けサービス』をご提供させていただいております」
無料で届けてくれるサービスは、たしかに重宝するだろう。最後に、移動販売を行う上で大切にしていることはありますか。
「お客様がどのような商品を取り扱って欲しいとお考えになっているか、読み取れるようにコミュニケーションを大切にしています。またお買いものを楽しんでいただけるように、毎回、何らかの季節に合わせた新しい商品をお持ちするように心がけております」
ネットでの注文も便利だが、実際に商品を手に取って見られるというのは、買い物をする上でやはり重要なポイントではないだろうか。全国で進む超高齢化社会において、多摩ニュータウンだけでなく、移動販売は今後ますます重要なサービスになるに違いない。