住まいの雑学
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2013年7月7日 (日)

映画『くちづけ』で注目されるグループホームって、どんな住まい?

知的障がい者が暮らすグループホーム。障がいの程度や内容によってさまざまなタイプが(写真提供/NPO法人でっかいそら)
写真提供/NPO法人でっかいそら

貫地谷しほりの初主演映画『くちづけ』が現在公開中だ。この映画の舞台となるのは、知的障がい者が暮らすグループホーム。劇中、貫地谷は7歳の心を持ったまま成長した30歳の女性を演じている。

ところで、映画の舞台となっているグループホームだが、その名称から集団で生活することは窺い知ることができるが、居住者が実際にどのような生活を送っているのかを知ることはなかなかできない。そこでここでは、グループホーム運営や障がい者支援を行っているNPO法人でっかいそらの理事長・飯田氏に、グループホームについて詳しくお話を伺った。

「一口にグループホームと言っても色々な形態のものがありますが、最近は、2階建ての建物を1階と2階に分け、2つのグループホームとしてそれぞれ運営する形が主流になっています。1フロアを1ユニットと表現しますが、入居者は、1ユニットにつき6~7名。建物の特徴として、一般家庭と一番違うのは、各個人の居室にカギがかかるようになっていることでしょうか。原則、職員などが入居者に無断で居室に入ることはありません。また、当法人の場合は1ユニットにつき2つの浴室があり、入浴の効率を上げています。その他、建物の大きさによりますが、スプリンクラーや自動火災警報などの消防設備が完備されています。グループホームには職員もおりますが、勤務時間は、基本的に朝(7:00~9:30)と夜間(16:00~翌7:00)。日中は入居者の方が仕事などで出掛けるため、職員が常駐する必要がないのです」

作業所が併設されたタイプのものもあるが、基本的につくりは同じ。ただし、作業所と入居エリアの行き来は自由にはできないようになっていて、同じ敷地内の作業所には通わないというルールがあるそうだ。これは、生活拠点と働く場所を別々にして、地域で生活しているという感覚を養うため。その他にも、障がいの程度や内容によって、アパートタイプや一軒家タイプのもの、女性専用、障がいがある高齢の方の重介護用など、さまざまなタイプのものがあるという。

では、住む上でのルールや決まりごとはあるのだろうか?

「グループホームは共同生活の場ですし、地域生活の訓練をする場所でもあるため、もちろん基本的な決まりごとはあります。例えば、門限は22時で、遅れる場合や食事を食べない場合は必ず連絡をすること。食べ終わった食器や自分の衣類はなるべく自分で片付けたり洗濯をすること。各部屋の掃除は自分ですること。また、大音量で音楽を聴いたりテレビを見ないことなど、周りに迷惑をかけないようなルールも当然あります。ただし、これらを一人で全て出来ない場合もあるので、片付けや掃除など、職員が手助けすることもあります。出来ないことを責めない、というのも基本的なルールのひとつです」

最近は障がいを持った方たちの社会進出が徐々に増えてきた。一般企業での積極採用や、NPO法人などが作業所をつくって仕事を受注するケースもある。でっかいそらでも、広告配布作業や余暇支援事業所向けの弁当づく作り、畑での農作業など、さまざまな業務を行っている。また、周辺地域住民との交流にも積極的だ。

「自治会に加入して、地域の行事には積極的に参加したり、新しくグループホームを開所する際には見学会なども実施しています。地域といい関係をつくっていくことは、災害時などに大きな効果を発揮するはずです。地域の方々の中には、障がいがある方と今まで接したことが無く、不安に思う方もいらっしゃいますので、個々のプライバシーを守りながらも閉鎖的にならないように、風通しのいい運営をしていくことが重要であり、今後の課題でもありますね」

どうしても孤立しがちなグループホームだけに、意図的に地域との交流を図り、地域に関わっていくことが、とても重要だ。周辺に暮らす我々も、壁をつくらず積極的に交流するようにしたい。

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