住まいの雑学
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2013年2月3日 (日)

いつしか定着した節分=恵方巻。ところで節分ってどんな日だっけ?

「ハレ」の行事である節分、しきたりが生活にもたらす意味とは
Photo: iStockphoto / thinkstock

2月3日は節分。豆まきや恵方巻きの準備をしている家庭も多いのではないだろうか。

近年、節分の過ごし方として恵方巻きを食べるのが一般化しているが、じつは恵方巻きを食べる際には、いくつかのルールがあるのをご存じだろうか。今回はそんな節分のしきたりやルールについて、和文化研究家の三浦康子氏に話を伺った。

まずは、ご自身がどのように節分を過ごしているのかを聞いてみた。

「我が家でも豆まきをしますし、恵方巻きを食べますね。関東の出身ですので、小さいころは恵方巻きの習慣はありませんでしたが、文化的な背景を知ってからは、時代の流れにそって取り入れています」

恵方巻きの「恵方」とは、その年の福をつかさどる神様である歳徳神(としとくじん)の存在する方角のことを指す。そちらに向かって事をなせば、何事も良い結果が得られるとされており、つまり、恵方巻きを食す際には、決められた方角を向きながらほお張る必要があるのだ。

ちなみに恵方は毎年変わる。陰陽道の十干(じっかん)によって決まっており、以下の順序で5年ごとに繰り返される。

甲・己の年は寅卯の間、東北東のやや右
乙・庚の年は申酉の間、西南西のやや右
丙・辛の年は巳午の間、南南東のやや右
丁・壬の年は亥子の間、北北西のやや右
戊・癸の年は巳午の間、南南東のやや右

2013年は癸巳(みずのとみ)のため、南南東のやや右に向かって、太巻き寿司を丸ごと食べることになる。しかも食べ終わるまでは一言もしゃべってはいけない。この発祥には複数の説があるものの、大正時代から昭和初期には大阪で定着し、1970年ごろからメディアに取り上げられるようになって知名度が上がってきた。1980年代にはスーパーやコンビニエンスストアでも取り扱うようになり、現在では節分当日になると、売り場には太巻き寿司が山積みにされている。

恵方巻きが盛り上がるとほかの業界もそれに便乗。特に洋菓子業界ではロールケーキやバウムクーヘンを、恵方ロールや恵方ケーキとして売り込んでいる。

三浦氏はこうした楽しめる行事から、節分の背景や由来を知ってほしいと語っている。

「恵方巻きは豆まきなどの本流からすれば外れたものなんですけれども、しないよりはするほうが良いですね。それをきっかけとして『元々は何なのだろう』と興味を持っていただきたいです。地域や社寺でいろいろな行事があり、何をもって正しいかは変わってくるもの。いわれによって掛け声なども異なりますが、由来を知った上で楽しんでいただければ」

また節分の行事が持つ意味についても、詳しい説明を聞くことができた。

「節分自体が『これからも頑張ろう』とパワーアップするためのものです。儀礼や祭事を表す“ハレ(晴れ)”と日常生活の“ケ(褻)”があり、“ケ”が続くと枯れてきて“ケガレ(気枯れ、穢れ)”となります。そこでお正月や節分といったハレの日に、ケガレを払うんです。節分は大晦日のようなものですから、年の節目の大事な行事。ケは気につながり、気が病で“病気”、行事で気を晴らして“気晴らし”、気を元に戻して“元気”となるわけです。そうやって循環させていくのがお祭りなんですよ」

最後に注意。太巻きを丸かぶりする際には、口の中をしっかり湿らせ、飲み物を用意しておこう。ご飯は喉に詰まりやすい食べ物の一つでもあり、巻いてある海苔も口内にくっついて食べにくくなる場合がある。そうなってから慌てることの無いようにしたい。スーモジャーナルの記事「餅を喉に詰まらせたら一体どうする?覚えておきたい応急処置法」を参考にしてほしい。

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