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冨丸 幸太
2015年3月26日 (木)

中古住宅の新潮流[3] マンションの修繕に合わせて室内も見直そう

中古住宅の新潮流[3] マンションの修繕に合わせて室内も見直そう(写真:aaphotograph / 123RF)
写真:iStock / thinkstock

新たな住まいへの住み替えではなく、住み慣れた今のマンションに長く住み続けたい。そうした顧客ニーズに応えようとする取り組みも出てきている。その一つが大京グループの取り組みだ。同社はライオンズマンションのブランドによる新築マンション販売のイメージが強いが、売上高の約半分は過去に販売したマンションを中心とする不動産管理事業で占められている。定期的に手入れして長く住み続けるニーズが高まる中、マンションの大規模修繕の時期に合わせて住居部分のリフォームを行う大京グループの取り組みを紹介しよう。

大規模修繕のタイミングで専有部のリフォームも

マンションは、完成後、年数とともに風雨や日光などにさらされ外壁などが劣化してくる。そこで、適切なタイミングで大規模修繕を行い、劣化を修復することが必要になってくる。

「1回目の大規模修繕を行うのはマンションの完成後、10~12年ごろです。当社ではその際、居住者の方にアンケートを取ったり、管理組合と共同でリフォーム相談会を開催したりして、専有部のリフォーム希望者を募って実施しています」と大京エル・デザイン リフォーム事業部の国分哲平さんは言う。

【画像】リフォーム相談会では、ガスコンロやトイレなどの最新設備も案内している(画像提供:大京)

【画像】リフォーム相談会では、ガスコンロやトイレなどの最新設備も案内している(画像提供:大京)

また、穴吹コミュニティの富田真人さんは、こう話す。
「1回目の大規模修繕時に合わせて行うリフォームの内容はクロスの張り替え、レンジフード、水栓金具の交換など簡易な内容が多いです。約4分の1の住居が行い、平均費用は10万円程度。中にはキッチン、バス、トイレなどの住宅設備をそっくり新しくする人もいます」

住宅設備を新しくする人たちのニーズは、故障したから交換するのではなく、10年経って古くなった住宅設備を、新築マンション同等の最新のものに交換したいからだという。マンション内の複数住戸で、導入する商品や施工日時の調整をまとめて行うことで、リフォーム工事も効率的に行っているそうだ。

網戸一枚から間取りの変更まで。大小規模問わずにリフォームを頼める

素朴な疑問として、リフォームしたければ大規模修繕時に限らず、自分の好きな時期にリフォーム業者に頼めばいいと思う人もいるだろう。しかし、築浅マンションの居住者でリフォームを経験した人は少ないので、業者の選定からリフォーム内容や見積もりの妥当性を判断するのは大変だ。
そうしたなか大規模修繕時にリフォームを行うメリットについて国分さんは、「リフォームする物件と最新のマンションの構造や仕様、住宅設備を両方把握しているため、最適なリフォーム提案ができます」という。

今後、大京グループではライオンズマンションの管理業務を行う「大京アステージ」、リフォームを手掛ける「大京エル・デザイン」、同じく大京グループの穴吹工務店の管理会社「穴吹コミュニティ」が、それぞれ培ったノウハウを共有して中古マンションのリフォーム事業を強化するとのこと。具体的には顧客ニーズの高いキッチン、浴室、トイレなどのリフォームをパッケージ化した商品を、自社管理物件以外に展開することも検討している。

「大京グループの強みは、網戸一枚の交換といった日常の細かなご相談から、設備交換などの小規模リフォーム、集会所など共用部の大規模改装、間取り変更も含めた住戸のリノベーションまでトータルにできることです。しかし、こうした大規模改装やリノベーションは一朝一夕にはできるものではなく、管理組合を中心に住人とコミュニケーションを取り続けて信頼関係を構築することが大切です」(国分さん)。

長く築いてきた近隣住民や地域とのつながりといったものは、住まいにおける一つの財産でもある。ライフスタイルに合わなくなったら住み替えるのももちろん一つの選択肢だが、マンション管理における10年、20年という大規模修繕のタイミングは、ちょうどライフステージの変化が起こりうるタイミングでもある。大規模修繕のタイミングを、室内を見直すいい機会と捉えると、住まいの選択肢の幅も広がりそうだ。

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