リクルート住まいカンパニーでは、「2014年首都圏新築マンション契約者動向調査」及び「2014年関西圏新築マンション契約者動向調査」の結果を発表した。首都圏、関西圏ともに平均購入価格は、2001年の調査以来の最高額を更新したことが分かった。
調査は、2014年1月~12月に新築マンションを購入契約した方が対象で、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県:3347件)と関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県:1088件)の結果をまとめたもの。
新築マンションの平均購入価格は、首都圏が4340万円、関西圏が3510万円で、2001年の調査開始以来の最高額になり、これまで最高額だった昨年(首都圏4168万円、関西圏3383万円)を更新する形となった。
2014年の特徴としては、マンションの価格が高い都心部での購入シェアが減っているにもかかわらず、平均価格が上がったことだ。都心部での購入シェアが増加したことで平均価格を押し上げた、2013年とは異なる動きとなっている。
具体的に見ていこう。
まず、首都圏では、東京23区のシェアが37.6%と最も多いが、2013年の41.9%より約4ポイント減少。同様に関西圏では、大阪市内エリアのシェアが35.2%と最も多いが、2013年の41.6%より約6ポイント減少となった。
一方、購入価格を見ると(図1を参照)、首都圏・関西圏ともに低価格帯のシェアが減少し、首都圏では4000万円以上から、関西圏では3500万円以上からのシェアが増加している。
つまり、新築マンションの販売価格が2013年よりも2014年のほうが上がっていることで、平均価格を押し上げたという構図と考えられる。これは、住宅業界で最近言われているように、マンション用地の取得価格と建築コストの上昇による影響と見てよいだろう。
購入価格が上昇した影響は、住宅ローンの借入額の増加という結果に表れている。首都圏が平均3539万円で2013年より237万円増加、関西圏が平均2885万円で2013年より181万円増加し、それぞれ調査以来で最も高い平均借入額となった。
もっとも、2014年は住宅ローンの金利が軒並み低下する、金融機関の低金利競争が続いていた。低金利であれば、返済負担も軽くなるため、借入額を増やしやすかったという影響も大きいだろう。
次に、物件を検討するうえで重視した項目について見ると、首都圏・関西圏ともに「価格」(首都圏92%・関西圏92%)、「最寄り駅からの時間」(首都圏85%・関西圏84%)の上位2項目が図抜けて高い。景気回復途上で収入は上がっていないため、価格面では妥協はできないが、だからといって最寄駅からの距離も譲りたくないと考える人が多いのだろう。
重視項目の3・4位は、首都圏・関西圏ともに「住戸の広さ」(首都圏72%・関西圏69%)と「通勤アクセスの良いエリア」(首都圏66%・関西圏65%)となっている。立地や広さは譲れないが、価格も上げることができないとなると、選択肢が少なくなる。
こうした影響もあってか、新築マンション同士の比較検討だけでなく、中古マンションの並行検討者が増えている。中古マンションも検討した人は、首都圏が46%、関西圏が47%とともに増加傾向が続いている。ただし、並行検討者が多いライフステージは、首都圏では、通勤アクセスの重視度が高い「シングル女性」や生活環境の重視度が高い「シニアカップル」、関西圏では、通勤アクセスの重視度が高い「夫婦のみ世帯」や教育環境の重視度が高い「子供あり世帯」であるといった違いが見られる。
新築マンションの価格上昇傾向が、調査結果にも表れている。一方で、消費者のマンション購入時の重視項目は、昨年までとさほど変わっていない。景気の本格的な回復がいまだ見えない状況では、予算を上げることが難しいため、マンションを購入する際の消費者の選択眼はより厳しいものになるだろう。
長く住むことになるマイホームだからこそ、無理のない返済で、住み心地のよいマンションをしっかりと見極めてほしい。