住まいの雑学
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末吉 陽子(やじろべえ)
2013年11月23日 (土)

海外ではおなじみのホームウエディング! 日本で成功させるポイントとは?

写真: Digital Vision. / thinkstock
写真: Digital Vision. / thinkstock

結婚式や披露宴を行う場所というと、日本ではウエディング専門の式場やホテル、レストランなどが定番。一方で、どの結婚式も同じような雰囲気だったりすることが多いため「自分のときは、人と違うものにしたい」という思いを持っている人も増えているようだ。

そんな希望に応えるように、近年は個性的なオリジナルウエディングをプロデュースする会社も数多く登場。今やサッカー場やブドウ畑、東京タワーなどで結婚式を挙げるなんてことも可能なんだとか。

なかでも最近人気を集めているのが、「ホームウエディング」。外国映画でよく目にするような、自宅を使ったアットホームな結婚式から、昔ながらの「家婚式」と呼ばれるスタイルまで、その手法もさまざまだという。そこで、ホームウエディングを実現させるためのポイントをプロに伺ってみた。

「いちから作り上げる一体感」によって、温かいホームウェディングが実現

まず、お話を聞いたのは、結婚式のトータルプロデュースを請け負う「Hitomi Produce」代表で、ウエディングスペシャリストの大藤ひとみさん。現在までにホームウエディングを含め、温泉地や文化財などさまざまな場所での結婚式を500組以上担当している。

なかでも印象的だったと話すのは、北海道旭川で担当した20代カップルのホームウエディング。新婦のお父さんがこだわって建てた実家で行われたのだとか。

「300坪あるご自宅で、お庭も広かったので60名ほどのゲストを招くことができました。椅子は近所の小学校からお友達が借りてきてくれたり、料理も地元のお知り合いがつくられたりしたので、新郎新婦をサポートする皆さんの想いがこもった結婚式でした。途中で近所の子どもが料理を食べに立ち寄ったりして、そんな温かい触れ合いも、ホームウエディングならではだと思います。ほかにも、リンゴの木を植えるという記念植樹など、普通の結婚式場ではできないような演出を行うことができました」(大藤さん)

専用の式場のように設備が整っていない分、知恵と工夫で勝負のホームウエディング。打ち合わせにも相当な時間がかかったとのこと。ただ、式場代が掛からないとあって、費用はほぼドレス代と写真撮影代のみに抑えられたとか。

とはいえ、家が広くないとなかなか実現が難しいのでは? と思って聞いてみると「東京の小さな一軒家でのパーティーも担当したことがあります」と大藤さん。

「40代のカップルで、親しい人たち20名くらいと、こぢんまりお祝いしたいというご希望でした。こちらのパーティーでは、ケータリングの料理やケーキを頼んで実施しました。新郎新婦とゲストとの距離も近くて、一体感のある結婚式になりました。ゲスト同士にコミュニケーションが生まれることで、新郎新婦の人柄もより一層伝わり、ふたりを心から応援したいと思うきっかけにもなると思います」(同)

マンションでも50㎡くらいあれば、ホームパーティーのような結婚式も可能だという。その代わり、ゲストからご祝儀や会費などを受け取らないなどの配慮も必要だそうだ。

古き良き日本の結婚式を自宅で叶える

ホームウエディングというと、欧米スタイルのものを思い浮かべがちだが、かつては日本でも、結婚式といえば自宅で挙げる「祝言(しゅうげん)」または「家婚式(かこんしき)」と呼ばれるものが主流だった。

その伝統ある「家婚式」をプロデュースしているのが、長野県に本拠地を置く「ザ・ホスピタリティチーム」。ゼネラルマネージャーの渡辺利之さんに家婚式の魅力についてお話を伺った。

「昔は自宅で行う結婚式が定番でしたが、現在は式場も多様化していて、どこで挙げるか悩んでしまって決められないというカップルも多いようです。そこで、結婚式をやることの最大の意味である『親への感謝』『これからの二人を支えてくれる人たちの結びつき』を実現させるうえでも、結婚式場の原点である『実家』は理想的な場所のひとつだと思います」(渡辺さん)

入学式や成人式など、人生の節目には必ず誰しもが実家から出発したもの。そういった意味でも「家婚式」は、新郎新婦のみならず、二人の門出を見送る家族にとっても、感慨深いものになりそう。

「家婚式では、お仏壇に手を合わせてから挙式を執り行う、という流れをおすすめしています。ご先祖様への敬意と感謝を捧げることで、新郎新婦の心の結びつきもより深くなるはずです。家族との絆を深めたい、ゲストと触れ合う時間をたくさんつくりたいという人にぴったりだと思います」(同)

自宅で結婚式を挙げる際に気をつけたいポイントをまとめると、

・プロに頼む部分と自分たちでやる部分を分けて段取ること。自分たちで全部やろうとか、友達に任せきりになってしまうと負担が大きくなってしまう。
・何人位収容できるか、物理的なことも踏まえて呼ぶ人を決めること。
・靴を脱ぐことはもちろん、立食パーティーになる可能性がある場合なども、招待状に一言ことわりを入れておくと親切。
・ほかにも、一般的な結婚式のスタイルではないことをゲストに理解してもらうため、ホームウエディングに決めた趣旨を招待状に書いておくとよい。
・駐車場の確保や自宅までのアクセス方法がきちんと分かる地図を作成する。

結婚式は新郎新婦のものだけではなく、家族や集まってくれたゲストに感謝を伝える場でもある。家での結婚式は決まったシナリオがないため、色々な準備が必要で大変なことも多いが、その反面、訪れたゲストのほとんどが「こういう結婚式は初めてだけど、本当に素晴らしかった」と言ってくれるという。人との繋がりを強く感じられる、自宅でのハッピーウエディングを叶えてみてはいかがだろう。

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