Spotify Press Announcement

定額制音楽ストリーミングサービスで世界トップの「Spotify」(スポティファイ)が、有料会員数2000万人を突破したことを発表しました。

Spotifyはまたアクティブユーザー数が7,500万人を突破したとも発表しています。

Spotifyは、2014年秋に有料会員数1000万人、アクティブユーザー数4000万人に到達しました。さらに2015年1月には有料会員数1500万人、ユーザー数6000万人と着実に利用者を増やしてきました。

今回の発表によれば、サービスを開始した2008年から2014年の5年半に渡って獲得した有料会員数1000万人をSpotifyはわずか1年で次の1000万人獲得するほどの速度で成長しており、3秒に一人が有料プランに加入する計算だそうです。

今世界的に音楽産業が「定額制音楽ストリーミング」に湧いています。先日アップルは定額制音楽サービス「Apple Music」を発表、6月30日のサービスインに向けて動き出しました。また今年に入ってジェイ・Zの「Tidal」が高音質とアーティストのエクスクルーシブを差別化にして参入してきました。

さらに日本でもエイベックスとサイバーエージェントの「AWA」、LINEの「LINE MUSIC」と、定額制音楽ストリーミングサービスの波が起ころうとしています。

今回発表された数字は、Spotifyをこの市場のリーダー企業であることを示します。Spotifyを使うユーザー数の成長は他社の音楽サービスとは群を抜くものがあります。SpotifyはApple MusicやTidal、AWAとも違い、フリーサービスを有料サービスと共に提供しています。Spotifyは正確な数字は明らかにはしていませんが、多くのユーザーがフリーサービスを糸口にしながら有料サービスに移行しているプロセスが、成功のカギの一つとなっていることがSpotifyのコンバージョン率26.7%(25%からアップ)から見ることができます。

また今回の発表によって、Spotifyは定額制音楽サービスだけでなく、もう一つの市場のリーダー企業にも追いつこうとしています。それは無料の広告型音楽ストリーミングサービス「Pandora」です。Pandoraはアメリカの音楽ストリーミングサービスで、広告付きの無料音楽配信を行う企業です。権利問題の関係上、アメリカ以外ではオーストラリアとニュージーランドでしか運営できないPandoraの月間アクティブユーザー数は約7900万人です。

ロイヤリティ分配もさらに増加

ユーザー数の増加で、さらに増えるのがロイヤリティの分配による音楽産業への還元です。

Spotifyがアーティスト、ソングライター、権利保有者に分配するロイヤリティ料の総額も、Spotifyのユーザー数急増でアップしていきます。先日、サービスインからこれまで支払ってきたロイヤリティの総額は30億ドル以上を突破したことを明らかにしました。2015年の1月から3月までの期間だけでも、3億ドル以上が支払われています。

しかしこれまで定額制音楽ストリーミングサービスは分配が低いとして、特にSpotifyはテイラー・スウィフトやトム・ヨーク、ザ・ブラック・キーズなどアーティストから批判されてきました。Spotifyは今回、アーティスト一組当たりに支払われるロイヤリティ料を、有料会員数が1000万人の場合と2000万人の場合を示すチャートを公開しています。

ブルーは過去12カ月のロイヤリティ料分配(1000万人)、グリーンは今後12カ月に予想される分配料(2000万人)です。

■ニッチアーティスト/インディーズアーティスト
1000万人の場合:70万ドル
2000万人の場合:120万ドル

■キャリアのあるアーティスト(Heritage artists)
1000万人の場合:140万ドル
2000万人の場合:260万ドル

spotify_one-year-payout-niche-heritage

■Spotify トップ100アーティスト
1000万人の場合:190万ドル
2000万人の場合:330万ドル

■スーパースター(トップ10)
1000万人の場合:770万ドル
2000万人の場合:1390万ドル

spotify_one-year-payout-top-100-global-superstar-1

ソース
20 Million Reasons to Say Thanks(6/10 Spotify Blog)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
取材、記事執筆、リサーチ、音楽ビジネスやストリーミング、海外PRに関するコンサルティングのご相談は、お問い合わせからご連絡を宜しくお願い致します。

  • プロフィール
  • お問い合わせ