住まいの雑学
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2012年6月30日 (土)

"建てない建築家"坂口恭平氏の映画が公開 建てないのに建築家って?

建てない建築家坂口恭平氏の映画が公開 建てないのに建築家って?
Photo: Jupiterimages / thinkstock

建築家・坂口恭平を追ったドキュメンタリー映画「モバイルハウスのつくりかた」が6月30日に公開される。

1978年生まれの坂口は“建てない”建築家だ。早稲田大学理工学部建築学科在籍中より、現代建築の在り方に疑問を持ち、都市に存在する無名の人に建てられた無名の建築物、庭の調査を行ってきた。

また彼は路上生活者の家の調査も敢行。そこでまとめたものを写真集「0円ハウス」(リトルモア出版)として発表している。2008年には、隅田川に住む路上生活の達人・鈴木さんの生活を記録した「TOKYO 0円ハウス 0円生活」(大和書房・河出文庫)をリリースし、2009年には自身も多摩川生活を経験する。さらに作家として小説「隅田川のエジソン」(青山出版社・幻冬舎文庫)の刊行ほか、アーティストとしてカナダのバンクーバーで個展の開催なども行ってきた。

多面的に才能を発揮する坂口氏だが、2011年3月には故郷の熊本市に移住し、避難所“ゼロセンター”を開設。“新政府”の樹立を宣言して、初代内閣総理大臣を名乗っている。

そんな坂口が手掛けた住まいが「モバイルハウス」。モバイルハウスは、ホームセンターから買ってきた角材などでつくった、製作費2万6000円という格安価格の居住空間で、車輪をつけたことで、法律的には建築物ではなくなり、税金もかからない。物質社会の現代にアンチテーゼを唱えるような作品だ。

常識の枠を超えた坂口氏の活動は映画の中で存分に表現されている。本当に必要なものはなんなのか、いまの常識は本当にいちばんの選択肢となっているのか…新しい暮らしを考えるヒントになるかもしれない。

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