スポーツ

巨人V9時代の二番手捕手 王・長嶋の素振り練習の凄さを語る

 1965年から始まる9年連続日本一、読売巨人軍のV9時代の9年間、守備の要として君臨したのは森昌彦(現・祇晶)だったが、川上哲治監督は毎年のように捕手を補強して森に揺さぶりをかけた。その中で、二番手捕手として9連覇のすべてに立ち会ったのが、1965年に市立神港高(兵庫)から巨人入り、1984年に現役引退した吉田孝司氏だった。控え捕手として見たON(王貞治、長嶋茂雄)の姿を吉田氏が振り返った。

 * * *
 当時、春のキャンプでは、夕食の後、毎晩7時から川上監督によるミーティングがありました。その後8時から宿舎の「江南荘」の大広間で打撃コーチの荒川(博)さんの指導の下、素振りをしていました。

 ONは僕たちの後に来てスイングをする。荒川さんが「王、準備はいいか」というと、パンツ一丁になった王さんが一本足に構えてからバットを振り始める。10分もすると額に玉の汗が浮かんでくる。その集中力が凄いんです。今の若い選手に見せてやりたいくらいですよ。僕らは物音ひとつたてず、横で正座して見ていました。

 長嶋さんは必ず障子の前でバットを振って、その音を確かめていました。振るとブルンと障子が震えるんですが、自分で「ダメだ、ダメだ」と繰り返すうちに、障子がピシッという音を立てはじめる。

 その時に「これだ!」となるわけです。ヘッドを遅らせて振らないとこの音は出ないというんですが、誰が真似をしてもそんな音はしなかった。長嶋さんのバットスピードはそれほど速かったんです。

※週刊ポスト2014年11月14日号

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン