住まいの雑学
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2013年7月1日 (月)

めっきり少なくなってしまったホタル。自宅でもうまく飼育できる?

ホタルの鑑賞は6~7月が最盛期。都会ではすっかり見られなくなったが、自宅で飼育して鑑賞を楽しむ人もいるという(写真提供/東京ゲンジボタル研究所)
写真提供/東京ゲンジボタル研究所

夏の風物詩といえばホタル。ちなみに6~7月は、ホタル鑑賞の最盛期にあたる。しかし、ホタルが生息できる豊かな緑やきれいな河川が残されている場所はごくわずか。東京近辺では、その姿を見かけることもめっきり無くなってしまった。

ところで、ホタルは自然の中で鑑賞するイメージが強いが、ホタルファンの中には自宅で飼育を試みる人もいる。飼育するための植物や水質の管理は、素人には難しそうに思えるが…実際のところはどうなのだろうか。東京ゲンジボタル研究所の古河氏に話を聞いてみた。

「もし捕まえて鑑賞したい場合は、水槽などにちぎった草を少しだけ入れ、時々霧吹きで水をかけるだけで十分です。さらに、産卵させて幼虫から育ててみたいという場合は、産卵するコケの状態、幼虫の好む水流、さなぎになるために必要な土壌の種類など、いろいろなことに配慮する必要があります。

はじめは、成長段階によって、産卵用・幼虫用・さなぎ用など、個別の環境を用意して飼育するのがいいかもしれません。ホタルがどういった環境を好むのかが分かってきたら、これらを一つにして大きめの水槽で飼育したり、庭に小川をつくってそこで育てることも可能です」

ホタルはとても繊細な生き物。やはり、一筋縄ではいかないようだ。どのような環境ならホタルが育ちやすいのか、ポイントを伺った。

「今回はゲンジボタルについてお話ししますが、重要なのは、産卵・孵化時はコケ、幼虫の場合は水、羽化させる際には土の環境だと思います。まず、産卵時は、虫かごの中に湿ったミズゴケを敷いてオスとメスのホタルを入れれば、交尾をした後産卵します。

産卵が終わったら、コケを水辺に近い場所に置き、孵化した幼虫が水に入れるようにしておきましょう。このとき、コケを斜めに置かないと、幼虫は水辺までの方向が分からず、死んでしまいます」

うまく幼虫が孵化したら、次は幼虫用・さなぎ用の環境を準備する必要がある。

「幼虫の飼育には、ろ過装置を通して浄化した水が必要になります。塩素を取り除けば、水道水でも大丈夫です。水槽に水を入れて底一面に砂を敷き、隠れ場所として小石や落ち葉を置くといいでしょう。

また、餌はカワニナという細長い巻貝ですので、たくさん用意してください。食べ残しはすぐに取り除き、水質が悪くなるのを防ぎましょう。幼虫は、ある程度成長すると成虫になるために陸に上がってきますので、上陸用の環境を新しくつくってやります。

この際、通気性・保水性・排水性のある土が必要になるのですが、例えば、黒土・赤玉土・川砂・ピ-トモス・細かく砕いた炭などを混ぜ合わせたものを用意し、常に霧吹きなどで適度に湿らせておけば大丈夫です。幼虫が土に潜って1カ月ほどすると、羽化し、成虫になります」

また、ホタルの保護のためには、飼育するにしてもきちんとした目的意識が必要だと古河氏は語る。

「鑑賞目的のためだけにホタルを採集する人が増えると、野生のホタルの数がどんどん減ってしまいます。ホタルを採集・飼育する場合は、『減少してしまった地元のホタルの保全目的』と『研究観察目的』のどちらかであるべきです。このような目的であれば、ホタル飼育が一般的に広まることには大いに賛成です」

そういった志をもつ人がもっと増えれば、昔のように、日本各地で当たり前のようにホタルが見られる日が来るかもしれない。

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