夏の風物詩といえばホタル。ちなみに6~7月は、ホタル鑑賞の最盛期にあたる。しかし、ホタルが生息できる豊かな緑やきれいな河川が残されている場所はごくわずか。東京近辺では、その姿を見かけることもめっきり無くなってしまった。
ところで、ホタルは自然の中で鑑賞するイメージが強いが、ホタルファンの中には自宅で飼育を試みる人もいる。飼育するための植物や水質の管理は、素人には難しそうに思えるが…実際のところはどうなのだろうか。東京ゲンジボタル研究所の古河氏に話を聞いてみた。
はじめは、成長段階によって、産卵用・幼虫用・さなぎ用など、個別の環境を用意して飼育するのがいいかもしれません。ホタルがどういった環境を好むのかが分かってきたら、これらを一つにして大きめの水槽で飼育したり、庭に小川をつくってそこで育てることも可能です」
ホタルはとても繊細な生き物。やはり、一筋縄ではいかないようだ。どのような環境ならホタルが育ちやすいのか、ポイントを伺った。
産卵が終わったら、コケを水辺に近い場所に置き、孵化した幼虫が水に入れるようにしておきましょう。このとき、コケを斜めに置かないと、幼虫は水辺までの方向が分からず、死んでしまいます」
うまく幼虫が孵化したら、次は幼虫用・さなぎ用の環境を準備する必要がある。
また、餌はカワニナという細長い巻貝ですので、たくさん用意してください。食べ残しはすぐに取り除き、水質が悪くなるのを防ぎましょう。幼虫は、ある程度成長すると成虫になるために陸に上がってきますので、上陸用の環境を新しくつくってやります。
この際、通気性・保水性・排水性のある土が必要になるのですが、例えば、黒土・赤玉土・川砂・ピ-トモス・細かく砕いた炭などを混ぜ合わせたものを用意し、常に霧吹きなどで適度に湿らせておけば大丈夫です。幼虫が土に潜って1カ月ほどすると、羽化し、成虫になります」
また、ホタルの保護のためには、飼育するにしてもきちんとした目的意識が必要だと古河氏は語る。
そういった志をもつ人がもっと増えれば、昔のように、日本各地で当たり前のようにホタルが見られる日が来るかもしれない。