住まいの雑学
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佐藤 由紀子
2011年9月7日 (水)

東京スカイツリーパルテノン神殿に変身?! 噂の「けんちく体操」をやってみた!

両足を肩幅の倍ぐらいに大きく開いてしっかりと地面に立ち、両腕を頭の上に伸ばし両掌を合わせる。上から引っ張られるように伸びる……。力強く美しいこのポーズはヨガでも創作ダンスでも形態模写でもない。これが噂のけんちく体操の「東京タワー」のポーズだ。

東京スカイツリーパルテノン神殿に変身?! 噂の「けんちく体操」をやってみた!

「けんちく体操」著書:チームけんちく体操(米山勇、高橋英久、田中元子、大西正紀)/エクスナレッジ社発行

巷でじわじわと流行している「けんちく体操」は、大学の建築学科を専攻した建築史家で、東京都江戸東京博物館の研究員である米山勇氏が1998年に考案した「建築物になりきる」ユニークな体操だ。難しくおかたいイメージがある建築の楽しさを、子どもにどう伝えようかと考えた時に、身体を使う体操なら入りやすいと思って考案したという。

米山氏の思いつきを「江戸東京たてもの園」の学芸員である高橋英久氏がパフォーマーとなり、二人でけんちく体操を一つひとつ形にしてきた。米山氏がリスペクトする丹下健三氏が設計した国立代々木競技場第一体育館・第二体育館や東京カテドラル聖マリア大聖堂も含め、レパートリーは100以上。一人でやるものもあれば何人かで組体操のように行うものもあり、親子でやるのも楽しそうだ。

東京スカイツリーパルテノン神殿に変身?! 噂の「けんちく体操」をやってみた!

ワークショップにて。初めてなのに楽しそう

けんちく体操は「江戸東京たてもの園」「東京都写真美術館」などで、子どもや親子向けのワークショップで行われている。親子がお互いを理解し触れ合いを深めるきっかけにもなっているそうだ。その後、2010年には編集者の大西正紀氏とライターの田中元子氏が参加してにぎやかさ、華やかさが加わった。今は、けんちく体操博士『イサーム・よね』(米山氏)がつくった謎の体操ロボット3体『けんちく体操マン1号・2号・けんちく体操ウーマン1号』で「チームけんちく体操」を結成し、ワークショップや書籍で体操に取り組んでいる。「けんちく体操は建築物から感じたことを思いのままに身体で表現するだけ。道具も技術もいらないし誰でもトライできます。自由にアレンジして仕上げてほしいですね」と米山氏は話す。

東京スカイツリーパルテノン神殿に変身?! 噂の「けんちく体操」をやってみた!

勝鬨(かちどき)橋

腰を降ろし足を左右に広げ、頭の上で三角を創り3人が一列に並ぶ「ピラミッド」に悠久の時を感じ、肩車した子どもが上へ伸びる「東京スカイツリー」にスター気分を味わう。正解はないと言っても、イメージや美しい演技にはこだわりたい。そして、フィットネス効果、痩せる効果は第一目的ではなさそうだが、ヨガ経験ありの私の場合、丹田(おへそのすぐ下あたり)に力を入れ呼吸法を組み合わせて「けんちく体操」をやると、身体に結構効くのが分かる。また、書籍に書いてある建築物の構造や大きさ、背景、歴史を知れば、より表現しやすくなり愛着もわく。

けんちく体操にはまり、言葉や頭より身体がつい建築に反応する「けんちく体質」になる人の症例も報告されているとか?!「原型はとどめてほしいですが、体操に正解はありません。意表をつくものにどんどんチャレンジしてほしい」と話す米山氏に、今後の発展を聞いた。「旅行に行って建物の前でピースして写真を撮るのはもうやめましょう。旅の先々でカメラを向けられたらけんちく体操をして建物と一体になる、それがあたり前になることを願っています。」

旅先で建築物と並んでけんちく体操をする構図は、ピースサインで写真におさまるより断然面白そうだ。さて、あなたも「けんちく体操」にトライしてみる?

けんちく体操
HP:http://kenchiku-taiso.com/

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