騒いだり、ボール遊びが禁止という公園も多い昨今、今の小学生達はいったいどんなところに秘密基地を作るのか? 都心の今の小学生男子の秘密基地はどんな風になっているのか? リポートをしてみました。
−−秘密基地についてお伺いしたいんですが、どんな秘密基地をお持ちでしたか?
「前は、近所のマンションの横の土があるところ」
−−マンションの横ってここからどれぐらい離れてるんですか?
「あるいてちょっとのところ、すぐだよ」
−−小屋みたいな感じだったんですか?
「小屋っていうか、土のところで遊んでた」
どうやら、マンション横の遊休地にある盛り土の窪みを利用し、そこを秘密基地としていたようです。
一般的に「秘密基地」というと、小屋のような立派なものを想像しがちですが、実際の小学生はただ友人とたまることができる場所。ぐらいの意味で「秘密基地」という言葉を使っているらしく、そんなところが秘密基地なのか? と、拍子抜けしてしまいました。
小学生が「秘密基地だ」と言えば、それはどこでも「秘密基地」とせざるを得ません。
−−以前の写真を見ると、ダンボールを持って行ってますけども、これは何に使ってたんですか?
「下に敷いてつかってた」
−−独自にリノベーションしてたんですね
「ダンボールの他にも椅子とかあった」
粗大ごみかなにかを持ってきて、独特の住環境を作っていたようです。
−−ぶっちゃけ、なんか汚くないですか?
「汚い? なんで?」
汚いか、きれいか。という価値観が、秘密基地には存在しないらしく、逆に聞き返されてしまいました。汚い、きれいなんてのはおとなの勝手な価値観でした。失礼致しました。
−−その秘密基地は誰が最初に見つけたんですか?
「さあ? Fくん(1学年上の友人)に教えてもらったからわかんない」
−−Fくんが最初にみつけた?
「うーん、もっと前から誰かが使ってたんじゃないかなー」
少なくとも、数代前から何人かの友人たちによって代々使われてきた秘密基地だったようです。しかし、そんな伝統のある秘密基地も終焉の時を迎えます。
−−今はそこで遊ばないの?
「先生に見つかってからはそこは使ってない」
−−秘密なのに見つかった?
「そう、秘密基地から出たら先生がいて、そんなところで遊んだらダメ!って怒られて、今は行ってない」
−−そうですか、それは仕方ないですね。入っちゃダメなところ結構ありますからね。
放課後、学校周辺をパトロールしている先生に見つかってから、その秘密基地は使っていないようです。
生徒の安全を第一に考える立場からは、他人の敷地に勝手に侵入して秘密基地を作るのは到底許せるものではないかもしれません。先生の仕事としては完璧です。
−−今は秘密基地はない?
「あるよ」
−−それはどこに?
「近所の公園の植え込みのところ」
実際に、案内してもらいましたが、そこは秘密基地というよりもただの公園の植え込みです。
−−屋根とか壁がないけれど……
「前、テント貸してっていったでしょ、ダメって言われたけど。その時ここにテント張ろうと思ったの」
−−あのキャンプ用テント貸してって言ってたのって、ここで使うつもりだったんですね。でも、テント張るほどのスペースはないですね……石に直接座ってお尻痛くないですか?
「痛いけど、べつに……」
本来ならば、自分で材料を集めて屋根を作ったり壁を作ったりしたいらしいのですが、都心には材料(ゴミ、廃材)が落ちているような場所がなかなか無いので、公園の隅をそのまま何も手を加えない状態で秘密基地として使用しているのだそうです。
−−今後、どんなところに秘密基地を作っていきたいですか?
「屋根とかつけたいんだけど、屋根があったら雨が降っても大丈夫じゃん。あと、木の上に作りたい」
−−木の上ですか?
「そう、この木の上に家つくりたいんだよなー」
どうやら、絵本かなにかで見た、トム・ソーヤの冒険のようなツリーハウスにあこがれているようです。
しかし、公園の木の上に人が入れるほどの小屋を作る。という行為は、都市公園法に抵触するおそれがあるので、まず公園の管理者である区役所に確認して許可をもらわなければいけません。
−−区役所に聞いてみますか?
「うーん、いいや」
いいそうです。
都市部の小学生たちは、秘密基地の設置場所ひとつとっても厳しい法の規制があり、なかなか思うように基地の設置ができないでいるという過酷な現実が明らかとなりました。