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田方 みき
2011年7月19日 (火)

この資金計画アリ? 住宅ローンの借り方・返し方をお金のプロに相談(3)

若いうちに買うべきか、子どもが巣立ってから買うべきか。何歳で家を買うかによっても資金計画は違ってくる。今回登場するのは、3人の子どもがいるCさん。アドバイスするのはファイナンシャルプランナーの杉田ゆみかさん。Cさんは迷いから抜け出せるのだろうか。

【Cさんの考えた資金計画】
「子ども3人の教育費を考えると不安…。子どもが独立してから買ったほうがいいですか?」

小学校入学前の3人の子どもがいるCさん。埼玉県の郊外に好みの一戸建てを見つけた。「妻は買う気まんまんなんです。僕も、若いときに買ったほうが毎月の返済額を抑えられるのはわかっているんですが、子どもたちの教育費のことを考えるとなんだか不安で。教育費のための貯金もしなくちゃいけないし…。子どもにお金がかからなくなってから買ったほうがいいのかな、と思ったりもするんです」と、迷っている様子。今のところ、2500万円を35年で返済する資金計画を立ててはいるのだが……。子育てにかかるお金の不安を抱いたままの、こんな資金計画はアリ?

● Cさんのプロフィール
年齢:27歳(会社員)
家族構成:Cさん、妻(26歳・育児休暇中)、長男(4歳)、長女(3歳)、二女(0歳)
年収:450万円(税込)、1年後、妻が職場復帰をすると世帯年収750万円になる予定
買いたい家:2900万円の新築一戸建て(4LDK)
用意できる頭金:400万円(諸費用分は別に確保してある)
今の家賃:8万円

●Cさんが考えた資金計画
借入額 2500万円
金利 2.39%(全期間固定型)
返済期間 35年
毎月返済額 約8万8000円

【お金のプロはこうアドバイスする!】
一般的には、子どもが小さいうちに買うか、子どもが巣立ってから買うか、どちらがよいのでしょう?
「これはケースバイケース。Cさんの場合は、下にまとめたようなメリットや注意点を加味した上での判断が必要です。また、いずれの時期の購入でも、大切なのはきちんとした資金計画ができているかどうかですね。特にCさんのように、お子さんが多い家庭は、『今買う場合』『後で買う場合』『奥さんが働けなくなった場合』といったケースごとのキャッシュフロー分析(将来にわたる収支予測分析)をきちんと行った上で判断することをオススメします」

Cさんの場合、お子さんが3人いるため、将来の支出のうち教育費が大きな割合を占めそう。教育費が負担にならないか心配な様子です。いくらくらいを目安に貯金をしていけばいいのでしょう?
「幼稚園(2年制)から高校までは公立、大学は私立文系に行くと仮定すると、一人あたりの教育費総額は約890万円です※。これを18年間の月平均にしてみると約4万1000円。子ども3人の場合には、総額2670万円、月平均12万3000円となります。この金額を一つの目安として、貯蓄計画を立てると良いと思います。ただし、これは、毎月貯めるべき金額ではなくで、かかる金額です。実際には、負担が大きい時期とそうでない時期がありますから、例えば、『高校までの教育費は、毎月のお給料の中でやりくりできそうだけど、大学の費用430万円は難しそうなので、今から17年間で1人当たり毎月2万1000円を積み立てておこう(0歳時に積み立てをスタートする場合)』というように、家計の状況にあわせて貯蓄していくことになります」

Cさんが、今のところ計画している毎月返済額約8万8000円の資金計画に無理はありませんか?
「妻が働きに出て安定した収入が続くなら、子どもの教育費は妻の収入から出すことができますね。全期間固定金利で返済額アップのリスクがない点も安心です。
ただし、子どもが3人ということを考えると、返済額をもう少し少なくすると、さらに安心度がアップします。例えば、200万円程安い物件に変更するか、200万円程頭金を増やすことで、今の家賃と同程度に抑えることができます。また、将来、妻が仕事を辞める可能性も考慮して、繰り上げ返済ができるように早めに貯金をしておくのもいいですね。妻が職場復帰して、今後との収支のペースがつかめてから再検討するのもひとつの方法です」

将来、住宅ローンが負担にならないか…という漠然とした不安があるときは、将来のさまざまなケースを想定してみよう。「教育費にいくらかかり、そのためにいくらの貯金が必要か」「妻が職場復帰すると収支はどう変化するのか」「妻が働けなくなったらどうするか」など、今後の収入と支出、貯金について具体的に考えてみるといいだろう。

Cさんにとってのメリット&注意点

※データ元‥文部科学省「平成20年度子供の学習費調査(お稽古事などの学校外での費用も含まれています)」「私立大学等の平成20年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」を元に作成(高校授業料無償化を考慮しています)。

【この資金計画アリ? 住宅ローンの借り方・返し方をお金のプロに相談(2)】はこちら
https://suumo.jp/journal/?p=2393

この資金計画アリ? 住宅ローンの借り方・返し方をお金のプロに相談【相談にのってくれたお金のプロ】
杉田ゆみかさん
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー。大手生命保険会社、ソフトウェアハウスに勤務後、独立FPに。相談センターでの相談員を経て、執筆、個人相談・講師等積極的に活動中。現在、2児の母。

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