声明は、古くはインドに伝わる仏教音楽であり、日本には奈良時代から平安初期にかけて中国より伝来した。現在でも日々の勤行や各法会などで唱えらる仏教の伝統的儀式音楽です。また、謡曲や浄瑠璃など邦楽のルーツとして大きな影響を与えたことで知られ、「日本音楽のふるさと」という側面もあります。
十三世紀初頭、時の高野山三宝院住職、正等房(しょうとうぼう)勝心は、弘法大師ご入定の霊峰でありながら、高野山に声明の本流が伝承されていないことを遺憾とし、大進上人を流祖とする「進流声明」の本山を、大和中川寺成身院より高野山に移す努力をされました。以後、高野山の声明は「南山進流声明」(なんざんしんりゅう)として今日に至るまで伝統が受け継がれています。