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田方 みき
2011年4月26日 (火)

いくら借りられる? 職業別・家計の事情別で調査してみた

家が欲しくても、住宅ローンでいくら借りられるか見当がつかなければ、買いたい物件が選びにくい。モデルハウスやモデルルームで試算はしてくれるけど、実際に貸してくれるのは銀行だし…。それに、職業によって借りられる金額って違ってくるんじゃないかしら? というわけで、銀行に聞きに行った。

まわったのは、同じ銀行の4支店。どの支店も住宅ローン相談専門の窓口がある。
わが家は「新築マンション検討中。年収は税込で600万円。年齢35歳」。
さて、同じ年収でも、職業や家計の事情で借りられる額はどう違ってくるのか?

まずは A支店へ。「わが家はいくら借りられますか?」という質問に、担当者が電卓をタタタっと叩いて出してくれた答えは「概算で3600万円」。これは、金利3.5%、35年返済で、毎月返済額が15万円(つまり、年間の返済額が年収の30%)として計算して出した金額だそうだ。審査の際は、高めの3 〜4%で計算するので、実際に借りるときには、返済額はもっと少なくなる可能性があるとか。

ちなみに、尋ねられたのは年収と年齢、勤続年数のみ。名前や住所、勤務先などは聞かれなかった。「勤務先とか職業は、借りられる金額に影響しないんですか?」と質問すると、「しません」ときっぱり。年収が安定しているかどうかで判断するのだとか。
では、年収が不安定な職業だったらどうなのだろう?

次にB 支店へ。ここでは、「昨年の年収600万円。営業年数10年の個人事業主」ということに。尋ねられたのは年収に変動がないかどうか。「年によって上下して500万〜700万円」と答えると、出てきた答えは「3000万円」。年収500万円、金利3.5%、35年返済で計算したそうだ。つまり年収が不安定な職業の場合、たまたま前年の年収が多くても、過去の実績から借りられる額が少なくなる可能性があるということだ。

C支店では、「1年半前に転職した」という条件で聞いてみた。答えは「融資はできない」とのこと。この銀行の場合、「勤続年数2年以上」という借入条件があるためだ。ただし、半年後に引き渡しになる物件なら、その時点で勤続年数が2年以上になるので借り入れは可能。

最後に D支店。ここでは、A支店と同じ条件で聞いてみると「ほかにも借り入れがないかどうかなど、いろいろお聞きしないとくわしくは出せないのですが、3500万円くらいですかねぇ」というざっくりとした回答。そこで、「車のローン返済が月3万円ある」ことを告白すると、「では、年間に返済できる金額が36万円減りますから…(パソコンに数字を入力)…3000万円くらいでしょう」。実際の審査までに車のローンを一括で返済しておけば、借りられる金額は増えるそうだ。

勤務先や職業で借りられる金額が変わることはなさそうだが、同じ年収でも収入の安定性や、ほかに借り入れがあるかどうかなどで、借入可能額は違ってくるというのが結論。いくら借りられるのか聞きに行く前に、ここ数年の年収の状況や、転職した場合はその時期、車や教育資金の借り入れ状況など融資額に関わりそうな情報を整理しておくことが必要だ。

いくら借りられる?職業別で調査してみた

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