リクルート住まいカンパニーは、消費者が住宅の購入や建築、リフォームのタイミングとして、買いどきと感じているかどうかを、3カ月ごとに7大都市圏で調査している。今回発表されたのは、消費税増税直前の2014年3月24日~29日に、インターネットで調査したもの。増税で消費マインドは下がるものだが、影響の小さい領域もあった。それは…?
増税直前の調査結果では、7大都市圏において、「買いどき(今は住宅を買うタイミング、建築・リフォームするタイミング)だと感じている」人は15.8%。前回調査時(2013年12月)に比べて2.9ポイント下がった。
「買いどき」と感じる理由のトップは、「今後、消費税率の引き上げがあるから」で29.7%だったが、前回(2013年12月)より13.9ポイント減少した。2位以下は「景況感が上昇しているから」(20.9%)、「住宅価格が上昇しそうだから」(20.1%)と続く。
一方、今が「買いどき」だと感じていない理由のトップは、「期待感だけで実態がよくなっているわけではないから」で22.1%。前回より1ポイント上昇した。2位以下は、「先行きの不透明感がまだ強いから」(21.8%)、「雇用が不安だから」(15.0%)と続く。
消費税が8%になる前に駆け込もうという需要は落ち着いたが、10%上昇までという需要はあってもまだそれほど大きくないということ。景況感は上昇しているが、実態がまだ回復せず、増税の影響も懸念されるなか、買いどき感は以前よりは下がっていること。などがうかがえる。
そんななか、買いどき感があまり下がっていない領域があった。それは「現在の持ち家住宅の大規模リフォーム」。検討者の50.3%が買いどき(リフォームするタイミング)と感じており、特に首都圏や福岡市でその傾向が強い。
では、購入や建築することと比べて、今リフォームするのはよいタイミングなのだろうか?
住宅の購入や建築の場合は、消費税増税の影響が大きいが、半面「住宅ローン減税」や「すまい給付金」が利用できるので、増税の影響を軽減する効果も大きい。(※詳しくは、筆者の記事「2014年4月、消費税率が8%に引き上げ!住宅購入に与える影響は?(https://suumo.jp/journal/2013/10/01/53046/)」参照)
増税の影響は軽減できても、影響の大きい「住宅価格の上昇」や「金利の上昇」のほうが懸念されるので、買うと決めているなら早いほうがよいということになるだろう。
「住宅価格の上昇」の要因とされているのは、建設資材の高騰と人手不足による労務費の上昇だ。
まず、円安で輸入資材が高騰している。さらに、東北の震災復興事業の本格化、アベノミクスによる公共事業の拡大に、住宅市場の回復が加わって需要が高まり、国産品も含めて建設資材(生コンクリートや鋼材、木材など)が高騰しているからだ。
同時に、人手不足も深刻化。特に、鉄筋コンクリートの躯体工事に必要な鉄筋工や型枠工などが不足していると言われている。2020年の東京オリンピック開催に向けて、道路や競技施設関連などの建設需要はさらに高まると見込まれているので、人手不足解消策が大きな課題となっている。
ただし、リフォームについては、建築するよりも工事規模が小さく、鉄筋コンクリートの大掛かりな工事も発生しないので、建設資材の高騰や人手不足の影響は受けるものの、マンションの建築などと比べるとその影響は小さいとも言われている。
一方で、工事費用も少ないので、10年以上のローンを組むことが条件の「住宅ローン減税」の適用対象から外れるケースが多い。耐震や省エネ、バリアフリーリフォームについては減税の拡充があるが、消費税増税の影響を打ち消すほどの効果はない。
したがって、工事費の上昇や金利の動向よりは、消費税10%の影響を見据えて、リフォームのタイミングを計るのが得策という見方もできるだろう。工事期間が短い分だけ、今から計画すれば10%の増税前にじっくりプランを練ってリフォームすることが可能だ。
景気や金利の動向については、グローバル経済の中では専門家でさえも予測が難しいところ。ましてや専門家ではない一般の人が、経済情勢を分析して予測することはさらに難しいだろう。
買いどき、建てどきを多面的に検討する必要はあるが、長く住む住宅だけに、じっくりプランを練って建築やリフォームをしたり、あれこれ比較検討して購入する家を決めたりする準備期間も相当に必要だ。
自分たちの準備期間だけは自らで判断できるので、後悔のないように家族ごとに買いどき、建てどきを考えてほしいものだ。