購入した住宅に入居した後で欠陥(瑕疵/かし)が見つかった場合、売主や施工会社が無償で補修する責任を「瑕疵担保責任(※)」という。新築住宅の場合は建物の基本構造部分等について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が定められている。
一方、中古住宅は、不動産会社等が売主の場合、「引き渡しから最低2年間の瑕疵担保責任」とすることが定められている(宅地建物取引業法)。しかし、個人が売主の中古住宅については明確な規定はなく、十分な瑕疵担保責任を問えないケースも少なくない。そこで登場したのが「既存住宅売買瑕疵保険」制度だ。
この制度は、所定の保険法人が住宅の基本構造部分等を検査した上で「既存住宅売買瑕疵保険」に加入し、1年または5年間の保証をするというもの(不動産会社等が売主の場合の保証期間は2年または5年)。期間中に瑕疵が見つかった場合は保険金によって補修が行われる。また、調査費用や転居・仮住まい費用なども保険金の支払い対象となる。
※2020年4月の民法等の改正により、「瑕疵」は「契約の内容に適合しない」という文言に改められ、改正法に基づく売主の責任は「契約不適合責任」といわれるようになった。
>>>「瑕疵担保責任」も併せてお読みください
既存住宅売買瑕疵保険には、売主が不動産会社の場合の「宅建業者販売タイプ」と、売主が個人の場合の「個人間売買タイプ」の2種類がある。宅建業者販売タイプでは、瑕疵担保責任を負う不動産会社が保険に加入し、欠陥等が見つかった場合は保険金によって補修を行う。また、不動産会社が倒産などによって瑕疵担保責任を負えなくなった場合、購入者は保険法人に直接請求できる。
一方、個人間売買タイプは、所定の検査機関に検査と保証を依頼し、検査機関が建物の検査をした上で保険加入手続きを行う。検査・保証依頼は、原則として売主が行うが、買主(購入予定者)からの依頼も可能なので、不動産会社や仲介会社に相談してみよう。
保険法人に登録している不動産会社や検査機関等は、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページから検索できる。検索ページにはリフォーム会社の連絡先や保険加入の実績数も掲載されている。なお、保険料や検査料をどのように負担するかは、売主と買主の話し合いによって決める。買主が全額負担するケースもある。