カメラを趣味にして撮影を重ねていくと、どうしても近づいて撮りたくなる時がある。
不思議なリング?
カメラにおいて、被写体に極限まで近づき、かつ被写体を大きく撮りたいという事はよくある。
しかし、実際には焦点距離があり、またピントが合う被写界深度の関係もあって、最短撮影距離という縛りの中で近づくしかない。
最近のレンズは比較的最短撮影距離が短いものが多いのだが、流石に最短撮影距離が70cmとかあると、近づいているようで今一つ近づききれなくて、思ったほど被写体が大きくならなかったりする。光学的な問題である以上、どうする事もできないのがこの問題なのだが、しかし、そうした最短撮影距離を短くしてくれるアイテムがあるのである。
それが「接写リング」と呼ばれるものである。
このリングをカメラとレンズの間に入れる事で、普通よりもずっとマクロ撮影に近い形にする事ができるのだが、もちろん使えるのはマクロレンズだけでなく普通のレンズでも可能。お手軽に最短撮影距離が短くなるという便利アイテムである。
何という不思議なアイテム…と言いたい所だが、もちろん根拠があっての接写リングである。
光学的にレンズの前玉とセンサーの距離(これをメカニカルディスタンスと言う)を離す事で、近距離でもピントが合うようになる。そして同時にこのメカニカルティスタンスをとる事で被写体がセンサーに結像するサイズを大きくすることができるのである。焦点距離は変わらないままであるため、繰り出し量を大きくとる、つまりリング状のもので繰り出してやればマクロレンズと同じ効果が得られる、というワケである。
但し、何もかもがマクロレンズと同じというわけではない。もし同じならそもそもマクロレンズなどというレンズを専用で作ったりはしない。
接写リングを入れて繰り出し量をとると、その分“被写界深度が浅くなる”のである。つまり、ピントを合わせられる幅が狭くなるのである。
マクロレンズはその辺りをちゃんと解決していて、普通に使うことができる。接写リングを付けての撮影とはその部分で大きく異なるのである。
スタジオグラフィックス
http://j.mp/1Q12BRA
(上記画像を引用させていただいた)
デジタル接写リング
ただ、専用のマクロレンズを買うとなると、それなりに価格も高く付くわけで、普段からマクロ撮影をしないという人にすれば、手を出しにくいのも事実。
であるならば、ちょっとしたマクロ撮影をしたいという理由で、接写リングを買うというのは一つの手である。
何と言っても、レンズと本体の間に入れるだけという手軽さもある。持っていて損をするものではないと思う。
そのように思う人にお勧めなのがケンコートキナーから発売されている「デジタル接写リング」である。
ケンコートキナー デジタル接写リング
http://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/eq/eq-digital/close/tube/
デジタルカメラの各マウント用が用意されていて、私が使用しているマイクロフォーサーズ(m4/3)用も作られている。
マウントによって異なるのだが、m4/3用としては10mmと16mmのリングがあり、それぞれを単体で使う事もできれば、2つ合わせて使う事もできる。当然、繰り出し量が多くなればなるほど接写でき、かつ被写体を大きく撮影する事ができる。
レンズを1本買うよりは価格も安いしメンテナンスも楽。唯一の弱点はピント合わせが難しいという事だけだが、接写リングを入れてもAFは出来る為、ある程度はAFでピントを合わせ、そこからMFでピントを追い込んでいく…という使い方が良いかも知れない(AFだけでも撮影も可能かもしれないが…品質は保証の限りではない)。
マクロ撮影がしたいけれどもレンズは買えないという人や、撮影のバリエーションを増やしたい人などは、一度試してみてはどうだろうか?