ビジネス

中内功氏伝説の檄 「おまえら、もっといかがわしくなれ!」

 流通業界の風雲児ともうたわれた「ダイエー」の名前がなくなることが発表になった。創業者・中内功氏はリクルートに資本参加していたこともある。リクルート出身の作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が中内氏の伝説のスピーチを紹介する。

 * * *
 いやはや、ついに「ダイエー」がなくなりますね。「流通革命」で一世を風靡したこの企業、実は10月16日に東証一部に上場するリクルートに資本参加していたことがあるのです。このニュースが同時期に届いたことに、リクルートのOBとして、様々な想いが渦巻きます。ダイエーの創業者であり、流通界の風雲児だった故・中内功氏のことを思い出してしまいました。一時、リクルート会長でもあった中内さん(当時の社内での呼び名、そのままで書きます)、リクルート社内では実はかなりの人気者だったのです。

 まず「ダイエーがなくなる」という件について、より詳しく説明しましょう。イオンは24日、ダイエーを2015年の1月に完全子会社にすると正式に発表しました。2018年度をメドに総合スーパー「ダイエー」の店舗名を廃止します。ダイエーは、実に約60年の歴史の幕を閉じることになりました。

 現在の若手ビジネスパーソンにとって戦後最大の贈収賄事件と言われる「リクルート事件」が、歴史の教科書でしか知らない事実であるように、リクルートがダイエーの傘下に入っていたことがあることを知っている人も、もはや少ないことでしょう。そう、そんな時代があったのです。当時のリクルートは関連会社の業績不振による多額の負債などから経営難に陥っていました。財務の立て直し、社会的信頼の回復などのために、1992年にリクルート創業者の江副浩正氏は、持ち株を譲渡し、リクルートはダイエーの傘下に入りました。

 先輩に聞いた話なのですが、社内ではリクルート事件よりも、このダイエー傘下入りの方が衝撃的だったそうです。社章がオレンジ色になるなんていう噂があった一方、「たとえ、ダイエーの店舗に配属されても、最高の売り場を作ってやる!」など、意気込みを語る社員もいたとか。

 そんな中、ダイエーの創業者である中内さんは、リクルートのマネジャーを全員集めた会合でこんなスピーチをしたのでした。

「ワシはリクルートのような若くて元気な会社が大好きや。しかし、あんたらは世間から『いかがわしい』と言われて、シュンとしておる。ワシのところもそうやったが、若い会社というのは、たいがい、いかがわしいもんや。それでええんや。おまえら、もっといかがわしくなれ!」(日本経済新聞 2013年4月16日付朝刊より)

 この一言には、場内は拍手喝采だったとか。

 私も、中内さんのスピーチを一度だけ聞いたことがあります。2000年4月に横浜アリーナで開催された社員総会でのことでした。私の最新作『リクルートという幻想』(中央公論新社)でもふれましたが、中内さんのスピーチは大放談そのものでした。

「リクルートは、リクルート事件で、結果として古い日本の政治体制を破壊した。そんな社会全体を揺るがす起爆力で21世紀をリードしてほしい」

「社会から“RECRUIT can do!””Only RECRUIT can do!“と評価されるようになってほしい」

関連キーワード

関連記事

トピックス

真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
優勝11回を果たした曙太郎さん(時事通信フォト)
故・曙太郎さん 史上初の外国出身横綱が角界を去った真相 「結婚で生じた後援会との亀裂」と「“高砂”襲名案への猛反対」
週刊ポスト
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン