開発面積32万2000㎡、分譲区画681というスケールで、現在開発が行われている多摩ニュータウン東山 東京森(しん)都心。街の特徴や現在、魅力とあわせて、先日開催された住民の交流イベントの様子をレポートしよう。
多摩の豊かな自然が残る多摩ニュータウン。その丘陵地に誕生する東京森(しん)都心は、積水ハウスとダイワハウスの2社が共同で行うプロジェクト。分譲区画は681、開発・販売には7年ほどかけるといい、いかに力を入れて開発しているのかが分かる。
このプロジェクトの最大の特徴は、山々に残る自然との共生。既存の樹木はできるだけ移植などして残すほか、開発面積の1/3を緑地にあてるという。そのため、「緑の豊かさにひかれて、ここへの入居を決めた」という住民もいるという。「京王線を利用すれば京王堀之内駅から新宿駅まで37分ですし、駅から近い街区であれば徒歩12分。生活利便性を確保しつつ、自然とともに暮らせる街という点で評価されています」と話すのは、積水ハウス東京分譲事業部東山プロジェクトプロジェクトリーダーの川口悟さん。
また、スケールメリットを活かした開発が行われているため、メインストリートは電柱を地中化、街区中の道路は車が通りぬけできないようにクルドサックを適宜配置するなど、街全体の美観・安全性を高める工夫がされている。
ちなみに、1区画は185㎡以上、約200㎡とゆとりがあり、カースペースを2台分確保。丘陵地全体がゆったりとした南向きのため、どの区画でも日当たりや風通しがよい。「敷地接道面の1/4は必ず緑化すること、基本は植栽で敷地を区切ることなどが、八王子市との緑化協定で定められています。緑の景観を見て歩くのも楽しいはずですよ」というのは、ダイワハウス南多摩支店分譲住宅営業所南多摩支店の石川悠太さん。
建物プランだが、積水ハウスでは、子どもの安全や安心に配慮し、子どもの生きる力を育む「コドモイドコロ」仕様を採用した、子育て世代を応援する間取りを提案。一方、ダイワハウスでは、収納や動線など、暮らしを快適にする間取りを展開している。価格は5000万円台だが、京王線沿線だけでなく、横浜エリアや近郊からも購入検討者が集まるという。
そして7月、この多摩ニュータウン東山ですでに入居している人を対象に行われたのが「草木染め」。染める材料として使うのは、東山の森に自生している「くさぎ(臭木)」、そして身近な野菜である玉ねぎの皮だ。今回はなんと山に入って切り出しをし、葉を洗って染液をつくるところから行うという。午前はくさぎの切り出しと染液をつくり、絞り(木の実やボタンを使って、ハンカチに模様をつくる)、午後は染めと媒染(色素を定着させる作業)、乾燥と1日かけて行うイベントだ。
はじめは、顔見知り程度だった人も、作業をすすめるうちになじんでいき、染めと媒染を行うころには、見事な連携プレーもできるように。夏のまぶしい日差しのもと、大人も子どもも張り切って作業をしているのをみると、こうしたイベントを通して「ご近所さん」になるのだなと実感する。
また、作業のメインとなる、染めたハンカチの絞りをはずすところでは、あちこちから歓声が。「きれいにできた」「緑って難しい〜」「不思議なかたちに染まっていた」などと、大盛り上がり。模様はもちろん、色も微妙に異なるハンカチは、まさに世界で1枚しかないオリジナル作品に仕上がっていた。
一戸建ての開発でも、地元の自然とふれあう機会というのはあまりなかったはず。自然を知ることで街を知ることができ、地元意識が育まれるのだなと感じた。また、こうした機会を通して、コミュニティが育まれていくのとともに、子どもたちの思い出にもなることだろう。郊外に暮らす魅力は、実はこうした生活の豊かさにあるのかもしれない。