『バイキング』(フジテレビ系)の月曜日コーナー『生中継!サンドウィッチマンの日本全国地引網クッキング』の出演で話題の料理研究家・高城順子さん。高城さんに、父親の介護を振り返ってもらった。
「父が脳梗塞で倒れ、相次いで母が肺がんということがわかり、同じ病院の違う棟に入院していました。20年前、忙しい時で、仕事の合間を縫って両方の病室に行ってまた仕事に戻って…どう暮らしていたか覚えてないぐらい必死でした(苦笑)」
お母様を看取った後、高城さん宅でお父様を引き取った。距離が縮まった分、ぶつかることも増えた。
「ともかく怒ってばかりいました。玄関を開けると家がガンガンに暑い。“ただいま”を言う前に“ストーブつけっぱなしにして! 危ないじゃない!”って怒鳴ってしまう。私はなかなか帰ってこないくせに、帰宅早々怒り出すんです。父もうまく言葉が出せないからアー!って大声出して、喧嘩になる。冷静に考えると、あの時苛立っていたのは、父をちゃんと看られていない自分に対してだったんですよね」
1年ほどふたりきりの日々が続いたが、多忙な高城さんが介護を続けるには限界があった。ショートステイをきっかけに、介護付き老人ホームに入所することを決めた。
「今ほど介護に対する認識もなかったから、人に預けることに葛藤もありました。でも父が施設に入ってからのほうが“元気?”“まあまあ。そっちは忙しいの?”なんて、会話が成り立つようになって。施設のかたから“私たちは仕事だからできるけれど、親子だと複雑な感情があって介護は難しいものなんですよ”と言っていただいて、救われました。
距離ができたことで、父に何かしてあげたいと心から思えるようになったんです。それから10年ほど施設でお世話になりつつ、一時帰宅することもあって。14年前、83才で亡くなりました。
父は噛む力が弱っていたのですが、食べやすさ優先で流動食にすると嫌がりました。簡単に噛んで食べられるものを工夫して作ると喜んでくれましたね」
※女性セブン2014年9月25日号