写真をご覧いただきたい。カタチというか見た目のインパクトが凄い「ふちゃぎ(ふちゃぎむーちー)」。一般的なつくり方はもち米に水を加え、こねて蒸したものを塩茹でし、小豆をまぶすというもの。
形はたいてい俵型か小判型。甘くないタイプが一般的だが、小豆を茹でる際に甘みを付けたものは「甘ふちゃぎ」、紅芋の粉を使い色付けしたものは「紅芋ふちゃぎ」として市販されている。沖縄では旧暦の8月15日(十五夜)に豊作を願い、ヒヌカン(火の神)と仏壇や神棚にお供えした後に食べるそう。
西日本(特に関西)で特に多いのが、里芋を模した形のお団子をあんこで包むというタイプ。十五にちなんで、一寸五分(約4.5cm)の大きさが、縁起が良いとされる。あんこの包み方は地域によって細分化され、お団子全体を覆うものや、上部のみ、U字型などが存在する。ちなみにU字型であんこを包んだものは、お寿司のように見えて、キュート!
愛知県で多く見掛けるのが3色(茶・白・ピンク)やや細長めの里芋型タイプ。見た目がキュートで、特にピンクはほぼバーバパパ! なぜ3色になったかは諸説あるが、一説によると茶は里芋そのもの、白は皮を剥いた里芋の状態、そしてピンクは子どもに好かれるから……(笑)と、言われている。ちなみにあんこは一切使っておらず、原料は名古屋名産のういろうとほぼ同じとのこと。
ここでは定番の丸型以外、各地の十五夜にお供えするお団子を紹介したが結構、衝撃的な形のものもあったりと、実は奥が深いのだ。月を眺められる縁側やベランダに月見台をおいて、お団子などのお供え物を飾り、豊穣を願い、ご先祖様に感謝し、家族みんなで月を愛でる……。たまにはのんびりと月を愛でるのもまた一興ではないだろうか。