平成27年度の国土交通省補正予算案のうち、住宅関連について見ると、消費税増税による影響を軽減する「すまい給付金」の200億円。また、「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」として、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」に向けた緊急対応で、住宅関連に350億円計上されている。
その内訳は、以下の通り。
●「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」に向けた緊急対応
(1)三世代同居・近居がしやすい環境づくり 63億100万円
(2)サービス付き高齢者向け住宅の整備の加速 189億円
(3)既存住宅団地における子育て世帯等が暮らしやすいまちづくり 97億9900万円
すでに、補助金を拡充したうえでサービス付き高齢者向け住宅を整備供給する事業を募集しているほか、地域の資材供給や設計施工などの連携体制による良質な木造住宅の整備を支援する「地域型住宅グリーン化事業」に三世代同居加算(30万円/戸)を加える拡充やUR賃貸住宅の近居割の拡充、老朽化した団地の建て替え要件の緩和などの検討を始めている。
平成28年度予算案で国土交通省関連予算額は、前年度並みの5兆7767億円。そのうち住宅関連については、
・空き家対策の推進、既存住宅ストックの流通促進 277億円(対前年度比1.08倍)
・若年世帯・子育て世帯・高齢者世帯が安心して暮らせる住まいの確保 540億円(対前年度比1.06倍)
などが計上されている。
詳しく見ていくと、以下の事業が創設される予定となっている。
(1)空き家対策総合支援事業等の創設
市区町村が民間事業者や専門家と連携して、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいた取り組みを支援するもの
(2)住宅ストック維持・向上促進事業の創設
良質な住宅ストックが市場において適正に評価される仕組みの開発、消費者の住生活に関するニーズを一元的に受け付けてサポートできる体制の整備などに対し支援するもの
(3)建築材料等に関するサンプル調査の創設
平成27年に発覚した免震材料の不正事案を踏まえて、大臣認定を取得した建築材料等に関するサンプル調査を実施するもの
ほかにも、
(4)長期優良住宅化リフォーム推進事業の拡充
長期優良住宅化リフォームを推進する事業において、三世代同居のためのリフォーム(キッチンや浴室、トイレ、玄関等を増設する工事)を対象に加える拡充をするもの
(5)耐震対策緊急促進事業の延長等
耐震診断義務付けの対象となる建築物の耐震改修等に対する補助金を引き上げ、期限を延長するもの
などが予定されているほか、「フラット35S」の予算も計上されている。
平成27年度補正予算や28年度予算で目立ったキーワードが「三世代同居・近居」だ。このキーワードは、政府の少子化社会対策大綱にも盛り込まれているが、親世帯と子育て中の子ども世帯が同居や近居をすることで、世代間の助け合いを期待しているからだ。
だからといって、簡単に三世代同居・近居ができるわけでもない。マイホームや住み替え、リフォームを考えている人は、自分が利用できる有利な制度がないか、2016年度の動向に注目していこう。