ネット環境の発達や投稿サイトの一般化などで、個人がクリエイターとして活躍できる場が増えた。そういった「歌い手」さんや「ゲーム実況主」はもちろん、ストレスを発散したいひとなどは音を気にせず趣味や創作活動に打ち込める空間があったらいいと思っているのでは? そこで注目したいのが、個人用ダンボール防音室「だんぼっち」だ。
「だんぼっち」は軽量で強度に優れた「ハニカムダンボール」を使ってつくられた組み立て式防音室。サイズはW80×D110×H164(cm)で天井が少し低めのトイレくらいの大きさで、ワンルームの部屋にもセッティング可能。価格は5万9800円(税込)、専用の吸音材セットなどオプション品を含めても10万円以内で手に入れることができる。本格的な防音室を設けるためは100万円や200万円は軽くかかりそうだが、「だんぼっち」はひと桁安いコストで入手できる防音ルームなのだ。
「だんぼっち」が誕生したいきさつを、販売元の株式会社VIBE・藤山瑞樹さんに伺ってみた。
「2013年のニコニコ超会議2が開催された際に、家庭用カラオケソフトを会場内でも歌えるようにと、ダンボール製の防音室を製作したのがきっかけです。来場者の方も盛り上がって歌ってくれたので、ダンボールメーカーさんとコラボして本格的に開発に取り組み、2014年2月に発売することができました。お陰様で順調にご購入いただいています」とのこと。
実際にはどんな使われ方をしているのだろうか?
「歌ってみたやゲーム実況のために使っている、というネットユーザーの方が多いですね。音楽録音に使う方には専用の吸音材利用が好評です。吸音効果に加え、お風呂の中にいるような反響音も抑えられて作品のクオリティアップにつながるようですね。それ以外にもテレビモニターをセットして個人用のシアタールームにしたり、創作活動のためのこもり部屋にしたりと改造される方もいます。自由に使っていただければいいと思います」
最近ではスマホで楽しめる音楽コミュニティアプリ「nana」などの登場によって、歌ったり音楽を奏でて投稿することがとても手軽で身近な体験となりつつある。いい音で作品をつくるためには、「だんぼっち」がぴったりのスペースなのだろう。ただし、完全防音とまではいかなくて、隣室への音漏れ防止程度の防音性をもったこもり部屋だと考えたほうがよさそう。
また、利用者の中には、壁紙材を利用して内外装をカスタマイズしたひと、本格的な防音タイルカーペットを使って音響性能をアップさせたひともいるそうだ。サイズもそれほど大きくないから、手軽にDIYでカスタマイズできてしまう点も特徴のひとつだろう。
分解・再組み立ても可能なので、賃貸住まいの人でも引越しを気にせずに利用できるはず。試してみたいという人には実物展示もされている(※東京、福岡、宮城のみ)ので試用してみるといいだろう。横幅の広い「ワイド」や、高さが210cmの「トール」も登場しているので、目的に合わせて選ぶこともできそうだ。
秋の夜長、こっそり歌ってみるもよし、じっくりDVD鑑賞もよし、「秘密基地」や「男の隠れ家」として利用するもよし、「ぼっち」の時間を楽しんでみてはいかがだろうか。あっ、もちろん女性でもカンタンに組み立てられるのでご安心を。