東京五輪決定がもたらした、もっとも大きなプレゼントは、ぼんやりした未来に、現実的な「7年後の私」を考える機会を与えてくれたことかもしれない。7年後の自分に宛てて、精神科医の香山リカさんは次のような手紙を綴ってくれた。
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今は、収入の格差や東京と地方の格差など、さまざまな格差があります。オリンピックへの準備をめぐって、東京と地方の格差はより広がってしまうかもしれないし、福島などの被災地は、ないがしろにされてしまうかもしれない。
でも、それだけは、なんとしても避けたい。格差が広がっていくと、結局は誰も幸せになれませんから。逆に、オリンピックをきっかけに、誰もが社会に対して希望を持てて、夢を見られるような、互いに信用できるようになっていたらいいと思っています。きれいごとのようですが、本当にそう思います。
そのために何か良い形で自分が得たものを社会に還元したい。それは、本を書いて多くの人に読んでもらうことかもしれないし、別のことになるかもしれませんが。7年間をかけて少しでも、何かの形で、と考えています。
※女性セブン2013年10月10日号