●『A.I.』“スティーブン・スピルバーグ監督”サテライト会見レポート!


6/30の日米同時世界初公開目前の『A.I.』。6/19(火)都内ホテルにおいてスティーブン・スピルバーグ監督のサテライト会見が行われました。話題作でありながらも、謎に包まれていた『A.I.』のスティーブン・スピルバーグ監督が公式の場に登場するということで、早朝から300名以上の取材陣がかけつけました。次回作の撮影中のため、撮影現場の“バージニア州アービントン”と“東京”を衛星で結んでの会見。250インチの大型スクリーンを通して、リアルタイムで答えてくれました。
スピルバーグ監督の日本向けの公式会見は82年の「ポルターガイスト」の時に、製作者・脚本家として会見を行って以来、早いもので実に19年ぶりとなります。

「おはようございま〜す!」と、監督は日本語で元気に挨拶しながら、スクリーンに登場!

Q.『A.I.』が完成したいま、どんなお気持ちですか?

A.私はどの作品でも、製作が終わるとホッとする。 今回の『A.I.』も製作期間も長く、脚本も自分で書いたので思い入れが強く感慨深い。そしてハーレイ・ジョエル・オスメント、ジュード・ロウらの素晴らしい友人達との別れを悲しく思っている。

Q.スピルバーグ監督の母親に対しての想いはこの映画にこめられていますか?

A.私はとてもラッキーなことに、素晴らしい心から愛する母親に恵まれた。この物語は人間もロボットも関係なく、純粋な母親への愛情、ハートが感じられた。私自身が体験したことなのでとても魅力を感じた。

Q.キューブリック監督に、いま何を伝えたいですか?そして彼からどのような返事が返ってくると思われますか?

A.『A.I.』は彼のコンセプトをもとにつくられたもの。オーディエンスのひとりとして参加できたことをとてもラッキーだと思う。と伝えたい。
返事は? うーん想像するだけで恐いねえーーー。
この作品は、彼が描いたヴィジョンを、自分を押し殺したりせずに私の感性でスクリーンに映し出した。彼のアイデアからインスピレーションを受けたんだ。

Q.もしキューブリック監督自らが『A.I.』を製作していたら、どのようなところが違っていたと思われますか?

A.彼のアプローチと私のアプローチは全く逆で、彼は知的な部分から入り感情へ、私は感情の部分から知的な部分に到達していく。作り方の違いはあるがストーリー自体は同じになっていたはず。なんといっても彼の遺した90ページにもわたる企画書をもとに脚本を書いているからね。

Q.『E.T.』の宇宙人、『シンドラーのリスト』のユダヤ人、そして『A.I.』におけるロボットといった“マイノリティであるがゆえの弱者”に対する愛情もテーマとして意識していますか?

A.意識しています。私自身もマイノリティだったということ、ユダヤ系の学校に通っていたし、いじめも受けていた。物語に真実味を出すには、自分が経験したことに基づくものが必要だ。そして観客もそういうところに魅力を感じるだろうし、私もそう感じる。

Q.ハーレイ・ジョエル・オスメントの天才的な演技についてコメントをお願いします。

A.世界中探しても、彼ほどの演技ができる12歳(撮影当時は11歳)の少年はいないだろう。彼は演技をする際に自分の感情とコネクトできる能力を持っている。そしてその感情を押さえる術をも持ち合わせている。若ければ若いほどエネルギーを一瞬にして発散させてしまう俳優が多いなか、彼はその天才的な能力を作品全体にちりばめることができている。開きどころと閉じどころをよく理解しているんだね。

Q.親子の愛や、夢や希望に溢れたものが多い監督の作品とは逆に、現実では日米にかかわらず凶悪な事件が多発しています。これからの人類はどうなるのか心配な状況ですが、監督自身は今後どうなっていくと思われますか?また人類への警告としてなにか伝えたいことはありますか?

A.よい質問ですが、難しい質問でもあるね。生物の種として人類は素晴らしいものをもっている。しかし何かを達成することばかりに追われ、結果を顧みない傾向に…。その一方、破壊する能力も持ち合わせている。よいものを作り出しながらも破壊していくというレースが日々繰り返されているが、私自身は善が勝つと信じている。映画の中でもそう描いているように…。

Q.『A.I.』では夢がテーマになっていますが、同時に人間の影の部分も描かれています。人間は強い生き物それとも弱い生き物どちらだと思いますか?そしてそれはなぜでしょうか?

A.人間の“心”は、天から与えられたギフトである。夢や希望も“心”から生み出されるもの。それによって人間は破壊するだけではなく、テクノロジーをはじめいろいろ発展させてもきた。しかし追うことだけになってはいけない。それは神と競争し追い越そうとすることにほかならないからだ。

それでは最後の質問になります。

Q.もし監督に53歳の男性、30歳の女性、11歳の男の子の3体のロボットが与えられたとしたら、それぞれに何を託しますか?そしてその訳は?

A.『A.I』の舞台になっている社会では、目的に応じてあらゆる年齢に設定されたロボットが造られている。ロボットは歳をとらないからねえ。53歳の男性は知識が豊かな学校の先生や医者、コンサルタント。30歳の女性は家事やベビーシッター、または男性の魅力的なパートナーとして。そして11歳の男の子は子供を持てない親のニーズを満たすものとして存在している。将来こういったことが現実になり彼らは人間達に奉仕することになると思うが、それに対して人間側もロボットに愛情を返す義務、責任があるのでは…。そうした問いかけがこの作品にはこめられてもいるのです。

以上。(司会:襟川クロさん、同時通訳:戸田奈津子さん)

■今回は、私には初体験のサテライト会見でした。どうなることか心配していましたが、なんのトラブルもなく無事に終了。本当に技術が進歩しているんだなあと実感しました。(衛星中継って、昔はよく中断していたような記憶があったので…。)そして会見の途中、次回作に出演されるトム・クルーズが、突然スクリーンに登場し会場騒然!その作品が日本で公開される時にはふたり揃って来日するかも??撮影中の疲れも見せず、笑顔で答えてくれたスティーブン・スピルバーグ監督でした。

TEXT:kyoko [UNZIP]


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